柳田庶務の確執
「えっと今川さんお話しと言うのは?」
「瑞稀さんは、この期間も毎日ゲームしているの?」
「当然じゃないですか。 私にとっては、ゲームと推活は空気と同じ⋯⋯って先生の質問は今はいいんです」
「せっかく、落ち込んでる瑞稀さんを、リラックスさせているのに⋯⋯」
そう言うと先生は、落ち込んだ様子を見せる。
ーーもしかして今川先生は、私が暗くならないように、ボケてくれてたのだろうか?
「ふふ、そうだよ倉石さん。 そして、黒田さんも貴方が追い詰められないように、空気を読んでたみたいだね。 じゃなきゃ、僕たちは嗜まれただろう」
そう言うと、今川太一さんは苦笑いを浮かべる。
「⋯⋯みんな不器用なのさ。 でも世の中、真っ直ぐだけじゃ生きていけない。 君も、わかる時が来るさ⋯⋯」
彼の表情に、私は色々な葛藤があったことを、想像したのであった。
「ねえ? うちの旦那に惚れちゃった? ⋯⋯駄目だよ、瑞稀さん。 私のだから」
そう言ってまた、イチャイチャする二人。 他所でやってください。
「はいはい。 それで、体育館以外の業務を僕たちが、担当すればいいんだね?」
「そうです。 体育館は私たちが管理しますから⋯⋯」
「取り分については、変更はありますか?」
「ありません。 お互い、ウインウインでいきましょう」
「了解です。 ではこちらの指示としては⋯⋯」
私たちは一時間程、真剣に話し合いをした。
「瑞稀、いるか?」
「柳田庶務、お疲れ様です」
「ふふ、柳田君。 ご苦労様」
「⋯⋯どうも」
二人の間に、気まずい空気が流れている。 私は彼が来た理由を聴くことにした。
「どうしましたか?」
「おう。 取り込み中だったなら出直すよ」
「いえ、私は失礼いたします」
「ありがとうございます」
今川太一さんは帰って行った。
「柳田庶務。 要件は⋯⋯」
「今、終わった所だ」
どうやら、柳田庶務はこの状況を助けに来てくれたらしい。 ついでだから、色々聴こうかな?
「もう。 柳田庶務のおかげで怒られたよ」
「ああ、悪かったな、俺のせいで⋯⋯」
「そうだよ! 黒幕じゃなくて、黒田さんじゃないですか!」
「え? そっち?」
「それ以外になにがあるんですか! 私、完璧に騙されて土下座までしたんですよ!」
「えっと⋯⋯それはすまない」
気まずそうに謝る、柳田庶務。 すると、まだそこに居た今川先生が、柳田庶務に話し掛ける。
「健太君? 私の旦那が、悪いことするわけないでしょう?」
「先生⋯⋯えっと、そうですね」
明らかに、愛想笑いを浮かべる柳田庶務。
「柳田庶務は、黒田さんのことが嫌いなんですか?」
「⋯⋯瑞稀。 それを聴いてどうするつもりだ? お前には関係ないだろ。 これは俺の問題だからな⋯⋯」
「それなら、聞かないけどさ⋯⋯」
まあ、彼のストーリーに口は挟むつもりないし。
「ふん。 まあ、アイツらとは色々あってな⋯⋯実は既に無関係じゃないんだぜお前は。 俺と榊原結衣を同時に、誘った時点でさ⋯⋯」
「うん。 私も、うすうす感じてるよそれ⋯⋯」
アレだね、ゆいゆいは黒田派って奴だよね? じゃあ私も黒田派?
「お前は中立だろう。 ⋯⋯いや、それどころかブラックホースかな? つまり、お前が俺たちを抑えて、頂点に立てると言うわけさ⋯⋯面白いだろ」
いや、全然面白くない。 私はただの推活とゲームが好きな一般生徒会長です。
私の心のつぶやきは、エタナぐらいにしか聞こえなかった。




