ミウミウVS瑞稀 ーー櫻井美羽視点
「はい、倉石ですが」
「すみません。 瑞稀のお母さん。 瑞稀はいますか?」
「⋯⋯いいえ。 ⋯⋯瑞稀がどうしたの?」
「あ、いえ。 いないのでしたら問題ないです! 失礼しましたわ」
瑞稀! どこにいるんですの!
先日からの態度、私の腑は煮えくりかえっておりますわよ!
私たちは親友ですわ! 貴方がどう思うか関係ないですわ!
その貴方が悩んでいるなら、手を差し伸べるのが私ですわよ。
「⋯⋯はい。 田中ですが」
「サッチー! 瑞稀はそこにいまして?」
「いいえ、いないわよ?」
「⋯⋯ゆいゆい! 二人してなにしていますの!」
「えっと。 秘密」
「アンタには秘密ね」
なんでですの? 私も、生徒会役員ですのよ!
もう、プンプンですわ!
「川端よ⋯⋯って貴方、いつまでほっつき歩いているの?」
「姫様! 瑞稀は!」
「コッチに来るわけないじゃない⋯⋯ほら、早く家に入りなさい」
もう! いないのですわ!
そうですわ! もしかして桐原家にいるかも知れませんわ!
「桐原⋯⋯」
「瑞稀!」
「おいおい。 応答して早々に吠えるな! 耳がキーンてしただろ」
「あれ? 健ちゃんですわ?」
「そうだぜ。 それが?」
「瑞稀はどこにいまして!」
「アイツはもうここにはいないぞ」
もういない? と言うことはーー
「瑞稀!」
「ミウ⋯⋯櫻井さん」
「探しましたわよ! なんで学校にいるのですの!」
「⋯⋯なんでと言われましても、私は生徒会長ですから、文化祭の雑用をこなしているだけですが? なにか問題でも?」
「大アリですわ! 瑞稀! どういたしまして? 最近の貴方は、全然らしくありませんわ!」
「⋯⋯私らしい、ですか。 櫻井さん、それは貴方の思い込みじゃないですか? 教室の様子を思い出してくださいよ⋯⋯ほら、誰も私に話し掛けてくれないでしょ」
「そんなことありませんわ! 私にことね、そして彩乃だって! 貴方に話し掛けますわ。 クラスのみんなだって⋯⋯」
「でも、それって貴方の主観ですよね。 ⋯⋯客観的に見て、どう考えても私は、ただの生徒会長でしかないんですよ⋯⋯」
そう言うと、瑞稀は作業を止めて、部屋の窓から外を見たーー
「⋯⋯私はね、生徒会長になれば⋯⋯みんなと仲良くなれる。 そう、思い込んでいたんですよ。 でも、現実は無情です。 みんなから見て私は、ただの生徒会長としか見られなくなった。 私とクラスメイトの間に、見えない壁があるんです。 ⋯⋯貴方も転校して来た時、感じたでしょ? その壁を。 私は超えることが出来ない⋯⋯だって私は臆病だから、貴方と違ってね」
一通り、話し終えて満足したのか、彼女は手を振って、私を帰そうとしましたわ。 それで、貴方の言い分は終わりですの?
私は大きなため息をついてしまいまてよ。
「⋯⋯問題でも?」
「呆れましたわ。 なんてくだらないこと」
「⋯⋯なんですって? よく聞こえませんでしたね⋯⋯」
「くだらなすぎて、呆れたと言っているんですの!」
「はあ? 私の問題がくだらないだって! 貴方に、私のなにがわかるのよ!」
「瑞稀が言った通りですわ、私も臆病ですもの⋯⋯私たちは似たもの同志ですわ」
「だから! ミウミウと私は違うの! ミウミウは臆病なんかじゃない!」
「瑞稀は臆病なんかじゃないですわ! 私と違ってですわ!」
瑞稀は、ポカンとした顔をしていますわね。
「瑞稀。 私だけじゃ駄目?」
「え?」
「私だけでもいいじゃないの!」
「ミウミウ⋯⋯」
「二人で一緒に、明日を迎えるのですわ!」
「⋯⋯私はミウミウだけには、弱みを見せたくなかったのに⋯⋯」
「ふふ、私も貴方には、弱みを見せたくないですわ」
私たちは二人で夜空を見上げてたーー
なんだか、貴方がいればなんでも出来る気がしますわーー




