責任を取りなさい
「ちょ……ちょっとまってえ。裸はダメだよお」
慌てた様子のナニコのアナウンスがそう言うと、ヘラクレスヘラートヘラリの前に白パンツと白ブラが現れた。彼女は急いでそれを着るとキッと涙目で俺達を睨みつけ
「私をこんなに何度も辱めて!絶対許さないから!えいなりー!」
と何故か俺の名前を絶叫して下着姿と裸足で駆けて去って行った。
「なんで俺の名前を……」
「タイトルで使われたからや」
「しかも、辱めたのはナニコおばさんだし……」
「それもたまたまやしな……白下着も慌ててあれしか作れんかったんやろ」
直後にナニコのさらに慌てたアナウンスが
「ごめんーーーー事故でしたあ!ヘラクレスヘラートヘラリちゃん、後で何でも一つ願いをかなえますね!」
と言って謝罪していた。
とりあえず勝ち上がったので、客室に戻る。元ゴリラ二人は、浴室でシャワーを浴びに行った。棒立ち子は部屋の隅で棒立ちしている。俺とショラはいつもの椅子に座り、モニターを眺めながら
「あの、ナニコおばさんが謝罪で……」
「ああ、何でも願い叶える言うてたな」
「こっちも、何か大きなミスを誘発さでればば……」
もうそれの謝罪でチリのお父さんを治して貰えば良いんじゃないだろうか。ショラは難しい顔で
「いやそれはせんやろ。ナニコちゃん多分わしらに病気退治させる気や」
「自分でしたら良くないですか?」
さっきもヘラクレスヘラートヘラリを虹の光で浄化していた。ショラは苦笑いして
「いや、無理やろな。最長2年はこの世界ができてから経ってると推測したやんか」
俺は頷く。ツンツクボール内にこの世界のドットマップがあったので、婆ちゃんが生きていた頃から存在していたのは確かだ。
「つまりな、少なくとも2年は解決できとらんってことやで」
「……それで、俺達に……」
しかし、あれだけ凄まじい力を持ったナニコおばさんが解決できない問題を俺たちが……いや無理じゃね?などと考えだす。ショラはチャンネルを変えて、ニャンヒカルたちを見つけ出した。何と彼らはスタジアム外の公衆トイレの前で、5人の子供たち相手に
「どうだっ!いまのが必殺のダンスだ」
とビシッと決めている。ショラはため息をついて
「また負けたんか……とうとう追い出されたんやな」
チャンネルを変えた。
軽く、部屋の扉がノックされた。俺が扉を開けると、なんとそこには痩せた体に真っ黒なビキニを着て真っ赤なリボンを頭につけたヘラクレスヘラートヘラリが頬を染めて立っていた。確認してすぐに扉を閉めると
「えいなり!私の全てをみんなに晒した責任を取りなさい!」
と外で喚かれて、俺は部屋の隅の棒立ち子の後ろに隠れる。慌ててショラが扉を開け
「歌で聴いたやろ?えいなり君には二人の女がおるんや。もう手一杯やで」
「そんなの関係ないわ。私、えいなりのために地球人の体を、ナニコ神からもらったの」
「あんた、イボボボンガツーやったんか……」
ヘラクレスヘラートヘラリはショラを押しのけて部屋に入ってくると、俺を見つけ出し、隣に細い両足を折ってしゃがんできた。
「ほら見てよ。ファイ子とか言うのが白ビキニだったから、あなたのために黒ビキニにしたんだから。あなたは、私を辱めるのが好きなのでしょう?……だったら見せてあげる」
ヘラクレスヘラートヘラリは、頬を染めながらビキニの股の部分に右手の指をかけ、ずらそうとしてきた。次の瞬間、チリがヘラクレスヘラートヘラリをヘッドロックして背後に引きずっていき、ファイ子が素早く縄で縛り上げ猿轡をはめた。
俺は部屋の雰囲気が怖すぎて、棒立ち子の後ろから動けない。明らかにチリとファイ子は無言で激怒している。チリが冷たい顔で
「あのさっ、三角関係でいいの。女キャラはもういらないんだけど」
「そうですよお。ポッと出が抜け駆けしてえ、しかもいきなり秘部を見せようとしていいわけがありませんけどお?」
ファイ子も冷めた怒りがにじみ出ている。
「もがーもががー!」
ヘラクレスヘラートヘラリは抗議しようとするが、猿轡で喋れない。ファイ子とチリはその周囲にしゃがみ込むと
「チリさーん、武器を隠しているかもしれませんねえ」
「そうだねっ……リボンや長い髪の中とか、見せようとしたアレの中も探さないと」
「もがもががもがーっ!ふがーっ!」
二人は、ヘラクレスヘラートヘラリを押し倒すと、真剣な眼差しで武器がないか髪やビキニの中を探し始めた。しばらくヘラクレスヘラートヘラリは身をよじってモガモガ言いながら抵抗していたが、そのうち
「はふんっ」
と気の抜けたような声を出すと、動かなくなった。俺とショラは恐ろしすぎてその間ずっとモニターを見つめ続けていた。画面ではどうやら子供にも負けたらしきニャンヒカルと部下たちが、公衆トイレの壁に向けて勝負を仕掛けていた。




