阻まれる私の野望
「⋯⋯それで。 次は?」
「次はこれです!」
39、帰宅部を創設する
「却下だ!」
「⋯⋯! 何故です!」
「今更、そんなものを創設しても意味がない」
ーーその通りだった。
この学校の生徒は、必ずどこかの部に入部しなければならない。
私が、どうしても拒みたかったことだ。 しかし、そんな私でも部活に加入している。 この学校の生徒は、何かしらの部活をしているのだーー
「⋯⋯なら、これはどうですか?」
40、持ち物の自由化
「却下だな。 お前は何故登校している?」
「⋯⋯勉学です」
「では、不要なものを持ち込む必要は?」
「ありません⋯⋯」
私の声のトーンが弱くなっているのが、自分でもわかる。 私の体が震えている。
そんな私の様子を柳田庶務は睨んでくる。
まるで次を、急かしているようだーー
41、放課後の自由行動ーー
「論外だな」
「⋯⋯え? どうして?」
「俺たちは、理想学園の生徒としてーーこの土地の学校としての態度を、地域住民たちにアピールしなければならない。 そんな俺達が、制服のまま娯楽施設に向かうと言う考え自体が間違っている」
私は、跪いた。 そして気がつく。
私が相手をしているのは、柳田庶務ではない。 この学校の昔から続く伝統であることにーー
・部活動は全員参加
・不要な持ち物禁止
・放課後の規律正しい生活
どれも、この学校に昔からある伝統だ。 私は、柳田庶務の顔を見る。 ーー彼の顔は笑っていた。
「⋯⋯倉石瑞稀。 変えようぜ! この学校の規則をよ」
「はい! 柳田庶務! 頑張りましょう!」
私は彼の手を取る。 私の目からは、涙が出ていた。
「クク。 感動的なストーリーだな」
(二人とも役者になる? いい人紹介するよ?)
田中書記と榊原会計が拍手で応えてくれた! 私の野望は潰えてなかったんだーー
「異議ありですわ!」
「⋯⋯どうしたの? ミウミウも参加する?」
「瑞稀! 貴方の考えていることはめちゃくちゃですわ!」
そう言うと、ミウミウはジタンだを踏みながら、こちらを睨んでくる。
「え? 放課後にご飯を買い食いしたくないの?」
「⋯⋯素晴らしい、改革ですわ! 是非そうしましょう!」
ーー流石に、変わり身が早いよミウミウ。
「⋯⋯だが、生徒会長。 帰宅部は今年度は無理だぜ」
「ふむ、道理であるな」
(来年度からにしようよ)
私は黒板に了承の意味を込めて『来年』と追加した。
これで、今年度の帰宅部の創設は阻まれたが、私は変わりの案を出す。
42、推活部の露出拡大
「実質帰宅部の部活予算を増やして、どうするつもりですの?」
「推活する!」
「まんまですわ!」
ミウミウが、頭を抱えるのであった。
「ふぅ、熱い議論でした。 先輩方ありがとうございます! これからよろしくお願いします!」
「うむ、任せるとよい! では、今宵の満月に吠えようぞ!」
「あ〜れ、おわり~、え~」
「やれやれ、時間と言うのはあっと言う間だな。 お前たちありがとな!」
「ブグク、ブグ」 (瑞稀! 護摩化すなですわ!)
そして、全員が窓から見える夕日を眺めるーーこれからの学校生活に期待しながらーー
「明日から、ミウミウには頑張ってもらうからね!」
「ブクク」 (え? 何をですの?)
新生徒会最初の行事ーー学園歓迎会に向けての活動が始まる!




