生徒会長演説後半
「⋯⋯No.3 二年 田中幸子 ⋯⋯お休みでしょうか⋯⋯」
「何処を見ている! 我は此処だ!」
そう言うと、登壇場に黒いマントを羽織る女性が立っていました。
「我が名は、闇の悪役令嬢女王・ワルザベスであるぞ! 壊! 我が生徒会長に任命された暁には、其方達に我が神・エターナルパーフェクト様を崇める権利を授けよう! 皆の衆、跪け! この私を誰だと思っておられる! お代官越後屋のお通りだい! はっはは!」
21、田中幸子に会う
彼女は世界のあらゆる種目をこなして来たプレイヤーである。
毎回、登場する時の中ニ病セリフが彼女の特徴だ。
「わあ! 今日も決まってるね!」
「本当だよ。 ⋯⋯やばい。 彼女に勝てるかな?」
「大丈夫だよ! 瑞稀ちゃんは自分を信じて!」
「ありがとう! ことね!」
「ブブ!」 (なんですのあれ? 訳がわかりませんわ!)
そして、田中が続きの会話をしようとした時ーー
「田中! お前理科室のカーテンパクっただろ!」
「あ、バレた! ⋯⋯いや~、威厳が欲しかったからつい⋯⋯ すみませんでした! ⋯⋯でも印象はバッチリだよね? よろしくね、みんな!」
連行される形で登壇場から、去って行く田中幸子だった。
ーーあれ? 今の先生誰?
「瑞稀ちゃん? どうしたの?」
「⋯⋯うん、なんでもないよ」
気のせいかな? ーー彼女が、私の方を見て微笑んでいたのは。
「No.4. 二年 柳田健太」
「やれやれ⋯⋯待たせな! 真打登場だぜ!」
22、柳田健太に会う
ーーついに私の最大のライバルの登場だ。
私は彼に勝つことが出来るのだろうか?
『キャ~、柳田様!』
『柳田さん、お疲れ様です!』
「オイオイ、お前ら! ガッツクなよ⋯⋯いつも声援ありがとうな!」
『柳田! 柳田!』
彼の発言に絶叫する、一部の生徒たちーー
「ブブ」 (なんですのあの人たち⋯⋯怖いですわ)
ーーミウミウは本当に箱入り娘、なんだね。
まあ、転校だから仕方ないけど。
「みんな、お待たせ! 俺! 柳田健太が来たからには、問題ない! 最高の学校生活にしようぜ!」
『柳田! 柳田!』
「みんな、ありがとう! ⋯⋯うお! イタタ」
『柳田様! すぐに保健室へ行きましょう!』
「いや、大丈夫だ⋯⋯うん? お前たち! 本当にこのまま保健室に行くのか? ⋯⋯まあ、悪い気がしないな、一丁先生に診察してもらいますか」
ーーまただ、私の方を見て、去っていった?
「⋯⋯健太。 あれ、嘘だよ瑞稀ちゃん」
「うん、わかってる」
何故かわからないけど、柳田健太は私に勝ちを譲ってくれるらしい。
私は、彼の考えを理解出来ないが、私がすることはただ一つだけ!
23、生徒会長になる!
「次が最後です、エントリーNo.5 一年 倉石 瑞稀」
「はい」
その声で登壇するのは、一人ではなかった。 二人とぬいぐるみ姿の一体? が登壇した。
「こんにちは、みなさん。 私は応援者の川端ことねです。 本日は、倉石瑞稀さんの応援演説をさせていただきます」
登壇者の名前を聞いた、一部の生徒は驚愕した。 川端ことねの登場に。 川端家と言えば、代々この土地を守護する家であり、この学校の創立に関わっている、大物だ
「倉石瑞稀は、信念を持っております! 私は、その信念に共感を示し、彼女の応援をする所存でございますので、みなさまの大切な一票の用紙に、どうか! 倉石瑞稀と、記入していただきますよう! 重ねてお願いします」
「川端ことねさんからの、推薦をいただきました。 倉石瑞稀でございます。 私が掲げるのは、生徒個人の自由です! 私が生徒会長になりましたら、選択の自由! 個々の好奇心を尊重した、学校作りに取り組んでいきたいと思う次第でございます」
「ブ、ブ、グブ」 (みなさん! 騙されてはいけませんわ!)
ーーもう、ミウミウったらかわいいく鳴いちゃって!
「はい! こちら、イメージマスコットのミウミウも、応援しています! ⋯⋯短い時間でしたがありがとうございます。 若輩者ながら、自分の心差しを貫く意識を見せて参ります」
「グブ、グブ、グブ」 (この学校終わりですわ!)
生徒たちは感動のあまり、スタンディングオベーションで称えた。 一体化とはまさにこのことでした。
「やったよ! 瑞稀ちゃん! 私たち最高!」
「ありがとう! ことね!」
「ブグ」 (ハア、お腹が空きましたわね)
こうして、倉石瑞稀が生徒会会長に任命されたのであった。




