ミウミウと『ことね』と姫様4 ーー川端ことね視点
『私。 気持ちはわかるけど落ち着いて! ね!』
「なによ! アンタだって湊を取られるか心配だったくせに」
『そうだけど。 あんなに詰め寄ったら美羽ちゃんが可哀想だよ!』
「⋯⋯もうわかったわよ、しばらく静かにしているから⋯⋯」
そう言って、静かにしておくつもりだったのになぁ。 ーー呼ばれたなら出るしかないようね。
「⋯⋯その通りよ、アンタが探している私は私」
「どう言うことですの?」
私はミステリアスに決めようとしたーー その時。
「ワンワン」
「ジョセフですわ! おはようですわ!」
「⋯⋯あ」
「ワンワン」
私はジョセフを見つめる。 なんてかわいいのかしら! ーーまあ、好きで言ったら猫の方が好きですけどね。 まあ、犬も好きですけど。
「ことね?」
「⋯⋯ワンちゃん。 かわいいワン」
『ジョセフだよ私。 ⋯⋯それよりも今、大事な話しの途中じゃなかったの? ⋯⋯駄目だ。 ごめんね、美羽ちゃん。 私がそれどころじゃないらしくてね。 ほら! 一緒にお父さんを説得しに行こ!』
『わあ、美羽ちゃん! いっぱいあるよ! どこから食べようか?』
「ことね、食べ周る気満々ですか?」
『そうだよ! 全部食べるんだ!』
「そんなの無理ですわ! ⋯⋯さすがに祭の屋台のご飯を食べ尽くすには時間が足りませんわ⋯⋯」
うん? このお嬢様、とんでもないこと言わなかった? ーーなにかしら? 嫌な予感がするんだけど?
『まずは唐揚げ棒だよ! 美味しい!』
ーーまったく『私』は呑気ですね。 横から変なオーラを感じているのに。 それとも、これがサディストと言うことなのかしら? だったら私には無理ね、さっきから怖いからーー
「⋯⋯一口食べてもいいかしら?」
『当然だよ! はい、どうぞ!』
「とても美味しいですわ! もっと食べたいです!」
『お! 美羽ちゃん、やる気だね! どんどん食べようね〜』
いやいや、やばいでしょう! なによこの速度! ちゃんと噛んでる?
『あれ、美羽ちゃん? もう食べちゃたの! ⋯⋯待っててね、買ってくる!』
ーーこうして、私は見事に配膳係を任されることになったーー
『唐揚げ棒、フランクフルト、たこ焼き、豚平焼き、焼きそば、チョコバナナ、りんご飴、クレープ、綿菓子、ポン菓子、ベビーカステラ、かき氷⋯⋯』
「なんですの! 呪文見たいに唱えないでください!」
『全部、美味しかったね!』
「そうですわね! ⋯⋯でもまだまだいけましてよ!」
「やめてよ。 貴方食べすぎよ。 体、大丈夫なの? 祭だからって食べ過ぎは⋯⋯」
「はい。 祭だから、しっかりと押さえてますわ! 私はしっかりと加減が出来る人間ですので!(キリ!)」
なに決めポーズとっているの? 全然加減なんてしてないわよ。
『大丈夫? ゆっくりしとく?』
「いいえ、むしろ、食後の運動をしたい気分ですわ!」
『ちょっと! 美羽ちゃん、あんまり走り回ると危ないよ!』
「⋯⋯なんなのかしらあの子」
『でも元気なのはいいんじゃない?』
「⋯⋯ふん。 ⋯⋯ってあの子、なにしているのよ」
『うん! 遊戯屋台にクレームを入れているね!』
「行くわよ」
私は美羽に駆け寄る。 彼女は的当てをしていた。
「⋯⋯なに? イチャモンつけているわけ?」
「景品に接着剤を塗っているのんですわ、何度当てても手に入りません!」
「⋯⋯で? どうなんですか?」
「お嬢ちゃん。 掠ってたぐらいじゃ落ちない大物だからだよ」
「⋯⋯だ、そうよ」
「くう。 次なのだわ!」
次は、スーパーボールすくいね。 あ、破けたわ。
「このポイ詐欺ですわ! ワザと破れ易い素材を使用してますのね!」
「美羽お嬢様。 そうでなければ遊戯にならないでしょう?」
「⋯⋯! えっと、次ですわ!」
ーーそれで次はなんなの?
「くう! 大将! このカラボールのバネおかしいですわ! 入りませんもん!」
「⋯⋯お嬢様。 こちらはこのように使うのです」
「素晴らしい! お客様! 大当たり!」
まあ、こんなものね。
「ことね! 凄いですわ!」
「ちょっと、抱きしめないでよ。 この子、力強いわね」
『的当て、スーパーボール、金魚すくい、カラボール⋯⋯』
「また、呪文ですの⋯⋯」
『全部楽しかったね! ⋯⋯ね、美羽ちゃん?』
「すみませんでしたわ!」
『美羽ちゃん、落ち着いた?』
「ええ、そうですわね。 ⋯⋯そろそろ、お腹もすいて来ましたし、たこ焼き食べますわ!」
『美羽ちゃんのお父さんが説得してた理由がわかったよ⋯⋯』
まったくなんなのかしらこの子は。 ーーだけど
「ことね! この場所が一番綺麗に花火が見えるんですわ!」
『すごいね! 美羽ちゃん! 自分で見つけたの?』
「いいえ。 昔、パパがここに連れて来てくれたの! でも、最近のパパは意地悪で屋台のご飯は駄目! とか、ちゃんと食べた量と値段を申告しろなどと、うるさいですわ!」
『あ、そうなんだね⋯⋯』
私は花火を見上げる。 花火はまるで、悲鳴のように音を奏でる。
美羽が私の方を向いて、不思議そうだ。 私は彼女に話しかけた。
「美羽、なにかしら?」
「やっぱりですわ! 貴方! ことねですわ!」
「はあ。 ⋯⋯まあ、そうだけど? ⋯⋯なに?」
「困りましたわ! 読み分けられませんわ! どうすればいいのかわかりませんわ!」
困っている彼女に私は囁く。
『ことね』と姫様でよろしくとーー




