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初対面!

ここに、固まる人物が居る。


この部屋の主、勇者の鈴木 静也(17)がとある人物を見て固まっている。



その人物こそ、アディストリア公国の第一騎士団長、ランスロット・ハーバード(25)なのだが…。



花束と甘い焼き菓子を手に部屋の前に立っていた。



男同士見つめ合う…。


「こんにちは、いつもの小さな侍女さんではないので驚きました。」



「ああ、雫のことか。」



「…シズク。」



「雫が何かしたか?」


「いえ、小さいのに偉いなと。」



「そんなに小さいか?雫はいくつに見える。」


「6、7歳位でしょうか?」


「……そうか。」



今のは末の妹が聞いたら、ある意味ショックを受けるに違いないだろう。


妹の実年齢を教えてやろうかと考えていた兄の静也。



「そう言えば、あなたは聖女殿(静香)の兄上でしたね」


「ああ、妹(雫)から話は聞いてる。いつも見舞いに来てるって、第一騎士団長のランスロット・ハーバードさんだよな。」



「私のことをご存じでおいででしたか。」



ああ、すでに会ってる二人。



「とりあえず、せっかく来てくれたんだし。今、妹いないけどお茶くらい飲んでいくか?」


「ええ、是非。」




部屋の中に入るランスロット。






「とりあえず、そこら辺に座って、今はお茶出すから。」



そう言って、静也は慣れた手つきでお茶を入れ始めた。





がちゃっ!




「「たっだいまぁ〜」」



元気良く、妹達が帰って来た。



「あれ?お兄ちゃんと…!!」



聖女の静華は見馴れない客人を目にして思わず裾の長いスカートを踏んづけてよろめく。


静華が倒れそうになるのを抱きとめるランスロット。



静華はランスロットの腕の中にいる。



静華はランスロットの意外にもしっかりと鍛えられた厚い胸板に抱きとめられ、少し興奮する。



「大丈夫ですか?聖女殿。」



さらにそのぐっと腰にくる美声で耳元で尋ねられ顔が真っ赤になり、静華とランスロットの視線が合う。





つうーと静華の鼻の下から赤い液体が流れ落ちていく…。




ああ、ランスロットの服にまで鼻血がついている。



静華の鼻血放出だ!




テクニカル大ヒットだっ!!




説明しよう!



姉の静香は、好みの美少年や美青年を見ると脳内妄想がヒートアップし激しく萌え尽きてしまい処理しきれなくなってしまう。

そこで鼻血を放出してしまうのである。




「あー、とりあえずベッドに俺が静華を運ぶから雫は騎士団長の風呂の支度頼むな。」



「はーい」



この場で一番、冷静なのは兄の静也だ。



さすがに妹の対処に慣れている。



ランスロットの服には無惨な鼻血の後がべっとりとついてしまっている。



他の人が見たら大怪我をしていると大騒ぎになるくらいだ。




**




仕方なくこの部屋で風呂で入ることとなったランスロットだった。



ランスロットは今、勇者と聖女の兄妹の部屋にある風呂に浸かっていた。



何故こんなことになってしまったのかとランスロットは思った。




初めて会う勇者は青年というにはまだ少し若い少年だった。



実際、会ってみたが打ち解けやすく好感が持てる少年だったし、冷静で判断ができる落ち着いた所もある。



逆に聖女は身体が弱いようだ病気がちで伏せっているみたいだ。



鼻血もそのせいだろうか。



と、湯船からあがろうとしていた時に…



「騎士様、お背中でも洗いますかー」


風呂場に入って来た雫。



ランスロットは思わず雫の顔をじいっと見つめている。



「……しし、ししし」


「獅子舞い?」



雫がツッコミを入れた。



「…シズク、ですか?」



「はい」



「えっと、いつもの眼鏡はどうしたのですか?」



「湯気で眼鏡が曇るので外してますが何か?」



「い、いえ。何でもありません。もうあがりますので、大丈夫です。」



「そうですか?では何かありましたら、お声をかけて下さい。」



そう言い残して、雫はその場を去った。





びっくりしたいつもの小さな少女の素顔を初めて見たが、とても愛くるしく、ランスロットが想像していたより可愛いかったのだ。



思わず、見とれてしまうくらいにランスロットを見て…



今自分がどういう姿でいたのか思い出した。



生まれたままの姿を少女に曝してしまったとランスロットは思い、赤面した…。






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