再会
双子の魔族の姉弟を保護して一週間が過ぎた。
花街の一件も落ち着き、双子の魔族も元気になっていった。
その後の調査で魔族が捕らわれて無理矢理売られて娼婦館で働かされていたものも数人いた。
男が4人と女が6人を保護した。
静也達はこの魔族達をアディストリア公国に連れて帰ることになった。
それから十日後。
エタリーナ国からアディストリア公国に着いた勇者一行は、久しぶりの懐かしい城でアラジン国王陛下や家族達に再会した。
「久しぶり~。お兄ちゃん」
静華が言う。
服装が白いワンピースに何故だか絵描きが被るような丸いベレー帽を被っていた。
「お兄ちゃん、お帰りなさい」
今度は雫が言う。
魔法使いが着るようなグレーのローブにマントを羽織っていた。
静也は妹達も色々成長したらしいと思った。
「ところでお兄ちゃん、紹介したい友達がいるの」
静華の言葉に近くにいつの間にか静也と同じ位の少女がいた。
「はじめまして、ノアです」
「あっ、どうもはじめまして、兄の静也です」
「よろしく」
「お兄ちゃん、ノアてっね、魔王の子なんだよ!」
静華はそう言い、静也はまじまじと少女を見た。
銀色の髪に黄金の瞳をしてきれいな顔をしている。服も淡い青のドレスを着ていた。
誰かに似ている……。
……!!
「アダムッ!」
静也は思い出すように名前が出た。
静也の呼んだ名前にノアが反応を示した。
「…しってるの、アダム?」
「ああ、今呼んでくるな」
静也はアダムとイブの双子の姉弟を連れてきた。
すると、三人は良く似ていた。
《アダム兄様、イブリティーナ姉様》
「××××××××」
ノアがそう言い、二人に抱きついた。
その場にいた皆は三人が兄妹だと気付いた。
そして、イブとアダムがノアの姉と兄であることが分かり、魔王の子の七人の内三人を保護することが出来たのであった。
**
三人が再会した。
《末の妹、久しぶりだな》
《久しぶりです。アダム兄様、イブリティーナ姉様、私の名前はノアールと言います》
《ノアール?あなたの名前なの》
《はい!シズクが私をそう呼んでくれたのです。そして、シズカも私に良くしてもらってます》
《そうか、いい名だなノアール》
ノアにアダムが優しく名前を言う。
《ノアールは元気そうね》
《はい、ここの人たちが良くしてくれるので、少しですが人の言葉も喋れるようになりました》
ノアの言葉に二人は少し驚いた。
《いつの間に覚えたんだ?》
《シズクは魔族語が判るのだから、何となく覚えました》
アダムの問いにノアが答えた。
《イブリティーナ姉様達はどうでしたか?》
《ええ、色々ありましたがシズヤ達に助けて頂いたのです》
《途中で黒の兄上が来てくれていたが…》
《黒の兄様が!?》
《ええ、そうなの私達途中まで黒の兄様と一緒にいたのですが、乗っていた船が嵐に遭って海賊に捕まってしまったの……》
《そうでしたか…、兄様も姉様もお辛い目にあったのですね。でも、またアダム兄様やイブリティーナ姉様に会えて本当に良かった》
《ああ、そうだな》
こうして、今まであったことを三人は話してきた。辛い体験をしてきたがこうして兄妹がまた会えたことに三人は素直に喜んだ。