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魔守の森 名無しの龍 4

「…ん」



ドクンドクンとしっかりした心臓の鼓動を聞きながら雫は目を覚ました。



なんだろう?



雫は目を開くとランスロットの腕枕で自分が寝ていることに気付いた。




ふみゃあー!

あたし昨日どうしちゃったの?

キノコ食べて…!



雫は両手で自分が服を着ていることに安堵する。



良かった~。変なことしてない。



雫は昨日の晩からの記憶がないだけに少し不安に感じていたが杞憂のようだった。



しかし、今自分が置かれいる状態には問題がある。



なんで、あたしランスロット様に腕枕されて抱き締められてるの?




雫の今の状態は、ランスロットの右腕に雫の頭を乗せ、右手は雫の細い腰に回されている。



これが中高生位の女子なら甘い雰囲気またはドキドキする展開になるが小学生が相手だとこうはならない。





ランスロットも目を覚ました。




「……おはよう。シズカ」



と寝惚けて人の名前を間違えるランスロットはそのまま雫の額に手をおいて前髪を掻きあげ、額に唇を落とした。




さすがの雫もこれにはぜんぜんときめなかった…。



「おーい、ランスロット様。寝ぼけてないで起きて下さい」



ランスロットの耳元で大きな声で言う雫。




「…すっすみません」


どうやら、はっきり目が覚めたようだ。



「おはようございます。お姉ちゃんではなくてすみませんが」



雫はにっこり笑顔で挨拶する。少し怒りの色を含んでいる。



「…おはようございます」



ランスロットの方は苦虫を噛んだ表情をして、雫の腰に回されていた手を離した。


朝の食事を終えた二人と一匹。



「ランスロット様はお姉ちゃんのこと、どう思いますか」



いきなり直球玉を投げる雫。



「…!?」




顔を真っ赤にさせるランスロット。



「言わなくていいです…。もう解りましたから」



ランスロットの一目瞭然の反応を見てしまった雫。



昨日は妻になって下さいとか言ってきたのはどこのどいつだ!と思いながらも、姉を好きだという少年のような反応した目の前の大人に同情した…。




あの姉でいいのですか?

と思いながら…。





移動の準備を終えると、ランスロットは雫にある質問した。




「何故、シズクはこの森に入ってきたのどうしてなのですか?」



「伝えるためにきました」



「何を?」




「お母さん魔王が伝えたかった卵の中にいた子供の名前です」




「それは本当に…」



「たぶん、あの時はこちらにきたばっかりで微かにしか聴こえなくて魔王の口の中に頭を突っ込んで見ましたが…」



「………そうですか。

ちなみに魔王はその卵の子になんと名付けようとしていたんですか?」




「××××」




「…魔族語のようですね。私には解りません」


ぴよぴよ。


《のあーる。いい名前。あたち、ななしのどらごん、しってる》




《知ってるの?スーちゃんどこにいるの》



ぴよ。


《うれいのみずうみにいるの》




「ところで二人でなにを話しているのですか?」



雫とスーちゃんの会話にランスロットが参加。



「はい、スーちゃんがその魔王の子供を知ってるそうです」


「それでは、探さない訳にはいきませんね。早速探しに行きましょう」



「はい」



ぴよ、ぴよ。


《あんない、するでち》




スーちゃんの思わぬ魔王の子の情報を得た二人は、スーちゃんの案内によってその名無しのドラゴンに会うことにした。




**




移動していた雫とランスロットとスーちゃん。




「ランスロッド様、お姉ちゃんのことなんですけど…」




立ち止まるランスロット。




「お姉ちゃん、男嫌いなので(本当はある意味では無類の男好きだけど)、これからはお互い好敵手らいばるになりますね(あなたの為でもあります!)」



「解りました。こういうことですね。これからは可愛いあなたとシズカ殿を取り合うのですね」



余裕たっぷりの笑顔でランスロットは言う。


「お姉ちゃんの名前で呼ぶの禁止です!聖女殿とお呼びなさい」



「はい、はい」




隣で話を聞いていたスーちゃんは、




《ふたり、いちゃいちゃして、ぷー。》




変な誤解されてますよ、ご両人。




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