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転校生

高校入学し、少し時が経ったあの頃・・・

 キーンコーンカーンコーン___


 朝の教室にたくさんの話し声や笑い声が飛び交う中、いつも通り学校が始まろうとするチャイムの音が響き渡っていた。

 しかし、チャイムが鳴るとさっきまでの教室とは違う空気が教室に流れた。


 ガラガラガラ____


「今日から転校してきた篠田(しのだ)さんだ。これからよろしくな。」

 そう、今日は僕の学校に転校生が来る日だったのだ。

「初めまして。篠田雲珠(うずき)です。よろしくお願いします。」

 どこか輝く声に皆、歓迎している。そんなとき誰かから見られているような気がした。視線の先に目をやると、雲珠がこちらを見て微笑んでいた。そんなことはない。と、ただの自分の思い込みだと解決していた。

転校生の紹介が終わり、またいつものように教室にざわつきが戻る。それもまたいつもと違い、転校生と話したりとならではの話題が繰り広げられていた。


今日もあっという間に1日が過ぎ、下校の時間となった。みんなが帰る中、ちょっと遅れて帰る支度を済ませていると誰かが話しかけてきた。

「ねぇ清水くん」

僕ははっとした。

顔を上げるとなんとそこに篠田さんが立っていたのだ。急に話しかけられた僕はちゃんと話すことができなかった。

「ど...どうしたんで...すか?」

「どうしたって...一緒に帰らない?」

篠田さんのいった一言に僕は耳を疑った。

「今、一緒に帰らない?って言いました?」

「言ったけど何か問題でも?」

「問題ですよ!初めて会った、しかも今日一度も話してない人と帰るって大丈夫なんですか?」

戸惑う僕はその言葉しか出てこなかった。

「なにそれ!私と帰るのがそんなに嫌!?」

「いやいやそんなわけでは...」

「じゃあ一緒に帰ろう」

そう言われて一緒に帰ることになった。たまたまかもしれないが、帰る方向は一緒だった。

「じゃあ僕はここだから」

そういってマンションに入ろうとしたとき、なんと篠田さんがついてきた。

「清水くんこのマンションに住んでるの!?」

「あ...うん......」

「私もこのマンションなんだ!ここに引っ越してきてね」

一緒のマンションと聞いた瞬間驚き過ぎて声を出しそうになったがこんなこともあるだろうと抑えた。

「ねぇ清水くん?明日も一緒に登校しない?」

まるで僕がここに住んでいることがわかっていたかのように篠田はまた喋り出した。

「明日は用事があるから途中から学校に行くよ」

「本当に?私と行きたくないからじゃなくて?」

用事があるのは本当だ。明日は病院に行かなければならなくなっている。

「違います。とにかく明日は一緒に学校に行けませんから」

そう言って清水は自分の号室へ帰って行った。

その日の夜、月を見ながら清水は篠田のことを振り返った。


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