何してんの
「婆ちゃん何してんの!?」
俺がそう言うと、ニャンヒカルが不敵な笑みを浮かべながら
「……私にいつの間にか乗り移った変態女の露出願望を分離して、それを満足させて消すべく、大会に出たのは良いんだけれど……」
俺は混乱しながら次の言葉を待つ。
「……ここまで勝ち進んでしまったわ」
チリが心配そうに
「私のニャンヒカル?熱でもあるの?」
と近づいて顎を撫でだすと、ニャンヒカルはゴロゴロ喉を鳴らしてから
「チリちゃん、私よ。準決勝まで借りていたイボボボンガツーの身体が、私のショーに耐えきれずに衰弱してしまったから、急遽頑丈なこのエリンガ人の身体を借りたのよ」
「えいなりのおばあちゃんなの?」
ニャンヒカルは黙って頷くと、チリの背中を押してこちらへと戻すと、元のポジションまで後退して、大きく息を吐き
「えいなり、よく聞きなさい。エロスというのは表現として最強の一角なの。そして簡単に耳目を集める手段でもある。誰も気にしない冴えないおじさんでも、駅前で脱いだらすぐ逮捕されるでしょ?そういうことよ」
婆ちゃんが乗り移ったニャンヒカルが何言ってるかわからないし、微妙に違う気もするが、俺はとりあえず頷いた。
「私の大会での表現技法はエロス全振りだった。でもイボボボンガツーたちの対戦者たちをなぎ倒してしまったわ。そこの宇宙人、それは何故か答えなさい」
ニャンヒカルからビシッと指を差されたファイ子は即座に
「芸としてエロスに勝てないほど軟弱だったからですう」
と答えた。ニャンヒカルは深く頷き
「その通りよ。あんたたち、下品なエロに勝ってみなさいな」
そう言ってニャンヒカルはセーラー服を脱ぎ捨てた。同時に若い頃の婆ちゃんも水着を脱ぎ捨てる。あわわわ……と慌てふためいたのも束ノ間、二人の股間と婆ちゃんの胸にはピッタリとモザイクがかかっていた。
「二十歳i以上には見えないモザイクよ!」
ニャンヒカルがそう言い放った。とっさにショラを見ると
「あーモザイクとかないな。あるんか?」
俺達4人は即座に頷いて、むしろ俺とチリはファイ子とヘラナが未成年だということに微妙にショックを受ける。絶対ファイ子は年齢詐称してると思ってた。
二人はいつの間にか出現していたポールを使って、怪しげなダンスをし始めた。汗とか、汗みたいなものが飛び散るダンスは卑猥すぎて、詳細は表現すらしたくないが、二人が織りなすその絡みは、正直今まで見た全ての対戦相手よりプロフェッショナルだった。婆ちゃん……すげえ……変態だけどすげえ……すげえよ変態だけど……と突っ立て見ていると
芸が終わり、若い頃の婆ちゃんとともに、いそいそとセーラー服を着たニャンヒカルが
「えいなり!エロスを超える芸を披露しなさい!あとこれは、あのエネとかいう変態女の性欲が乗り移ったせいで私の性癖とは関係ないから!私は変態じゃないの!」
何か言い訳してるが一応聞いておこうと
「婆ちゃん、どこでそんななったんだよ……」
今度はニャンヒカルではなく水着の若い頃の婆ちゃんが恥ずかしそうに
「ツンツクボールの大砲のエネルギー源にされたでしょ?あのときにい……そこの宇宙人女のエネに感染したエネルギーがちょっと残っててえ……そこからこっちに感染したっていうか……」
そんなのあったかなあ?と俺が首をかしげていると、若い頃の婆ちゃんはいきなりビクッと気持ちよさそうに震えて消えた。ニャンヒカルがホッとした顔で
「孫に最低な姿を見られてとうとう満たされたようね。目的は達したわ。さ、素晴らしい芸を見せて、優勝しなさい」
といってくるが、もはや無理なのは俺達5人にはわかっていた。あんなエロとエンターテインメントのショーをモザイクで年齢配慮までしてやられたら勝てるわけがない。




