結果が全て
「そろったな..........」
新美はそう言うと、ジャージを着ているみんなを見る。
ここはあのなんちゃって入学式が行われた場所である体育館。
そこに賢雄たちは横一列に並べられている。
「これからお前らには、壁から出てくる的をお前らの得物で撃ち抜いてもらう。
的の大きさは直径40㎝だ。当たったり、5秒が経過すると裏に消える。
しかし、また出てくるから安心しろ。
ここから壁までの距離はざっと20メートル.......エアライフル射撃の二倍の距離だ。
入学したてのお前らには、ちょうどいいだろう。」
そういうと、新美は体育館を操作できるリモコンを取り出す。
「これから1分間、弾の補充をしながら行うからな。」
賢雄は驚く。
[えっ、弾の補充⁉そんなの無理だ......]
だが、そんな声を無視して新美は喋り続ける。
「今できるお前らの実力を見せてみろ...........では、」
来る!
「はじめっ!」
そういうと同時に新美はリモコンのボタンを押す。
すると体育館の上部に残り一分というタイマーが表示され、
壁の裏から的がひっくり返って出てきた。
バッ!!
全員が一斉に動き始める。
それに反して焦る賢雄。
彼はまだ弾の込め方すら知らない。
銃をガチャガチャしている間にもうパンっと乾いた音が体育館に鳴る。
それは、吾車のだった。
彼は素早い手つきで弾を込め、撃つを繰り返している。
吾車が4発くらい撃ったのち、賢雄をのぞいた全員も撃ち始める。
パンっパンっといった音が賢雄を焦らせる。
残り時間を見ると28秒。半分をもう過ぎている。
ようやくここで弾を込め終る賢雄。
手を震えながらも的を狙うが標準が定まらない。
気づけば残り15秒。
[もうこうなったら.......]
賢雄は引き金を何度も引く。
「うおぉぉぉ!!」
パンッパンッと速いテンポで音が鳴る。
手の震えや反動でそれどころじゃないが、一発も当たらないのが嫌だった。
「5,4,3,2,1..........やめ!銃を置け!」
全員が銃を置く。
銃を置き賢雄は周りを見渡す。
ほとんどが安堵したような顔をしている。
誰も不安に思っていない。
そう、賢雄から見たらだ。
「........なるほど、大体わかった。」
新美はタブレットを取り出し、何かを確認している。
「では、一様的に当たった順に言っていく。
まず、吾車。いい引きだ。その調子で鍛錬を怠るな。」
「うぃーす。」
「続いて、鳳翔。最初に躓いていなければ、一位を狙えたな。
次からは焦らずやれ。」
「はい、分かりましたありがとうございます。」
この地獄のような評価タイムはずっと続き.......
遂に最後になってしまった。
「最後だ。賢雄わかっているな?」
「......はい。」
「弾込めが遅く、照準も安定していない。
はっきり言うと、明らかな経験不足だ。」
はっきりと告げられる、重い言葉。
周りからはくすくすといった笑い声が上がる。
「お前のために当たった弾の数は教えない。
知りたければこの後来い。」
「.........分かりました。」
「.............これで後半の射撃訓練を終わりとする。が、最後に一つ連絡がある。」
そう言い、みんなの目を見て新美は言う。
「この学校の推薦入学者は課外授業のプログラム、すなわち任務がある。
それに出れるか出れないかもこの射撃訓練で決まる。
............今のところは誰一人として達成していないようだな。」
全員に衝撃が走る。
あの最初に早く打ち始めた吾車さえ評価基準に届いていない。
と、いうことなのだろうか?
「1分間で50...........50回当てれば許可を得られる。」
『⁉』
「今現在、トップの吾車が41点。これのあとプラス9点で合格だ。」
「は、はぁ~?......そんなん無理に決まっているだろう⁉」
「どうした吾車、不服か?」
「あのなアンタ。『五法』のこの学校への推薦基準は1分間で35点なんだぞ。」
「.........それがどうした?」
新美は吾車が何か狂ったことを言い出したように見る。
しかし、1分間で50発はさすがにやりすぎだ。
平均すると1.2秒で1点以上を取り続けなければいけない。
更に弾込めの時間や構える時間などを入れるともっと難しくなるだろう。
「ふざけんなよ........そんな無理難題出して楽しいのか?」
「ちょ、ちょっと晋也。やめたほうがいいって。」
吾車の隣にいる鳳翔が吾車を止めるが、もう遅かった。
「...........ほう。『五法』も随分と格が下がったものだな。」
「あ”ぁ?」
吾車がその言葉にキレる。
当たり前だ、誰だって家を馬鹿にされたら怒るだろう。
「なんだよ!!さっきから偉いことばっか言ってきやがって!
『五法』でもないやつが『五法』を語るなよ!!」
場が静まり返る。
痛いような静寂の中、ゆっくりと新美が口を開く。
「.........つまり、私が『五法』なら良いと?」
「だから......!!」
吾車が叫んでいることを気に留めず、新美が話を続ける。
「突然だが、実は私は結婚し名字が変わっているのだ。」
「はっ?」
「申し遅れた。私の旧名は吾車新美という。
同じ吾車の家として晋也そいつの行動を詫びさせてもらう。」
場が凍る。
先ほどよりも痛々しく、刺々しく。
晋也の顔を見ると、絶望したような、真っ青な顔になっている。
「..........!、証拠は?証拠はあんのかよ⁉」
「まだそこまで言うのか?.........まぁいいだろう、これが証拠だ。」
新美は晋也に何かを投げる。
「『五法』の家の者はいつでもその誇りとプライドを忘れてはいけない。
それを思い出させるために作られた、『五法』の家の者だけが持てる物。
それがこの『五法の紋章』。
まだ正式にパケットになっていない『五法お前ら』には早い話だがな。」
晋也の手の中にあるバッチ、この学校の校章にそっくりだが少し違う。
色が白の一色なのだ。
「まぁ、私もこの頃忙しくてな……家に顔を出せていない。
出せたとしても上の連中だけだからお前が知らないのも無理はない。」
だんだんと、晋也の手が震える。
それが全部物語っていた。
「............では、以上だ。明日、そのテストをもう一度行う。
この学園で、パケットとして生活がしたいなら、まず結果全てだ。」
そう言われると同時に、鐘がなり僕らの放課後が始まった。
◇◇◇◇◇
放課後の教室に明かりがともっている。
新美はある男に呼び止められ、再びこの場所に足を運んだ。
本当だったら本部などに送る資料作りをしている時間帯。
それを潰された元凶へと彼女は顔を向ける。
「で、何の用だ?...........服部賢雄。」
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