瑞稀の開き直り
ご飯を食べた後、榊原さんは作業を始めた。
私は、それを黙って見ているだけーー
あれ? 私って秘書だよね? これじゃまるで雑用係じゃない?
私は鏡を見た。 ーーそこには、普段の私がいた。
「あの、榊原さん」
「⋯⋯なにかしら、瑞稀」
「私って雑用係だったんですね⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯なにを言っているのかよくわからないわね」
じゃあ、その不自然な間はなんですか!
「そ、そんなことを気にしている場合? アンタは、そこで私の仕事を見守るの! それがアンタの仕事よ?」
めちゃくちゃ動揺しているじゃないですか!
やっぱりそうだったんですね! 私はショックで跪いたーー
「ふぅ。 こんなもんかな? よし! 終わり」
「ふーん。 そうですかー」
「アンタ、先輩に対しての礼儀がないわよ?」
「そうですねー」
私は拗ねいた。 だって秘書をやりたかったんだもん! 実質雑用係じゃガッカリだよ! ハァー。
「じゃ、私寝るから」
「⋯⋯もう準備できてますよー」
拗ねた私は、彼女を誘導する。 彼女がなんか言っているが関係ない。
「ちょっと! アンタ! なにしているのよ!」
「お風呂ですけど?」
「ですけど? じゃないわよ! なんで一緒に入ってくるの!」
「はい、湯船にゆっくり浸かってくださいね。 あったかいですか? ⋯⋯そうですか。 はい、お背中流しますね⋯⋯」
お風呂が終わった後は、睡眠だ。 ーー途中、暴れたり、噛みつかれたりしたけど、今は大人しくなった。 寝る場所? 同じベットですが、何か?
「ア、アンタ! 昨日は動揺していたくせに! なんで今日は、そんなに大胆なのよ!」
「⋯⋯だって、秘書じゃないですから⋯⋯私」
「それだけの理由で! 嘘でしょ⋯⋯」
嘘である。 本当はさっきから誤魔化しているだけで心臓がバクバクだ。
「⋯⋯まったく⋯⋯そんなことで⋯⋯こんなたいど⋯⋯こまる⋯⋯わ」
「寝ちゃったかな」
『瑞稀』
榊原さんが寝たタイミングを見計らって、エタナが話しかけてくる。
『⋯⋯この者は、なにやら孤独な側面を持っているようですが』
「そうだね。 ⋯⋯だけど。 必ず、暴かなくてもいいんだよ」
私は、彼女の頭を撫でる。 すると、彼女が優しく微笑んだーー
「瑞稀! 起きなさい! 行くわよ!」
「おはようございます。 ⋯⋯えっと、行くってどこに?」
「アンタの家よ! アンタ、親に電話もせずに外泊したでしょ? ⋯⋯しょうがないから、一緒に謝ってあげる」
「ア、ア、ア」
「どうしたの? 瑞稀?」
「完全に忘れてた!」
え? どうしようーースマホは、電池切れてる! まずいまずいよ!
「ハハハ⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯⋯いいわね。 アンタの顔、そそられるわ⋯⋯」
どうしよう! 私は今、絶望感に溢れていたーー
「ただいま」
「瑞稀! 心配したのよ! 電話ぐらいよこしなさい!」
「お母さん。 仕方ないよ、仕事だから⋯⋯」
「なにを開き直っているのよ! まったく。 徹夜でゲームをするか、朝帰りかのどっちかしかないのかしら!」
「⋯⋯すみません、奥様。 私が原因でして⋯⋯」
「まあ! 榊原さんは関係ありません! 母娘の問題です!」
その後、コッテリお母さんに説教されましたっとーー
「お母さん⋯⋯か。 アンタが羨ましいな⋯⋯」
「全然、羨ましくないですから!」
「みんな、そう言うよね⋯⋯」
「それよりも。 本番が近づいて来ましたね! あっという間ですね!」
「⋯⋯へぇ、アンタそんなこと言うんだ⋯⋯」
あれれ、榊原さんの表情が怖いですね? スマイルが欲しいです!
ーーその後、私は事務所についても、怒られ続けたのであるーー




