国王の悩み
「もう、数十人の魔族が城に来てもう三週間が立つが、そろそろこちらの暮らしにも慣れてきたのではないかと余は思うのだが、皆、どう思うか?」
アラジン国王が質問した。
「そうですね、意外にも魔族語を話せる方が早く見つかったのは良かったと思われます」
ルイズラムが言う。
「そうネ、魔王の子供も三人も見つかったしネ」
キールが言う。
「ノアをはじめとして他の方たちもこちらに慣れてきたと私も思いますわ」
エヴァンナが言って傍にいた教え子の雫も頷いた。
「けれど、これからのことを考えるとこのまま、保護という状況を何時までも続けるのも問題ではありませんか?」
ランスロットが言い、アラジンの方に目を向けた。
「そこが問題なのだ。保護したのは良いのだが、次に魔族達に人々の中で暮らしてもらいたいと考えているのだか……」
アラジンは言う。
「人間達の中で暮らして自立して欲しいということでしょうか?兄上」
ジャクソンが言う。
「それでしたら、ひとつ良い場所があります」
静華は周りを見渡してそのまま言葉を続けた。
「魔守の森、近くにある孤児院はどうでしょうか?」
静華の言葉に皆が考えた。
「孤児院なら魔族の住処に近いし、人出が欲しいと言っていたな」
ルイズラムがそう言って検討してみましょうと言った。
「あの、私も考えが一つあるのですが……仮装喫茶というものをしてみたいと思うのですが……」
エヴァンナがそう言い瞳が萌えていた……。
「ところで、……仮装喫茶とはどういうものなんだい?」
兄であるアラジンは少し驚いた様子で尋ねてみた。
「色々なお召しものを魔族の男の方に着て頂きながら喫茶店をしてもらいますのよ!」
キラキラオーラを発しながらエヴァンナは答える。
「「…………」」
その場にいた一同が沈黙するしかなかった。
なぜ、仮装をするのか?
それが良く解らない……。
「そうだな…一応、検討してみてはいかがですか。兄上」
エヴァンナの兄であるジャクソンが妹の案を一番上の兄に薦めてみた。
(ありがとうございますわ。ジャクソンお兄様)
と、エヴァンナは視線をジャクソンに送った。
「…………判った、検討しよう」
「ありがとうございますわ!アラジンお兄様、うふふ♪」
アラジンは妹に甘かった……。
妹が最近、風変わりな衣装を作り出し始めていたのを知っていたアラジンは何故かどんどん遠い世界の住人になっている妹に頭を悩ませるのであった。