生徒会の活動を捏造しよう!
放課後、私は生徒会室の椅子に座り、机に肘をつけ、祈るように待っていた。 怪訝そうな顔をした役員が揃ったのを確認した私は、声を出した。
「⋯⋯今日集まってもらったのは他でもない⋯⋯」
「瑞稀? 役員ですもの。 放課後だから集まるのは当然ですわ?」
ーーまったく。 ミウミウ、君はわかってないーー
私は心の中で、彼女を見下した。
「すごく馬鹿にされた気がしますわ!」
「⋯⋯今度、一学期の終業式がある。 そこで!」
私は立ち上がり、黒板に力強く文字を書く。
44、生徒会をアピールしよう
「はぁ。 それで? なにをする気ですの?」
「私達の活動を全校生徒に報告するです!」
決まった! 私は自身満々に胸を張る。
(生徒会長さん? 活動と言われても。 生徒会が発足してからの私達、歓迎会しか仕事してないよ)
「左様。 無からは何も創生できぬ」
「そうですわ! どうにもなりませんわ!」
生徒会のメンバーから、飛び出すクレーム。
ーーしかし、私は笑みを浮かべる。
「⋯⋯その面、何か秘策があるようだな、倉石」
「はい! ズバリ⋯⋯なければ、作ればいいのです!」
私の渾身の発言が決まった。 メンバーの反応は?
「創造か⋯⋯しかし、偽装は破られるぞ。 我が発足してからの日は浅い。 ⋯⋯
その事実は覆ることはないぞ」
「大丈夫です。 私には秘策があります」
「気はたしかですの? 瑞稀」
「私は本気だよ!」
(私は賛成かな。 どんな映像が出来るか楽しみ!)
「俺も賛成だ。 俺達は何をすればいい?」
ーーみんなが、私を見てくれている。 嬉しいよ、ありがとう。
私は、役員に向かって指示をするのであった。
「瑞稀。 これはなんのシーンですの?」
「ミウミウ。 私のことは監督と呼びなさい」
「⋯⋯監督。 このシーンは?」
「これは、挨拶運動のシーンだよ! 生徒会と言えば、校門で挨拶が基本でしょ。 だから、こうしてスピーカーを持って挨拶を⋯⋯」
「⋯⋯朝に撮ればいいのだわ」
「え、無理。 ゲー⋯⋯勉強で忙しいから」
私は、こちらをガン見するミウミウから視線を逸らした。
『こんにちは。 私はミウミウ。 生徒会をよろしくね!』
(カット)
「どうですか? 上手くアテレコ出来ていますか?」
「おお、いい感じだぜ!」
(ミウミウの動きに合わせて上手く出来てるよ)
ーーよかった! 私は安心して微笑む。
「⋯⋯あの、この映像は歓迎会の時の映像ですわね」
「そうだよミウミウ。 あの時の演技上手かったよ〜」
「瑞⋯監督! 何故、私のアテレコじゃないのかしら? 中の人は私ですのよ! 当然、私の方が上手いですわ!」
ミウミウが私に詰め寄って来る。 彼女は相当な負けず嫌いだね。 体育大会の時もそうだったけどーー
「業! 吾輩のポーズは完璧だろう!」
「はい! 映像いただきました!」
「こっちも持って来たぜ!」
(私も持って来たよ!)
二人が持って来たのは、自分が映っている画像である。
ファンからコピーをして、持って来て欲しいとお願いしたのだ。
「ありがとう! 完璧だよ!」
「異議ありですわ!」
ミウミウが、声を上げる。 なにが問題なのだろうか?
「⋯⋯この画像。 全部冬服ですわ! 生徒会が発足した時は既に夏服ですわよ! これじゃ、明らかに捏造してるとバレますわよ!」
「⋯⋯なんだ、そんなことか。 大丈夫問題ないよ!」
ミウミウが訝しげに私を見つめる中、家に帰るのであった。
「よし! これで完成っと」
「⋯⋯瑞稀? まだ起きているの?」
「お母さん。 ごめん。 すぐ寝るよ!」
「⋯⋯そう。 夜更かしは程々にね」
「うん。 おやすみ」
私は、布団に潜り込み眠りに着く。 達成感と少しの疲労を感じた私はすぐに夢の中へ向かうのだった。




