花街の悪夢 4
本日、累計数PV 20.000 アクセスを越えました。
いつもお付き合い下さり、誠にありがとうございます。
前半は静也視点
後半は宰相視点になります。
その日の晩、俺は初老の男に目隠しされ、馬車に乗って移動していた。
じいさんといってもいい年の男は俺に対して丁寧な扱い方をしていた。
不安もあったがルイズラム宰相やキール副団長がなにかしら準備をしているに違いない。
そして、とうとう辿り着いてしまった闇市場へと……。
どこかは知らないが花街の中心地から少し離れた場所に闇市場があった。
俺は目隠しを外されて階段を降りるようじいさんに促されたて歩いた。
暗く狭い階段をゆっくり降りる。
冷たい石の階段を一歩一歩と降りていくと地下競売会場がそこにあった。
競売にきた人々は誰だか判らないように仮面をかけていた。
まるで仮面舞踏会のようだった。周りは皆、身なりの良い服をしている。
きっと、この国の腐った貴族や金持ち達に、あるいは他の国から来た者もいるだろう。
俺は手錠で繋がれて不安はあるものの意外と落ちついていた。これから競売に賭けられる。
しかし、今夜は何か騒動が起こり失敗するだろうと俺は思った。
**
俺はじいさんと離れて別々となった。
これから競売に賭けらるために、俺は控え室に連れられていた。
控え室はどんよりとした重い空気が流れてこれから売られるであろう少女達や男達までいる…。
…俺、別に女装しなくても良かったのでは?
と、今更ながらに思った。
その中でも一際目を引く若い青年がいた。
自分より一つか二つ年上に見える青年は銀色の髪に黄金の瞳をした美しい青年だった。
青年は薄汚れた白いシャツに黒いズボンを着ていた。
肌は白く体格も男としては小柄な方だろうか。俺より細く頼りなさそうに見える。
青年は誰にも目を向けず魂がない人形のようにも見えた。
何となく気になって声をかけてみた。
「こんばんは」
「……」
無言である。
「あなたは、どこから連れてこられたんだ?」
「××××××」
「………すみませんでした」
どうやら、外国から連れ出されたのであろう。言葉が通じない。
短い間に密売の商品とされる俺達は番号が書かれた板を首に架けられて大きな鳥籠に一人一人閉じ込められていった。
これから始まるのは人身売買だ。
この国では禁じられている違法行為。
**
今夜、行われる人身売買の参加者はこの国の先代国王陛下と私とキールを除いて27名。
月に一度のペースで開いているらしい。
この国では数年程前から頻繁に人が拐われたり、誘拐されたりしていたらしい。
それはエタリーナ国内だけの問題がだけではなく、アディストリア公国にも被害がでていた。
『魔族の仕業』として魔族の討伐や殲滅を数年やってきたらしいが魔族達の数は減っているのに人拐いは減らず、被害は益々増える一方だった。
これに以前から疑問をもっていたエタリーナ国の先代国王陛下は自ら調べて密売をしている人間達が『魔族達の仕業』と言いふらし、更に美しい人形の魔族を捕まえて無理矢理、春を売らせていることも先代国王陛下は調べていた。
今では複数ある密売組織の中でも今回の獲物は大きな組織だ。
ご隠居の護衛の兵が百五十人建物の外回りに配置させている。
今夜、会場が大騒ぎになるのは間違いない。
控室に魔族が捕まっていました。
静也はまだ気付いていない。