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倉石瑞稀と100のやりたいこと  作者: Masa(文章力あげたい)


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生徒会長就任挨拶

 30、生徒会長就任挨拶をしよう


 「行ってきます!」

 「瑞稀、気おつけてね!」

 「瑞稀! 頑張れ!」

 「ありがとう、行ってきます!」

 「⋯⋯姉さん、本当に生徒会長になったんだな⋯⋯」

 「そうね。 ⋯⋯でも、あの子ならひょっとして、と思っていたけどね」


 私は、期待と緊張の気持ちを感じながら、前へ進む。 目的地はこの土地の名家ーー柳田家。 そこで今日は、この土地のお偉い方達に、生徒会就任の挨拶をする。


 ーーみなさんに、失礼がないように、しっかりメモをした、ノートをカバンに詰めて、私は朝日が眩しい道の中を歩くのであった。


 「いらっしゃい。 ⋯⋯貴方が今年の生徒会長さん?」

 「はい、そうです。 倉石瑞稀と申します、柳田美月さん」

 「⋯⋯あらあら。 おばさんのことを知っているの?」

 「美月様の、ことはよく存じております」


 31、柳田美月様に会う


 ーー柳田美月。 彼女は川端ことねの母ーー川端雫の右腕だ。 彼女達が行ったプロジェクトはどれも成功! 二人のカリスマ性に惹かれて彼女達の元には優秀な人材が集まったというーー


 「⋯⋯では、会場にご案内するわね。 全員、揃ったからさっそく、始めるわね。 どうぞこちらへ⋯⋯」

 「はい! 失礼いたします」


 美月様に促されて、私は応接間へ向かう。 


 しかし、私の心は戸惑っていた。


 あれ? 出来るだけ、早いうちに来たはずなのに。 どうして? 


 その答えは、応接間の襖を開けた瞬間に理解した。


 「あ! 瑞稀ちゃん! おはよう!」

 「おはようございます。 倉石さん」

 「⋯⋯うむ。 全員揃ったようじゃの」


 私は驚いて、固まってしまった。


 柳田秀五郎様は、わかる。 私が会いたかった人だからーー


 32、柳田秀五郎様に会う


 ーー柳田秀五郎。 この土地の地主の名家ーー柳田家の現当主。 川端家が土地の象徴なら、柳田家はこの土地の表と裏、両方を掌握する代表。


 私が緊張していたのも、この方に挨拶するためだ。


 「瑞稀ちゃん? いつまで固まっているの? ⋯⋯ところでどうしてその格好なの? いつものラフな格好でいいのに!」

 「ことね、コラ。 ⋯⋯倉石さん、すみません。 他の大人たちは、ここには来ません。 ⋯⋯代わりにお手紙をいただきました」


 ボーとしている私に、ことねと高坂さんが話し掛けてくる。 私は、差し出された手紙を読むことにした。


 『新生徒会長様へ。 初めまして、川端雫です。 行けなくてゴメンネ。 今日は高坂さんの両親と、推活ライブに行く予定だったの! ずっと前からチケットを取っていたから、しょうがないよね! ⋯⋯代わりに、ことねにお願いしたわ! 他の人だったら、無理だと思ったけど⋯⋯貴方のことは、ことねから毎日聴いているわ! ⋯⋯同じ推活仲間として、これからも切磋琢磨しましょうね!』


 ーー私は、頭が真っ白になった。 恥ずかしくて、顔が赤くなる。


 大物に私のプライバシーが筒抜けだったからだ。


 「それとな、櫻井和馬は娘とお出かけだ。 ⋯⋯アイツらは、お互いツンデレだからな、和馬は『美羽に説教をする』とか言っていたが、優勝のご褒美をあげたいだけの言い訳だろう」


 つまり、ここにいる人たちで全員というわけねーー


 「柳田秀五郎様、初めまして。 倉石瑞稀と申します」

 「おお、昨日はご苦労さんだったの」

 「この度、生徒会長に主任した私がしたいことは⋯⋯」

 「これじゃな⋯⋯」

 「え! な、何故その紙を!」


 私は、慌てて二人の方を見る。 


 「湊! 大好き! キスしてもいい?」

 「⋯⋯おいおい、ことね! ここではハグまでだ!」

 「え! 意地悪!」

 「続きは、家でな⋯⋯」


 私は視線を戻した。 ーー平常心だ私。


 「私が息子からいただきました」

 「息子ーー健太さんが!」


 たしかに、私は掲示板に目標を貼ったが、こういう形で自分の元に来るなんて考えもしてなかった。


 「中身を拝見させてもらったが、面白いものがいくつかあったな⋯⋯」

 「私の未熟な目標を評価していただきありがとうございます」

 「ふむ。 儂もそなたの目標を応援させてもらうぞ」

 「ありがとうございます!」


 こうして、私の生徒会就任挨拶は成功したのであった。


 「美月様! 私、聴きたいことがあったんです!」

 「私に? 何かしら?」

 「どうして、今は雫様と一緒に活動していないのですか?」

 「ふふ、私がいなくても会社が周るからね。 ⋯⋯昔の雫のままだったら、私は一緒に行っていたんだけどね。 ことね様が『お母さん! 仕事しすぎ! もっとゆっくりしてよ! そうだ! 推活しよ!』と言われてね。 ことね様は、母を労りたかったのかしら⋯⋯まあ、おかげで私はのんびり出来る訳よ」

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