ガールズソード改!
第28話 ガールズソード改!
「婚約者だからって、剣をこんな場所に携帯するなんて理解不能だわ! 恥を知りなさいアヤティス。 そもそもアンタなんて、目に触れるだけでも不敬よ」
「そんな! 酷い⋯⋯」
「なにが酷いのです。 ドルワル様の婚約者は、この私⋯⋯ユイベルに決まっているんです。 突然現れた騎士の貴方なんかには務まりませんわ!」
「そんなことないわ。 私とドルワル様は、運命によって導かれているの。 そう、共に魔王を討伐する運命にね⋯⋯」
「まあ、汚らわしい女。 そうやって媚びて、他の男も虜にしたのかしらね? そんな体で、ドルワル様に縋り付くなんて、身の程を知りなさいよ!」
会場の冷たい目が、アヤティスに向けられました。 彼女はただ向けられる嫌悪な視線に耐えることしか、出来ませんでした。
そんな中現れたのは、渦中の王ドルワル。
ドルワルは来賓たちを掻き分け、こちらにやって来ました。
「⋯⋯これは、なんの騒ぎだ」
「ドルワル様。 こちらのアヤティスが不敬な発言をしたものですから、咎めておりましたの」
「⋯⋯私はただ、ドルワル様が魔王を討伐する運命だと、申し上げたまでです」
アヤティスは控えめに。 しかし、彼の目を見ながら話しました。
ーーすると。
「ははは、傑作だ! アヤティス。 私が魔王を討伐だと? なぜこの私がそんなことをしなくてはならないのだ?」
その嘲りを込めた笑い声に、彼女は絶望感を覚えた。
「くだらぬ、世迷子をほざきおって⋯⋯アヤティス。 お前との婚約を破棄する! 魔王退治がしたいなら、勝手にやれ!」
突き放すように告げられた、宣言に固まるアヤティス。 その発言に一番に声を上げたのは、ユイベルだった。
「ふふ。 無様ね、アヤティス。 さあ、ドルワル様。 私と一緒に⋯⋯」
「貴様もだユイベル。 お前如きが我と結ばれようとはな」
「どういうことですの。 私を婚約者にするのではないのですか?」
「離せ! 貴様、不敬だぞ! 衛兵よこの者たちを追放しろ」
「⋯⋯そんな。嘘でしょ⋯⋯」
こうして、アヤティスとユイベルは追放されたのだった。
「なんでよ! どうして私まで追放されなきゃならないのよ。 こうなったのもアンタのせいだからね。 責任をとってよ!」
「寒い。 ⋯⋯ユイベル、ここは冷えます。 場所を変えませんか?」
「はあ? どうしてアンタと、一緒に行動しないといけないのよ! アンタの辛気臭い面を見ていたら、こっちまで気が滅入るわ⋯⋯」
二人が話していると、突然馬車が通りかかり、中から白いローブを纏った女性がおりて来ました。
「チ。 ガキども、さっさと乗れ!」
「なんですか貴方は? 僧侶の姿をしているようですが?」
「神のお告げだ。 ここに導きがあると。 さあ魔王討伐に行くぞ!」
「は? 私は関係ないでしょ! 離しなさいよ!」
こうして三人は、遠い魔王城を目指すのでした。
時は流れてーー
「大変です! 人間どもが城に攻めて来ました!」
「城の守りを固めろ! この城に奴らを入れるな!」
一方。 この城の主ーー魔王は、撃退を部下に任せて酒盛りをしていました。
「ふう。 人間如きが、この魔王には向かうなんて100年早いわ」
「あれ? 魔王様、酒盛り中? おかわりいる?」
「魔王。 討伐します、覚悟!」
「ヌウ。 貴様なに奴! グハ⋯⋯体が動かぬ。 まさか、この酒に毒が」
「ザコ~ 毒で死んでやんの」
「無念⋯⋯」
魔王はなにも抵抗が出来ず、そのまま息を引き取りました。
「⋯⋯呆気なかったわね。 こんな雑魚のために、私たちは無駄に時を過ごしたのかしら、アヤティス?」
「過去は戻らない⋯⋯ 私たちは進むだけよ、ユイベル」
「はわわ。 見ましたか? これがコトネ様のお力です。 さあ、みなさん。 神子様を崇める会に入信を。 詳しくはこの後、別室にて説明会を行います。 みなさんふるってご参加を⋯⋯」
「お、体が! 魔王にかけられた呪いが解けてた⋯⋯」
「貴方様は、英雄ケンタロウ様!」
こうして、魔王を討伐した彼女たち。 しかしーー
「はいはい。 パチパチ」
「貴方は⋯⋯何者?」
「私はアカーナ。 貴方達の茶番劇。 実に愉快だったわよ」
「茶番ですって?」
「そう。 貴方達の演技なんて私から見れば、ただのお遊戯会でしかないのよ」
どうやらこのアカーナが黒幕であり、裏で魔王を操っていたらしいーー
「それで? 貴方が出て来てなにが出来るの?」
「⋯⋯⋯」
「答えない時点で、アンタは負けよ」
「アカーナ⋯⋯貴方は既に負けているの」
「はわわ。 今、入信していただきますと、神子様アイテムプレゼント! みんなで見せびらかして、自分の権威をアピールしよう!」
「おいおい。 俺の存在を忘れてもらったら困るぜ」
「そうね。 私はなにも出来ないわ⋯⋯ 私の存在こそが茶番だったわね」
明里はそう言うと、舞台にいるみんなに向かって頭を下げる。
「この度は、申し訳ございませんでした」
『よし! よく言えた!』
キャスト全員が彼女を労う。 倒れていた魔王も一緒に。
そして、そのままカーテンが閉まる。 当然会場は拍手喝采だった。
めでたしめでたし。
「クッション!」
「ことね。 すまん⋯⋯やっぱり、暖かい所に行くか?」
「いや! これは寒いからじゃないから⋯⋯ありがとう湊」




