倉石先生のお友達教育
ショッピングモールへ行った、次の日朝。 昨日あんなに格好をつけていたひとみんが、今日も私の家にやって来た。
「⋯⋯ねえ? 昨日のことがあって、ことねと打ち解けたでしょ? 特訓とか必要?」
「だってヨー。 神子様ったら、すっごくおっかなかったんだぜ。 あの状況で仲良くなんて出来るかよ、アァ?」
ひとみんが、私に凄んでくる。 もはや、はわわさんとは呼べないーー
「それで、まず確認したいんだけど。 どっちでことねと会話するつもり?」
「⋯⋯そうだよ! それが一番の問題なんだよ!」
ひとみが大声で、怒鳴るとカバンから制服を取り出した。
「なんで、制服を持って来たの?」
「⋯⋯やっぱり、実践が大事かなぁと思って⋯⋯なんとか本性を隠さネェと」
私は、ため息を吐く。 ーーどうやら、彼女はまったくわかってないようだ。
「⋯⋯ひとみん。 ことねはね、猫被りされるのが嫌なんだよ」
「なんだって!」
「ミウミウもそれで失敗したんだよ?」
「なんということだ⋯⋯」
ひとみは、跪く。
「そうだったのか⋯⋯アタイはありのままの姿で、挑まないといけないつう訳かよ⋯⋯」
「まあ、そう言うことだね。 次にことねに対する態度はどうするの?」
「当然、土下座して忠誠を誓うさ。 こんな風にな⋯⋯」
その時、部屋のドアが開いて彼女がやって来た。
「⋯⋯瑞稀、来たわよ。 ⋯⋯お邪魔だったかしら?」
ある意味で最高のタイミングだね、ことね。
「ことね様! おはようございます!」
「なによ⋯⋯近づかないでくれるかしら?」
「はい。 ⋯⋯このように。 そんな態度ではことねに嫌われてしまいます」
「オイ! ⋯⋯瑞稀、なんとかしろヨー! アタイは神子様と仲良くなりテェンだよ!」
私を揺さぶりながら縋るひとみん。 ドン引きすることねーー
よし、最高の状況だね!
「⋯⋯貴方、私と仲良くなりたいの?」
「さあ! ひとみん。 正直に言おう!」
「神子様とひとつになりたいです」
「⋯⋯えっと? 瑞稀、彼女はなにを言っているのかしら?」
「うんうん。 素晴らしいですよ、ひとみん」
ことねの顔を見てごらん。 めちゃくちゃ引き攣っているよ。
「オイ! 神子様の様子が明らかに悪いぞ! 嫌われた!」
「貴方、そう言うことはわかるのね⋯⋯」
「ことね。 彼女に一言どうぞ」
「私には、高坂湊っていう。大好きな幼馴染がいるんだけど⋯⋯私が彼に向けている気持ちと同じ⋯⋯と、言うことかしら?」
「そうです、同じです」
「ふ~ん、そう言うことか⋯⋯」
ことねが思案顔をしている。 そうだろうね、私の勘は的中した訳だね。
私はことねと一緒に話しているからわかったんだ。 ことねは、湊のことを深く愛しているって。 ーー丁度、同じようにね。
「いいわよ。 仲良くしましょうか? 私たち」
「はわわ。 光栄です! 神子様!」
「ハア。 ひとみん、ことねでしょ?」
「⋯⋯あっと。 ことね!」
抱き合う二人。 よし、クリアっと!
「さて、次はふれあい方だね!」
「え? ⋯⋯アタイ。 今日はもういっぱいなんだけど⋯⋯」
「二人は、これから仲良く過ごすんだよね? ⋯⋯楽しみだなぁ、戻って来たら二人が仲良くなっているの」
「⋯⋯アタイとことねが仲良く?」
「そうそう。 一緒に女子会とかして、キャキャするんでしょ? ⋯⋯その間に私とミウミウは、ご飯をバクバク食べておくから! ⋯⋯それと、高坂湊にも挨拶をしっかりしてね! ⋯⋯じゃないと、おかしくなるから」
「⋯⋯そんな。 瑞稀! アタイを放置するのかよ! どうすればいいのか指示してくれるんじゃないのかよ!」
「実践あるのみだよ、ひとみん」
「なんだよ! どうすればいいんだよ!」
私は、ひとみの肩を叩く。 頑張れ! 実践教育だよ。




