ヒロイン争奪戦
「⋯⋯それでは、第二回文化祭会議を行います。 今回は、体育館の催しのタイムスケジュール調整と、舞台の配役決めを行います」
「あの? 役割決めですか? それってこの中から、配役を決めると言うことですか?」
「その通りです、はわわさん。 この中のメンバー限定で固めます」
「吉澤です。 異議を申し上げます! ことね様がいないじゃないですか! 彼女無くして舞台など出来ません」
またこの子か、会議が始まって早々に、司会者である私に抗議するなんてーー
私がそう思っていると、彩乃さんがはわわさんの方へ、駆け寄って行った。
「ことねがいなくても、問題ないわよ。 ヒロインである私がいるもの」
「⋯⋯えっと、貴方誰ですか?」
「桐原彩乃よ! 覚えなさい。 ⋯⋯私は、この世界のヒロイン。 舞台の主役は私にこそ相応しいのよ」
ああ、また発作が始まったんだね。 ことねや舞香ちゃんが、心配するのもわかるよ。 昼休みの時の一言といい、彼女も田中書記と同じかーー
「ふふ。 さっきから聴いていれば⋯⋯この世界のヒロインがアンタですって? 笑わせてくれるわね。 どうもこんにちは、私こそが世界のヒロインよ!」
そんな風に思っていたら、もう一方からも声が聞こえて来た。
みんなが一斉に声の報告を向くと、ドヤ顔をした榊原会計がいた。 ああ、貴方もそうだったよね。 知ってた。
「⋯⋯なんですって?」
「あらあら? 聞こえなかったみたいね? それとも、現実を直視するのが怖いのかしら? ふふ」
「はわわわわ」
二人の視線がばちばちに交差する。 なぜか間にいる、はわわさんが可哀想だね。
よし! ここは私が仲裁しよう。
「彩乃、落ち着いて! ホラ、ゴロゴロ⋯⋯」
「ニャー、ニャー」
よし、彩乃は落ち着いた。
「ゆいゆい。 ヨシヨシ⋯⋯」
「ぷくぷく」
どうにかなった。 私は原因である、はわわさんを睨みつけた。 彼女は、キョロキョロしながらも、私に訴えてきた。
「⋯⋯だって。 ことね様が、特別な存在⋯⋯なんです。 この文化祭はことね様にとってとても大事な行事なんです!」
そんなことを、涙目で言われてもーー
「⋯⋯仕方ないじゃない。 姫様がやりたくないって言うから⋯⋯」
そう、私はことねと姫様に、舞台の参加をお願いした。 だけど、断られたのである。
「えっ、え~? そんなこと最初に言ってくださいよ! じゃ、問題ないです」
あっさり、引き下がる彼女。 なんだかなーー
「⋯⋯二人とも、席に戻りましょうか?」
「いいえ、私はここでヒロインになると宣言するわ!」
「なんですって? 私がヒロインになるわよ」
また、喧嘩する二人。 誰か助けてください。
「そんなに言うなら、二人ともヒロインをすればいいだろう」
そう声を出した人物は、脚本の田中書記だった。
「⋯⋯ここに、台本が二冊ある。 どっちかのヒロインを選んで、演じればよい」
「えっと、なになに⋯⋯邪神VSミウミウ 守れ我らの理想学園! もう一つは、ガールソード ~魔王討伐は、婚約破棄の後に」
「当然! 私はガルソーね。 アンタは着ぐるみでも被っておきなさい」
「いやよ! 私もそっちがいいわよ!」
「なんですって! アンタ、なんて図々しいの!」
「はわわわ⋯⋯」
また喧嘩が始まった、そしてさっきと同じ状況にーー
「二人とも~、落ち着いてね」
「フシュー」
「ブクブク」
この二人をなんとかしてよ誰か! 私は視線を泳がせ助けてくれそうな人を探す。
「ぐう⋯⋯もう~。 校内バイキング最高ですわ⋯⋯ぐう むしゃむしゃ ぐう」
ミウミウ! 寝てないで助けてよ!
柳田庶務は駄目だ、この二人相手だと、火に油を注ぐようなものだ。
「やれやれ、私ですか? 仕方ありませね。 これから会議でしっかり話し合いましょ」
こうして、田中書記の監督の元、配役を決めるのであった。




