モニター越しに見えるもの
怕維人がケーブルカーで凩と電話をする少し前、蜂達は防犯カメラのチェックと、
富山県への対応、警察との連携を全てワゴン車の中で行っていた。
「いいですか、皆さん?防犯カメラに少しでも不審な人物を発見したら
私に報告してください。わかりましたね?」
良治が4人全員の顔を見ながら呼びかける。
ここ、ワゴン車内にいるサポートも、現場にいないが緊張感を感じていた。
しかし、さっきの『連絡』という第一関門を乗り越えたので、
すこしの慣れと安心が混ざりこんでいた。
「........?……良治先生?…怕維人先生が、誰かと電話しています。」
夕夏のサングラスから車内を覗いていた雛が、良治に報告する。
そのサングラスから見えたのは、
全員が怕維人のスマホに視線が集中している様子だった。
そのスマホには誰かと通話しているのか、通話画面になっている。
「私も確認しました。車内の皆さんの様子から多分スピーカーにしてると思うので、
皆さん、通信を接続コネクトして状況を確認してください。」
「「「「はい。」」」」
全員が目の前のパソコンを操作して、行動役のイヤホンとつなげる。
ただただ、車内にはカタカタとキーボードの音が響く。
「………つながりましたね。」
「せ、先生………早すぎないですか?」
「そうですか?………結構丁寧にやったんですが………」
長年の経験により、とてつもない速さでコネクトをする良治。
それは、生徒の中でも一番早い悠馬も驚くほどだった。
そこからは続々と全員がコネクトに成功する。
しかし、繫いだ先は―――
【〖先輩ッ!急にごめん、聞こえてるっ⁉〗
「お、おう......どうした急に焦って.......」】
「なんだ、凩か.......皆さん通信を切って.....」
【〖その車内から早く出てッ!!......全員死んじゃうよ!!〗】
イヤホンを通しながら機器の音を聞くと多少ノイズが入るが、
今のは完璧に聞き取ることができた。
逃げろ。
そういう意味を込めていった紅葉の言葉は、怕維人に届く。
【「バカか、お前?......そんなんに俺が気付かないとでも?」
〖えっ.......〗
「全ては俺の手中だ。」】
その言葉で全容を理解できたものは........多分このワゴン車内で一人だけだろう。
「皆さんっ!ケーブルカー周りの防犯カメラをっ、早くっ!」
車内に良治の声が響き渡る。
それにつられて全員が焦りつつも、カタカタとキーボードをたたき始める。
その間に良治は富山警察と富山県に報告をする。
[怕維人と凩あの二人が言ってるんだ.........多分、いや、絶対......]
「.......いた。」
車内に蜂の一言が響く。
「蜂さんっ!見つけましたか!?」
「うん........もう来る。」
「?」
もう来るという言葉に不安を覚えた良治は蜂のパソコンを覗き込む。
その目に映ったのは――
「........ジャストです、蜂さん。」
「これが.......」
蜂の画面が示しているトンネル脇の防犯カメラに、
ガタイのいい男とマスクをかぶった男が、
ケーブルカーの上に乗っているのが映っていた。
「蜂さんはこのまま監視を、ほかの皆さんはもしものために
近隣住民への避難と誘導をしてください。」
「「「「はい。」」」」
蜂と良治以外の3人がワゴン車から降りて、近くの住宅地の方向へと走っていく。
それを横目に見た蜂は、再度自分のパソコンの画面に視線を落とす。
「えっ?」
「どうしました蜂さん!?」
「いま男が中に入って........」
その時、怕維人からあの連絡が来たのだ。
〖敵遭遇、戦闘を開始する。〗
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