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最後の足掻き


同時刻、ここはケーブルカーの車内。

怕維人と大男はいまだににらみ合いを続けていた。


「おいおいっ!.....大丈夫かよ?......かわいい生徒ちゃんが見捨てられたって泣いてるぜ。」

「.........」

「おっ?ぐぅの音も出ねぇか?」

「さっきからうるせぇなぁ......少しは黙れよ。」


大男は怕維人の精神に揺さぶりを入れるが、その効果は一向に現れない。

それどころか、だんだん応答するのにめんどくさくなって

静かになった怕維人の集中力が高まっていくばかり.......


万事休すとも思えた大男だが、まだ最後の一手があった。

それは――


「おや、考え事か?」


刹那、大男は右手で懐から小さな箱のようなものを取り出す。

それを怕維人の腹に押し付けると......


「来いッ!!」

「はっ?」


怕維人の耳に届く、カランッという金属音。

それも一つだけではない。


「五つ⁉」



大男が放った鉄球は3つ。

そのうち2つは新美に切られたため、合計5つとなっている。

鉄球には鉄が含まれているが、ただの鉄ではない。


純度99.99%の純粋な鉄。


転炉による精錬を繰り返すことで不純物を除く。

それにより完成した鉄である。

そして、純度が高い鉄は磁石に引きつくのが極めて高い性質を持つ。


つまり、


「さっさと死ねっ!!」


怕維人に向かって5つの鉄の塊が飛来する。


そう、あの小箱の正体は磁石。

しかし、敵への奇襲に使うため電磁石を使っている。


「ははっ、死ねえ”ぇぇぇ!!」


大男の目は勝利という景色に埋め尽くされる。

怕維人の腹....みぞおちに当てた小箱が、大男の武者震いによって震える。

このままいけば腹は貫けなくても、致命傷くらいは与えられるだろう。


そう、考えていた........


「いや.......バカじゃん?」


怕維人は冷ややかに笑う。

その顔に大男は不気味に思ってい、一歩後ずさりしてしまった....


「あっ、ラッキー!」


怕維人は大男が後ずさったことにより空いたスペースに、

大男の右手をはじきあげながら身を屈めて入り込む。


「なっ!?」

「もったいねっ。」


ガチャンッという金属音がして電磁石と鉄球がくっつく。

それを一瞥で確認した怕維人は――


「おまっ!」

「おせぇよ。」


大男に向けて拳銃を構えていた。

そして、引き金を引く。

バンッ!という音を発しながら。


「まだ......まだまだぁぁッ!!」 


最後のあがき。

大男は小箱を自分と拳銃の対角線に置く。


これは賢明な判断だった。

なぜなら、銃弾は金属製。

ほぼ磁石に引き付けられる。

これなら、最低でも致命傷はしなくて済む――



と、思っていた。



「ぼぉっ..!!.....べぁっ.....」


大男の右肩に風穴が空く。

それは、怕維人が発砲したことでできたものだ。


「.......はっ?」


大男はゆっくりと手を右肩に持ってくる。

感じる生暖かさ、ドロッとした気持ち悪さ。

その手を目の前に持ってくると、それは赤い鮮血に染まっていた。


「残念だな、磁石(それ)通じなくて。」

「い、いったい何を......」

「......あっ?何もしてねぇよ......あっ、けどこれおかげだな。」


怕維人はそう言って地面に落ちている銀色の弾を拾い上げる。

それは怕維人が発砲したものであり、大男に風穴を開けたものだ。


「.........銀弾か?」

「ピンポーン!大正解。」

「........だろうな。」


パケットはパケット高校に入学したときからすぐにこの銀弾を使う。[ep10]

だから、パケット内では銀弾が普通になっているが、

銀とは珍しい物質である。


しかし、それでも使い続ける理由。

それは――


「いや~、銀って磁石にくっつかないんだよね~。」

「......知っている。」

「あっ、そう?」


怕維人はしゃがみ込み、先ほどの鉄球を回収し車内に投げ捨てる。

もう、電磁石は壊れたが念のためだ。

だが、これでようやく安心できると怕維人は一呼吸つく。


ピッ!


「あ”あ”ぁぁ!!.....もう何よっ!」


そんなところへイヤホンの電子音が響く。

通信をしてきたのは――


【大丈夫ですかっ⁉】

「あぁ、良治か......」

【お、お怪我はしてませんか⁉】

「別に?元気ピンピン丸よ。今からサンズ戦だって出来そう。」

【そ、そうですか....?】


サングラスから状況を知った良治からだった。

その声は荒く、何か一仕事を終えたような......


「もしかして....?」

【はい、準備終わりましたよ。】

「でかしたっ!後でなでなでしてやるからなっ!!」

【.........じゃあ、それの代わりに奢ってくださいよ?】

「えぇ、それはやだ。」

【..........】

「わ、わかったよっ!」


怕維人はあたふたしながらそう答える。

奢りたくはないと心で思いながら、その反語が口から飛び出してしまった。

しかし、それで生徒が救えるなら......


「安いもんだな。」

【?】

「あぁ、いや、何でもない。」

【そうですか?】

「あぁ........じゃあ、行くか。」

【はいっ!】


怕維人の呼びかけに良治が返事をして同意する。



【「救出へ!」】


よかったら評価よろしく。


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