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魔守の森 名無しの龍 3

ランスロットはぼーっとその光景を見ていた。



魔族はランスロットもはじめて見たがこんなに愛らしいというか…

逆に毒気を抜かれる。


ランスロットの中での魔族に対するイメージがまたしても崩れてしまった。




すると、雫は見知った人を見つけて声をかけた。




「ランスロット様、こんにちは」




「こんにちは…くろ?」



「………?」



雫は自分の頭に手を置いてみた。




あっ、かつら落としたみたい。




雫は兄と姉と同じ黒髪を隠していた。



理由は色んな意味で目立つのと兄と姉が熱心に隠しなさいと勧められ焦げ茶色の地味なかつらと分厚い眼鏡で素顔を隠していた。



ランスロットは呆然と雫を見つけている。



雫はなんでだろう?

と気になり、湯から立ち上がりランスロットに近づくと、




「…シズク」



「はい?」



ランスロットは雫の名前を呼ぶと自分の身に付けていたマントを雫の体に巻いて、

腕の中にぎゅっと抱きしめ、そっと雫の耳元にささやいた…





「私の妻になって下しい」と。








雫は抱き締められたまま、頭が真っ白になっていた。




いきなり、つま?



つまって?



つまらない?



つまようじ?




完全に混乱している。




とりあえず、落ち着けあたし。



「ランスロッド様、いきなりどうなさったのですか?妻になって下さいとは?」




「あの…、えっと、なにから話せばよいのか」




ランスロットは雫の問いにしどろもどろになりながら、ハーバード家に代々伝わる家訓を雫に話した。






**






「ランスロット様、大丈夫です。今回のは事故だし、それにあたしのことランスロッド様は、女の子だけど意識してないですよね」




「女の子だけど意識してない?」



「はい!ランスロット様の家訓の『初めて見た裸体の異性を妻に持つこと』で異性として意識していない女の子にあたしはなりませんか?

こういうのは主観の問題でランスロット様からみて考えれば今回のお約束な展開の故意で見た事故は家訓にのっとるに値しますか?」




「…さすがに問題がありか…とは」



「ですよね」




さすがに成人していない未婚の女性といってもランスロットの中では雫は小学一年生位に思われている…。



悲しいことだが今はその勘違いである意味助かっている。




恐るべし日本人のフェイスマジック☆だ。




「これは故意に起こってしまった事故です」



「はい、それじゃ!」



「ええ、今回のは二人だけの秘密にしましょう」



「良かった~」



二人揃って安堵する。



しかし、雫の心の中では乙女として複雑だった。







**




カッパ君とは温泉で分かれる事になった。



かぱ。


《さよなら》



《さようならー》



ぴっよ!


《まったね!》





………。




「シズクは…解るのですか?」




「…なにがですか?」



「あの子達がしゃべっているのをです」




「普通に解りますけど?」



雫はスライムのスーちゃんを抱き上げてランスロットの前に差し出した。



スーちゃんの触り心地はつるつるのすべすべで赤ちゃんみたいな肌でぷにぷにしていた。重さもなく軽くて簡単に風に飛ばされそうだ。





《スーちゃん、ランスロット様です》



ぴい、ぴよ。


《こんにちは、らんすろっと。あたちスー》



「なんと、しゃべっているのですか?」



「こんにちは、らんすろっと。あたちスーですと言ってます」



「よろしくお願いします。スー殿」



ぴよぴよ、ぴ。


《うれしいでち、よろしく》




どうやら、スーちゃんにはこちらへ言葉が判るようだ。




それから、カッパ君と別れた二人と一匹は天気が悪くなって来たので今日は近くの森の洞穴を見つけて一晩泊まることになった。




その日の夕食にはカッパ君からもらったキュウリに森の中で見つけた甘酸っぱい赤い木苺とシイタケ似たキノコだ。



キュウリは歯で噛むとカリっと音を立てて口の中でみずみずしく新鮮で美味しいキュウリの味を味わった。



木苺の赤い実を口へ運ぶと甘酸っぱさが広がり一度味わうと病み付きになる。



最後のシイタケに似たキノコは念のため火を通したが二人とも一口だけ食べて止めた…。



二人が一口だけ食べたのは種類が本当にシイタケか解らないからだった。



この世界のキノコには『むらむら抱け』というシイタケに良く似たキノコがあり、かつて姉の静華がエヴァンナと共同開発してしまったむらむらの薬の原材料があるのだ。




二人のあまり思い出したくないものであり(一人は完全に記憶を操作されているが)、因縁あるもので一口だけ食べて様子を見ることにしたのだ。




すると、雫が顔を真っ赤にさせて熱を出し始めた。



そう、子供が『むらむら抱け』を食べると熱を出す。



一口だけ食べてしまったが熱は一時的でしばらくすれば治まるが雫が呼吸をあらげて苦しそうだ。



ランスロットは森の中へ入る前に静華から貰った薬袋を探してみた。




小さな小瓶に熱冷ましと書いた飲み薬を見つけた。





しかし、薬をなかなか飲めずにいる雫。



ランスロットは仕方なく薬を口に含み、雫の小さな唇に自分の唇を重ねて薬を飲ませた。



少女の唇は柔らかく暖かい、初めて女性に口付けされた時は恐怖しか感じなかったが…。



思えば騎士達の会話で恋人との口付けが甘いといっていて、よく解っていなかったが、いまなら少し解る気がした。甘いとはこういうことなのだろう。




もし、愛しい人と口付けが出来るならどんなに甘いだろうかとランスロットは雫に良く似た少女のことを想った。





ランスロットは間違いなくロリコンだと思う人


はい、


手を挙げる作者…。




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