ミウミウと『ことね』と姫様2 ーー櫻井美羽視点
私たちは駅に向かって歩いていますわ。 でも、ことね様と会話する内容がなくて気まずいですわ!
その時、電話が鳴りました。 確認するとパパでしたわ!
「もしもしパパ」
「美羽! 今どこだ!」
「今、出発した所ですわ!」
「むぅ。 ⋯⋯やっぱり迎えに行くぞ!」
「大丈夫ですわ! パパはしっかり歓迎の準備をするのだわ!」
「⋯⋯そうか。 気をつけて来るんだぞ」
「もう、パパ。 そんなに遠くないのですから心配ないですわ!」
私は電話を切る。 ーーすると、ことね様の視線が私に向いていた。
私がことね様の方を向くと、すぐに視線を外すことね様ーー
「今日はいい天気ですね、ことね様」
「⋯⋯そうね」
「パパから、ことね様によろしく伝えるように言伝をいただきました」
「そう」
それだけを言うと、ことね様は前を見て歩き出しました。 私はことね様の様子に首を傾げることしか出来ませんでした。
「ことね様! ようこそおいでくださいました」
『美羽ちゃん! ここが別荘? 凄いね!』
ことね様は別荘を見て喜んでいらっしゃいますわ。 ーー朝の様子は気のせいでしたのね。
ここに来る前に祭の準備をしている時も喜んでましたわね。
『あれ? 大勢の人が屋台を組み立てる! もしかして、お祭りがあるの?』
「はい! 今回、ことね様をお招きする日を、このお祭りに合わせました。 ⋯⋯明日、屋台の縁日と夜には花火が上がるんですよ!」
『本当? 楽しみ! 一緒に楽しもうね!』
私はことね様の喜ぶ顔が見れて、よかったと思いますわ。
『すごく、立派な家だね』
「はい! ここは先祖代々、私たちが管理しています!」
「こちらはジョセフと言いますの! 我が家の犬ですわ」
『ジョセフくん、こんにちは!』
駆け寄ってくれた我が家の犬に、ことね様は喜んでおられます。
「ワンワン」
「ジョセフがことね様のことを気に入ったようです」
「⋯⋯ワンちゃん、かわいい⋯⋯」
あれ? ことね様の様子が変ですわ。 さっきまで、ジョセフに笑顔でナデナデしてスキンシップをしていたのにーー突然様子が変わって、今は触らずに、恍惚とした表情を浮かべてますわ。
ーーさっきと別人みたいですわね?
「美羽! 帰って来たなら早く、ことね様をお連れしろ!」
「⋯⋯もう、パパ! そんなに怒鳴らないで」
パパったら、何度も電話をかけて来るんだから! お腹空かしてないか? 腹減っただろう? とか、電話で確認してくるんですわ!
ーーたしかに、お腹は空いてますわね。
私はことね様の方を見ました。 ことね様はまだ恍惚した表情を犬に向けていました。 えっと、どうしましょう。
「⋯⋯ことね様、そろそろ中へ向かいましょか」
「⋯⋯⋯」
「ことね様?」
『⋯⋯あ! ごめんごめん。 行こうか美羽ちゃん!』
突然スイッチが入れ替わるように、ことね様は私に反応して、歩いていきましたわ。 私も、ことね様の後を追いかけます。
「初めまして、川端ことね様。 私の名前は、櫻井和馬と申します」
「初めまして、和馬様。 よろしくお願いします」
「⋯⋯ささ、どうぞ中へ。 お話しがあります」
そして、応接間に向かいましたわ。 途中、ことね様が視線をキョロキョロしながら、装飾を眺めていましたわね。
「まずは、謝罪を⋯⋯ことね様にはご不便をお掛けいたしました」
「いえ⋯⋯私は、あなた方にも事情があったのでしょう。 これから、お互いの関係について考えて行きましょう」
「ことね様! お心遣い感謝いたします! これからは、私たちは誠心誠意サポートさせていただきますので、よろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。 これからの私たちを応援してください」
パパが、電車とバスの移動をさせたことを謝っておりますわね。 でも、それに対してことね様の反応がおかしいですわ。
『これからも、よろしくね美羽ちゃん! ⋯⋯私、美羽ちゃんには負けないから』
「おかしいですわ。 なにか勘違いされている気がしますわ!」
ことね様? なにと勘違いしておられるのですか? 私は頭を抱えるのであった。
「⋯⋯まったく。 『私』は。 変な誤解を広げないでよ⋯⋯」
「ことね様?」
「美羽。 行くわよ」
「はい。 ことね様!」




