ミウミウの弱点みっけ!
初夏の朝、全校生徒が体育館に集まった。 今年の生徒会長の立候補者の演説が始まろうとしていたーー
16、生徒会長選挙に出よう!
「いよいよ始まるね! 瑞稀ちゃん! 頑張ろね!」
「うん! 頑張ろ、ことね!」
私のとなりには、推薦人としてーー川端ことね様がいる。 本当にありがたいスケットに、私の心は高鳴る。
ーーそして、もう一人。 マスコットキャラを完成させた。
17、マスコットキャラを作ろう!
このマスコットキャラの名前は『ミウミウ』。
黒髪に制服姿のかわいいマスコットだ!
「ブグ、グブ」 (瑞稀! 一体なんですのこれは!)
おっと、中の人が怒っているねーーここは、彼女を宥めよう!
「ミウミウ。 緊張しているのはわかるけど落ち着いて、ね」
「ググブ」 (落ち着いていられませんわ! なんでこんなこと)
「美羽ちゃん! 大丈夫だよ! 私たち頑張ろ!」
「グブブ」 (ことね様! 騙されています。 この女は生徒会長にしてはいけません。 学校がめちゃくちゃなことになりますから)
ーーおやおや。 ことね姫に、一緒懸命に説得していますね。 でも、貴方がいくら叫んでも、何も伝わりませんよ! ーー私以外には、ね。
「グブ!」 (瑞稀! 諦めるのですわ! 貴方には生徒会長は務まりませんわ! ⋯⋯それに、この学校の二年生の人達を舐めないことですわね!)
たしかに、彼女の言う通りである。 今回立候補した生徒会長候補者は私を入れて5人。 私以外の4人は二年生。 しかも、優秀な肩書を持っている強者だ!
ーー私のこの学校生活でやりたいことリストの中にも当然入っていた。 でもね、ミウミウ。 私はなんとしてでも、生徒会長になって見せるから! そうしないと、私の目標が、頓挫してしまうからーー
「私、絶対に生徒会長になるよ! ミウミウ!」
「グブ!」 (ふん! 言うだけなら誰でも出来ますわ!)
「⋯⋯ミウミウが頑張ったら、ご褒美にご飯をたくさんあげるよ」
「グブ?」 (ご飯? ⋯⋯本当に?)
ーーかかった! 運動会の時から、疑問に思っていたから、ずっと彼女の食事を観察してたんだよね。 ことね姫様の前では、一緒に食べないで見守るだけで、いつ食べるのか、疑問だったんだよね。
その後「お手洗いに行きますね⋯⋯」とことね姫様に言うと、高坂さんと合流した時は「ことね姫様に内緒で二人で密会? 私のことね姫様を傷つけてたら許さないから!」って思ったんだけど。
高坂さんから出て来たのは、超巨大な箱? それで何するの? って見ていたら、中には、大量な食料がーー
二人とも、食いしん坊なのかな? って見ていたら、高坂さんは呆れてた顔をしてただ見ているだけ。 一方ミウミウは、満面の笑みでご飯を食べていた。
そして、驚くのはスピード! しっかりと噛んでるように見えるのに、気づいたらあっという間に、食料が空に!
ーーそして、一番驚いたのは「全然足りないですわ! あと3倍は欲しいですわね」と言う、驚愕の一言だった。
正直、引いたわね。 それと同時に、隠れてコソコソ密会をしている理由がわかったわよ。 以来、私は影ながら、ミウミウの昼ご飯を食べる協力をしたよ。 当然、密会している間は、ことね姫様が一人だものね。
最初はことね姫様に声をかけるのを躊躇ったわよ! だって姫様の表情が凄く絵になっていて! まさに『孤独な姫様』みたいでうつくしかったから。 ーー二人とも、バレてるよこれ⋯⋯ しかも『密会』していると言う事実だけが。
でも、「ことね!」と声をかけると、いつもの表情で私のことを見てくれて、とっても嬉しいから、別にいいや。
「ググブググ〜」 (美味しいご飯! たくさん食べるのですわ!)
「うん。 期待してね、ミウミウ!」
「グブ!」 (頑張るのですわ!)
よしよし、これで味方であり、最大の敵の彼女を黙らせることに、成功したね。 さて! 頑張って生徒会長になるぞ!




