一学期終業式開始
夏の長期休暇が始まる前の最後の登校日、体育館に全校生徒が集まっていた。 外は熱いが、体育館の中はクーラーが最近、設置されて快適だ。
45、体育館にクーラを設置しよう
私の政策は万全! ホラ、みんな気持ち良さそうだ!
ーーさすが、柳田家。 権力と金で体育館にクーラを設置完了!
もちろん、私の施策はこれだけではない。
「はいおはようございます。 であるからして、また九月にみんなさんの顔を見れるのを、楽しみにしております、終わり」
私は校長に目配せをする。 校長はこちらを一瞥して去って行くーー
46、校長先生の話を省略しよう
始業式の時に思ってたんだよね~、話が長いって。
とっとと終わってスッキリ!
「⋯⋯ふふ。 湊! ひゃん! そこは、私、弱いから! もうエッチ!」
「おい! ことね! 起きてくれ! 頼むから! ⋯⋯さっきから、みんなに変な目で見られてるから」
「家で、二人で変なプレイ⋯⋯しているんですか? このハレーム野朗!」
「誤解だ! 彩乃さん! そんなことしてないから!」
「ふふ、駄目だよ、湊! ゆっくり⋯⋯ね!」
ーーまったく。 校長先生より目立っているじゃん、あの三人。 これは、私達も負けてられないわよ。
私は榊原会計と一緒に会場に出た。
「みんな~、こんにちは~」
『こんにちは!』
「う~ん、みんな~、げんき~、だね~」
「みなさん! 生徒会長の倉石瑞稀です! ただいまから! 学期の振り返りとしまして、こちらの動画を作成しました! みなさんの一学期の思い出を振り返りながら、お楽しみください!」
さて、ボタンをポチっと、あれれ? 違うボタンを押しちゃった。
そして、いつの間にか設置された、巨大なモニターから映像が流れるーー
47、体育館に巨大モニター設置
やっぱり大きな場所には大きなモニターだよね! 最高!
その画面にいたのは、柳田健太と田中幸子。 二人はコスプレをして、向かい合っていました。
「ハハハ、無駄な抵抗も、これまでのようだな!」
「おのれ! 理想の化身エターナル・パーフェクト!」
「この学校は我々『理想の化身』が制圧した! 今日からお前たちは休みなし! 毎日通学だ!」
「そんな! 夏休みはみんなでプールに行ったり、キャンプをしたり、お祭の屋台で遊んで、後はのんびり堕落する日々を送りたいのに⋯⋯そんな虚無だけの日々は嫌! お願い助けて誰か⋯⋯」
生徒達が真剣な表情で視聴していた。 ーーその時、榊原結衣の声が聞こえてきた。
「がっこう~、ピンチ〜、だよ~、みんなで、たすけをよぼう~、せ~の~」
『ミウミウ!』 「フグ、グブ」
会場の生徒たちが、声をひとつにして、呼びかけた時ーー この学校のマスコット、ミウミウが現れた! ミウミウは必殺技を唱える! 『自由推活のんびりアタック!』 悪霊は立ち去り学校に平和が戻ったのだ!
ありがとう! ミウミウ! ありがとう! のんびり推活部! 動画終了後ーー体育館は感動と拍手が起こった。
私は感無量だよ! 自分の作った作品が日の目を見たんだもん。 すると、ミウミウが私を揺らす。
「なに感動してますの! 明らかにミスですわね! 瑞稀!」




