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英雄王と龍の涙

アディストリア公国

おとぎ話『英雄王』


むかし、むかし。


このくにのおうさまはにんげんをたべたり、おそってくる まぞくをたいじするためにたびにでました。



いちばんたかいやまにのぼり、まおうのくびをうちとったおうさまはそのくびをもちかえりくにのはんえいとちからのあかしにかみさまにまつられました。



おうさまはくにのためにはたらいたえいよとたたえて、たみからは『えいゆうおう』とよばれるようになりました。





**






アディストリア公国の王家三兄妹と鈴木三兄妹とルイズラム宰相が集まってこれからの『魔族保護』の話し合いを執務室で行われようとしていた。



もう二人呼ばれているものがいる。




トン、トンッ。



「入れ」



アラジン国王陛下が言い、執務室の扉が開かれた。




訪れた人物はランスロット第一騎士団長とキール副団長だ。



二人ともいつもとは違う様子を感じていた。



「陛下、私達をお呼び立てしたご用件は?」


ランスロットが単刀直入に言う。



「ああ、お主達に極秘任務がある。これから異世界から来た勇者と供に隣国のエタリーナに向けてもらい、

ある場所に魔王の子が捕まり売られたと情報が入り、その魔王の子を保護しこの城へと連れて参ることだ。」



アラジンは簡潔に用件を述べる。




「何故、魔王の子を救おうとなさるのですか?」



「それは、私がお話致しますわ。ランスロット様」



エヴァンナが答えた。


「私たちの父、アレキサンダーが魔王の首を切り落とし、この国に持ち帰ったことは、国民の全てがご存知かと思います。」



「ええ、アタシ良く知ってるわ。『英雄王』はおとぎ話として有名よねぇ?」



副団長のキールが言う。



「はい、英雄王は先王がモデルとなったおとぎ話ですが、魔王を退治した真実は全く違うのです…。」



エヴァンナは話し続けた。




「龍の流す涙には不老長寿の効果があると代々言い伝えられていました。

父は病気がちで身体の弱かった私達の母、リーナ王妃の為に龍の涙を魔王を探していました。

当事、卵を産んだばかりの魔王の龍を父は殺し、わずかに流れ落ちた龍の涙の一滴を手に入れて母に飲ませたのです。」



エヴァンナは少し辛そうな表情だった。



「随分と英雄王の話しと違うだろう。

当事は兄上を身籠っていた母上は出産で命を落とすかもしれないと医師に宣告されていたのだ。

父上は母上や兄上の命を守りたい一心で龍の涙を手に入れて、母上は元気になり、兄上や僕、エヴァンナが生まれたが10年前に母上はなくなった。」


エヴァンナの替わりに話を続けたジャクソン。


王妃リーナは10年の延命をし、行き長らえた。その際、老いや病気は一切なかった。



「しかし、余や母上が助かったその後が父の功績を真似て、魔族狩りが流行りだし魔族の数が激減に減っていった。

魔族に対して人間は酷い行いをしている。

そこで余は異世界から三兄妹の召喚を妹に頼んでもらった」



最後にアラジンが語ったが、



「「三兄妹?」」



二人の騎士は異世界から来た勇者達の兄妹に声を揃える。



「ランスロットは実際に3人に会ったとエヴァンナから聞くが…」



(あら、どうしましょう。忘却の魔法で必要な情報まで吹っ飛んでしまいましたのね)



「すみませんでしたわ。私としたことがランスロット様にはシズクのことをシズヤ様とシズカ様の妹と申し上げておりませんでしたわ」

素直に謝るエヴァンナに二人の騎士の視線が末っ子の雫へといく。


雫は視線から避ける為に兄の後ろに身を隠した。


(ああ、お兄ちゃんを頼ってくれるのか)


静也は内心、嬉しく思った。


静也は妹思いだが、シスコンではない。絶対にありえない。特に静華に対しては。




だが、副団長のキールが近づいて雫をがばっと羽交い締めにした。



「ちっちゃくて、可愛~い!アタシ、カワイイのダーイスキなの。

ほっぺたもすべすべのぷにぷにでむしゃぶりつきた~い」




紫がかった金の長い髪を後ろに艶やかな花のかんざしでまとめて瞳は夕焼けの日が沈む寸前の紫と赤が混じりあった不思議な色だ。容姿は男か女か迷うほど妖艶で色っぽいが男である。



雫はそんな男に行きなり羽交い締めされ、自分の頬を相手の頬に擦り寄せられて完全に混乱している。




「い、やあっ!」



雫は技を使った。




どさ!




キールは見事にキレイに投げ飛ばされた。



雫のレベルがまたひとつ上がった。





ちなみにキールはロリコンではないカワイイものと子供がただ好きなだけなのだ。





「あの、ごめんなさい」

投げ飛ばした相手に謝る雫にキールは、



「いーのよ、びっくりさせちゃったアタシのほうが悪いわ。ごめんなさいねぇ」



キールはいい奴だ。




「しかし、魔族の子を捕まえどうするのですか?」話を戻したのは召喚された勇者の静也だ。



「それは、魔王の子の中に人語と魔族語を理解し話す者がいるからなのです。」



ルイズラム宰相が言う。



「本来、魔族と人間は話す言葉が違うのですが、魔王の子には人間との間に生まれた者がいるのです」



「それで、魔王の子を探し出す。必要があるんだな」



静也は魔王の子を探す必要が解り納得する。


「今回の旅の目的地であるエタリーナには私と勇者殿と騎士のランスロットかキールと向かう予定です」



「私と雫は?」



「今回は女性や子供には危険な所ですので、勇者殿だけにご同行していただきます」



「それでしたら、お願いがあります。」



「なんでしょうか?」


ルイズラムが言う。




「植物研究園での入室許可と植物の採取をしたいのですが宜しいでしょうか?」



静華の願いにルイズラムはアラジンをみていいだろうと視線を送る。



「いいでしょう」



国王陛下から宰相を通して許しを得た。



「ありがとうございます」



静華はにっこり笑顔を見せる。




(今回は大丈夫だよ。お兄ちゃん)


(本当か?)


(うん)



今回の姉に黒いオーラがない。



雫のこの勘は外れたことがないので、安心した兄の静也だった。






**





ここはアディストリア城内の植物研究園である。



様々な植物があり、観賞植物から医療薬草、食物の品質改良など幅広い目的で植物の研究が行われている。




静華と雫が旅立つ兄の為に薬の材料を採り来た。



「あっ、これがキズとヤケドに効く塗り薬のキズアトノコサズ草ね!」


静華が名前が描かれた草を見付けて摘み取る。



「お姉ちゃん、これ、トリハダ サミシイ根て読むのかな?」



雫は近くにあった植物の名前を読みあげるが…



「ヒトハダ コイシイ根だよ。」



静華は興味を持ったようだ。



「でもお兄ちゃんとお姉ちゃんはすごいね。

こっらの世界の言葉もペラペラだし文字もスラスラ読めるんだもん。

どんな感じなのかな?」


雫は今まで不思議に思っていたことを静華にきいた。



「んーとね、言葉にすると難しいね。

言葉は本当に自然に日本語で話してたかと思ってたから、雫に言われるまで気付かなったし、文字も自動翻訳されて不思議なのよね。」



「そっかぁ、いいなあ。私ももっと文字読めるになりたい。」



およそ半月ほどで日常会話が出来る雫の順応性の高さにお姉ちゃんは逆にすごいと思いますが…。





「でも気になるね。ヒトハダ コイシイ根って一体どんなものなんだろうね?」


と雫がその植物を指をして言う。



「うん、そうだね。」


「引き抜いてみようか。」



好奇心旺盛な二人は、ヒトハダ コイシイ根の長い葉を掴んでずぼっと引き抜いた。





「いや~ん」





「「……。」」





そこには、人参に似た橙色に二又にわかれた根っこが声をあげて姿を現した。



腰をくねらせているかのように見える…。



「この根っこ何に使うんだろうね…。」



「図書館にある本でなんか見たことあるかも。せっかくだし雫、後で作ってみようね。」


「うん」




二人はその後いくつかの薬を作った。



そして、あのヒトハダ コイシイ根を使った薬のレシピは残りの材料に唐辛子と鷹の爪とフカヒレに燕の巣とトカゲのしっぽをすり潰して煮詰めて完成した。



性命欲協力せいめいよくきょうりょく増幅液』


効用:性欲と生命力を高め増幅させる

備考:一滴で効果抜群

二滴で中毒者爆発

三滴で限界致死量注意


薬と毒、紙一重の取り扱い注意の薬を二人は調合してしまい、レベルアップした。



兄に念のため持たせがどこかで役に立つ日が来るだろう…




きっと。





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