推活仲間が出来たよ!
「部活の承認はできません」
「え~? どうしてですか! 名前が悪いのでしょうか? しっかり記述してます。 完璧なはずです!」
「人数が最低でも、五人ないと部活として認められません」
「そんな~⋯⋯私の、のんびり推し活部が!」
職員室で私は体育座りを始めました。
「そんなに部活をしたいなら、部員を探しに行きなさい」
「えー、こんな部活、入ってくれる人いないですよ!」
「そう思うなら、諦めて他の部活に入れ! ⋯⋯ちなみに、帰宅部は認めないからな。」
私はうなだれます。 今から、無所属の生徒を探さないといけません。
「絶望だわ、他の部活なんて上下関係とかがあって、サボれないじゃん。 というか、そもそもなぜ部活に入ることが絶対なの? 間違っているわ!」
私は、入学式で提出したこの難題に直面していました。
ーー私には、友達がいないから、そんなことを言われても困るよ!
休日の昼前、ゲームセンターで、私は対戦型のゲームをしていた。
相手は機械ではなく私と同じ人間である。 パンチを連続で繰り出し、必殺技の爆裂拳を繰り出すが、相手にガードされてしまった。
ーーコイツ出来る、思わぬ強敵に私の腕が震えた。
その後も接戦は続き、ドローの最終決戦へ。
私はここで勝負を仕掛けた。 ジャンプからの斜めキック! 相手は退けぞる。
やった! 勝ったよ! 私は勝利を確信した。
しかし、相手が退けぞりの姿勢で、ダブルキックを繰り出した。 私は不意を突かれ、ノックダウン。 結果、負けてしまった。
勝負に負けた悔しくさはあるが、手汗握るバトルを体験した私は、対戦相手に握手を求めるために、相手の元に向かう。 しかし、そこにいたのはクラスメイトの川端ことね様だった。
ーー驚いた! まさか川端ことね様はゲームが得意だなんて! あれ? 今日はお目付け役の高坂さんはいないのかな? ミウミウもいない? もしかして彼女一人? そんなことあるんだ!
「え! 委員長! ⋯⋯こんなところで会うなんて」
「こんにちは、川端さん!」
「こんにちは、委員長さん」
「あの⋯⋯たしかに私は委員長だけどさ⋯⋯」
ーー『委員長さん』か。 なんだか距離を感じるなぁ。
二人の間に気まずい、雰囲気が流れる。 実は二人とも、同じクラスなのに、タイマンで話したことがなかったのだ。 この前の体育大会の時、私はミウミウと司会をしていたので、ことねと力を合わせて何かをした訳ではない。
ーーでも、私の心の中の感情が、彼女を求めている!
「えっと⋯⋯委員長。 今日はいい天気ですね」
「⋯⋯川端さん、すごい闘いでした!」
「闘い? ⋯⋯ああ、委員長も見てたんだね、私の試合」
「握手してください、川端さん!」
「え? ⋯⋯うん、わかった!」
こうして、満足する私と、状況を理解出来ていない、ことねの二人は握手するのであった。
12、推活仲間をつくる
「やっぱり! あのシーンは熱かったよね! 瑞稀ちゃん! さすがわかってる!」
「ことねちゃんこそ! 推しの魅力を理解しているね!」
数時間後、街を歩く二人は、初対面のぎこちなさはなくなり、お互いに意気投合していました。
ーーどうしよう! 私、感動しているわ! あの、川端ことね様と一緒に推しの会話が出来るなんて!
私はことねの目を見ます。 ことねの目は、優しくて、温かい瞳をしていました。 そして何より私のことを、まっすぐに見ていました。 もっと、ことねと仲良くなりたい。 そのとき、私はいい提案を思いつきました。
「ねえ~ことねちゃん! 学校の部活決まってる? よかったら、私が創設する部活に入らない?」
「いいね! どんな部活か当て見せるね! のんびり推活部でしょう!」
正解と言わんばかりに、私は、ことねに抱きつくのでした。
13、友達をつくる




