サポートの苦悩
途中で蜂が変な風になりますが、六文字しか喋れない影響なのでスルーしてください。
(普通に深呼吸とかで間を置いているだけです。)
怕維人達が通信をしている真っ最中、
この場所では一触即発の状況であった。
「だぁ、かぁ、らっ.......なんでいけねぇんだよっ!!」
「も、申し訳ございません。只今ダムの臨時改修を.......」
「だったら、ネットに載るだろう!?
予告なしにやってんじゃねぇよ!!こちとら有休を使ってんだよ!!」
「も、申し訳ございません.......」
いかにも機嫌が悪そうな男と話しているのは
黒部ダムのスタッフ服を着ている尚弥である。
直弥の額には汗がダラダラと垂れ、蒼白と化していた。
さらに、腰が震えているその姿はとても弱弱しく見えてしまう。
「わ、私では、な、何にもできず.......」
「そうじゃねぇよ!!するんだよ、なんで日和ってるんだよ?......あ”ぁ?」
「ヒィッ!!」
どうやら避難誘導の際に、経験不足のせいか不安を煽ってしまったようだ。
そのため、今はこのような状況。
言わば尚弥のせいである。
それを遠目から見ていた悠馬は左手を額におきながら、ため息をつく。
悠馬もまた尚弥と同じ服を着ているため、怪しまれることはない。
ならば、動くべきだろう。
口喧嘩というのは1vs1の状態を崩したものが勝つ。
今の状況で悠馬が行けば人数有利が取ることができる。
そうすればあの男も引いてくれるだろう.....
「すいませ~ん。どうしましたお客さん?」
「あぁ、いいところに........なんでダムに行けないのか教えてくれ。」
「........すいません、ただいま改修工事中でして.....」
「はぁ、そんなことは分かってるんだよ!!
なんでこんな急なんだよ!?おかしいだろっ!!」
確かに、筋は通っている。
通っているが.......
「はぁ.......」
「な、なんでお前がため息ついてるんだよっ!?」
「ちょっ、悠馬君それは......」
「あなたは何もわかっちゃいない。」
「はっ?」
「例えば、ダムの崩壊なんて怒ってみてください。
あなたが死ぬのはもちろん、あふれる水で周辺地域への被害、
黒部ダムという観光スポットの陥落.........
それらの責任を取る能力をあなたは有しているのですか?」
「そ、それは......」
「刑法130条の建造物侵入罪や、261条の器物損壊罪、
209と210の過失致死傷罪に問われる場合もあります。
.........それでもまだダムに行きたいですか?」
「ぐぅっ........」
「我々も二度と来るなということは言っておりません。
また落ち着いたときに最高の状態でご案内できることを喜ばしく考えています。」
そこまで言うと男は舌打ちをし、踵を返して帰っていった。
その背中は納得したような、不満なような.....
どちらにせよ理解してくれたことは変わらない。
「あ、ありがとう悠馬君。」
「ううん、大丈夫だよ。次からは気をつけたほうがいいかもね?」
「うっ、わ、分かった。」
悠馬がニヤニヤしながら尚弥に言うと、尚弥はこっぱずかしく答えた。
そんな情景の中、ふと遠くから女の声が聞こえる。
「あれ.......もう全員避難させたよね?」
「わ、分かんない。ぼ、僕らが気づいていないだけかも.....」
考えるよりまず行動を。
そんな言葉を体現したかのように、尚弥が声がしたほうへ動き始める。
しかし、誰か居残ってしまっては大変だ。
ダムから少し離れたこの場所も安全とは言い切れない。
自分たちの見落としで尊い命が失われる可能性......
「......行こうっ!!」
気づけば体が動いていた。
そのおかげで悠馬も尚弥に遅れずに動き出すことができた。
「少しでも........役に立とう。」
「.....!!.........う、うんっ!」
「ちょ、ちょ、ちょ......ちょっと待ってくださいっ!!」
「「!!」」
先ほどの女の声が二人の後ろから響いた。
いや、そのような気がする。
なにせ、ここは山の中。
音が拡散してしまうため、
よほど耳がいい人でないと発音源の方角は分からないだろう。
「........あっ、」
「けどこ、この声......」
それでも、2人は一斉に後ろを振り返る。
そこには――
「もうっ!なんで気づかないんですか!?」
「あぁ.......ごめん。」
「ちょっ、ちょっと分かりにくかったかも......」
「......はぁ、もうっ!!」
髪に葉を付け、両頬を膨らます夜蝶が立っていた。
彼女は山の斜面に片手を付けて、語りつけてきている。
「あれっ?......もしかして、山を下ってきた?」
「そうだよっ!?.....二人とも結構下にお行きになって........
私、何回か死にかけましたからね!?」
「「あ、あははは......」」
「ちょっと!冗談じゃないんですけど.....?」
敵がいるこの山ではぐれたらそりゃ、心配するでしょ。っと言いたげな顔。
うん、誠にそうだ。
それでしかない。
「ご、ごめん、雛ちゃん。」
「いいえ、もう済んだ話だからですよ。」
雛が合流し、三人となったことで安心感を得た悠馬は胸をなでおろす。
しかし、腰についている銃の重みでもう一度危機感を高める。
そう、自分たちは――
「て、いうかお二人とも?」
「「?」」
「穀瑠先生からの指示はお聞きになりました?」
「えっ.........?」
「だと思いました。」
「そ、それはどんな指示?」
「.......あ、うん。」
すると、夜蝶は少し上を見据えてこう言った。
「........行きましょうか、黒部ダムに。」
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