へたれは治らない。いっそのこと憐れだ…。前編
PV 2000 ありがとうございます。
途中でボーイズ・ラブのマニアックな話がありますので苦手な方は飛ばして下さい。
後編から読んでも差し支えありません。
「朝のラジオ体操第一
ーーチャンッチャッカ、チャカチャカ♪
チャンッチャッカ、チャカチャカ♪
タタタンッ!
ターン、ターン、タータタッタン!
まずは両手を大きく広げて深呼吸っ!ーー」
只今、ラジオ体操第一が流れている。
体操をしているのは現在2名。
異世界へトリップした高校生勇者とその一番下の妹。
朝から清々しく、兄妹仲良く体操している。
『小説家になろう』または『小説を読む』を通じてご覧の読者様、もし異世界トリップで勇者または主人公がラジオ体操をしている小説がございましたら、ぜひお教え下さい。
もし同じネタでかぶっていたのでしたら、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
もし、ぜんぜん良いと仰有られる作者様でしたら、ぜひともお友達になって下さい。
「お前達、朝から何をしているんだ?」
金髪碧眼に少し声が高い美少年王子様。
「ジャックしゃもじしゃん、おっはーよいござり、つわり…マッスル?」
一番下の妹の挨拶に、ジャクソン王子がずっこける。
「ジャクソン王子様、御早う御座りつかりまする。」
兄は妹の代弁を兼ねつつ挨拶する。
今朝、出来れば土下座してお詫びしたい人物の一人だ。
雫の挨拶もその思いでいっぱいに現れている。
その理由は昨日の晩に遡る…。
「扉絵できたよ〜♪」
この国に召喚された聖女こと鈴木静華の一言だ。
「お姉ちゃん、今回はどんなの?……ッ!!」
勇者と聖女の妹というある意味凄いポジションにいる雫は姉の書いた扉絵を見て固まる。
表現できるならば 雫の今の表情は(゜_゜)こんな感じた。
何故ならば、その扉絵の人物二人は……
あの騎士団長とエヴァンナ王女だ。
…お姉ちゃんはBLマンガじゃない王道少女マンガを書き始めた…。
雫のある意味ショックを受けていた。
あの三度の飯プラスおやつよりBLマンガ本をこよなく愛する姉が……?
衝撃のあまり雫はたぶん勇者?であり兄である静也にもその扉絵を見せる。
今も灰と石化している兄を目覚めた。
「静華っ!この二人はもしや?」
「そうです。ジャクソン王子とランスロット騎士団長♪」
((ああ、あなたはいつものあなたのままなのですね……))
兄と末っ子、重なる心のツッコミ。
しかしなぜ?
ジャクソン王子が登場?
雫が姉、静華が書いたネームを読み始めた。
5分後。
読み終えた雫。
「お姉ちゃん、今回は『男の娘』なんだね。」
「ピンポーン!雫ちゃん、大正解っ!」
静華は笑顔で答える。
「男の子?」
「違うよ、『男の娘』だよ。
女の子のカッコウをした男の子でつまり女装よ。」
兄の問いかけに答える静華。
「お姉ちゃん、今回はこの国で同性愛は抵抗感じる人、
多いみたいだからいいと思うよ。
けど、か弱い双子の妹の替わりに兄が舞踏会へいって男だってバレるシーンのヅラがとれて上半身が見えるとこは鎖骨から肩のラインまで!
キスのとこははっきり書いちゃダメ!
月を背景に二人の影が重なってキスしてるように見せる!」
「え〜。つまんない、乳首もだめなの?」
「こっちの世界の性に関する娯楽的書物では刺激が強いから男の乳首でもアウト。キスシーンも!」
「ジャクソン王子の可愛」
ぷっ……突然、吹き出して笑う静也。
「あはははー。あー面白ー親父とお袋、そのまんま再現したみたいだな…いつも会話はマニアック過ぎてついてけないけどな……」
鈴木三兄妹の父はフリーのギャルゲーシナリオライターで母は父が契約している会社の編集長をしている……
血は水よりも濃いというが本当のようだ。
変な妹達だがやはり俺の家族なんだな…
俺が早く強くなって魔族を捕獲してやれば家に帰れるんだよな。
この際だ!
雫に合気道(護身術)を習って強くなろう!そう心に決めた兄、静也の決心だった。
しかしながら、雫よ君はいったいどこまで知っているんだ。
やはり怖くて聞けない。兄の静也だった。
そして、話は最初に戻る。