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変な宇宙人から好かれすぎてて困ってるんですけど!(トーキング フォー ザ リンカーネーション後日談 エンディングルート1)  作者: 弐屋 丑二


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帰れますように

「棒立ち子ちゃん喋れたんか……」

ショラが慄いて後ろに下がると、棒立ち子は前に出てきて支配的な女性の声で

「ふっ、いよいよこのバカバカしい大会も終わらせられそうだ!」

「そ、そんなに不満が……?」

ヘラナがそう尋ねると、棒立ち子は冷笑を浮かべて

「この決勝での異様なケイオスの高まりで私のパワーも最高潮に達した!お前らの中に潜り込んだ甲斐はあったということだ!」

ファイ子が驚愕した表情で

「ま、まさか、あなたが病気だったとは!?」

舞台セットになっている俺も驚いている。ただ単に動けないだけだと思っていた。

棒立ち子は邪悪な笑みで

「さあ、全てを混沌に返そう!それが私の使命だ!」

と言うと、いきなり漆黒の海老のような巨大生物に変化した。これ、確か月でエネから取り出して爺ちゃんが食べてたやつだ……。その何倍も大きいぞ……。などと俺が思っていると、周囲がグルグルと周り始めて、高速回転して目が回りだす。

「アーハッハッハ!この世界も龍の身体もケイオスに飲み込まれ!全て消え失せるんだ!」

いやナニコおばさん何してるんですか!?婆ちゃんもすぐそこで見てるのに!?と俺が慌てふためいていると、漆黒の渦の仲で、何かが動いた。そしてそれはベチャッと海老に取り付くと、よく知っている声で

「もおおおおおお!わかるううううう!」

と雄叫びを上げる。


それは地蔵コスプレをしたチリだった。チリ地蔵が興奮した顔で

「何年も潜伏したんだよね!?そして大会の頂点で出てきたんだよね!?これってビロンガ様じゃない!?」

じゃない!?が向けられたのは俺だと思うので解説すると、忍者愛家族の1時間半スペシャルで、都の城で行われた忍者大会の決勝戦までいったラン様とモン君タッグが優勝した直後に、いきなり会場に舞い降りて、最強の忍者を殺すために何年も城の事務方旗本になりすまして潜伏していたと告白するのが、ビロンガ悟大天狗……通称ビロンガ様なのだ……しかも似たような海老の化物に変異する。そっちは金の海老だが……。元の姿が陰を感じさせるイケメンなので、大きなお姉様たちから、意外な人気が出てしまい、シーズン2で復活登場するらしい……って今はそんなことどうでもいいわ!


「お姉様!今助けます!」

といったヘラナが、影のバンドメンバーを三人出して嵐の中、巨大海老に縋り付いたチリに近づこうとして

「ああああああーーーーーっ!」

と嵐に巻き込まれて影ごと消えていった。それもチリは嬉しそうに

「モン君だ!あの弱さはモン君だよね!?」

俺に言ってるんだろうが、俺はセットを維持するので精一杯というか、イメージを解いた瞬間チリごと嵐に消えそうな気はするので動けない。そんな中、ニャンヒカルの声が響く

「えいなり!そいつの身体に何か書いたはずよ!思い出して声に出しなさい!」

えええええっ……た、確か……ちょっと待って、なんだっけ……?焦っているとチリが

「全て無事に終わって家に帰れますようにって甲羅に書いてるけど!これでしょ!?」

と言ってきたので、俺はもう迷わずに

「全て無事に終わって家に帰れますように!」

とその場で思いっきり叫んだ。


次の瞬間には、嵐は消え失せ、セットも全て消え失せ、ウンコ巻き髪とデビルメイクと変な格好の棒立ち子が倒れていた。少し離れてヘラナが倒れていて、全く無傷で地蔵メイクも取れたチリがVサインした右腕を掲げて

「ビロンガ様に勝ったぞおおおおおお!」

と現実と創作を混同した雄叫びを上げた。

一瞬の静寂の後にスタジアムは大歓声に包まれる。何かよくわからんけど……無事で良かった。ショラとファイ子は唖然とした顔で遠くで棒立ちである。その近くではニャンヒカルがパチパチと拍手をしている。

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