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変な宇宙人から好かれすぎてて困ってるんですけど!(トーキング フォー ザ リンカーネーション後日談 エンディングルート1)  作者: 弐屋 中二


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生き物だよー

ショラは大きくため息を吐くと

「あくまで推測やで?我々や、ニャンヒカルがここに導かれたように、ナニコちゃんは身体にとっての異物を、この大会に集めとるんやないかな?」

「あっ……そうか、つまり病気も異物だから……」

「そういうことや。アイドルに変異して出てくる可能性が高い」

「そこを一毛打尽にすれば……」

「つまり、普通の身体なら治療不可能な病気は消えてパーくんも元気になる。ナニコちゃん、とてつもなく有能や。そしてこれほどの力を他者に惜しみなく使うんやで?」

「めちゃくちゃ優しいですね……」

変な人だった親戚のおばさんのイメージが変わりつつある。

そこで部屋の扉が叩かれて、俺たちは2回戦に呼び出された。ショラやナニコとの話に集中していて気づかなかったが、ゴリラ二体は体に山程フルーツを詰め込んでいて、動かない棒立ち子の黒頭巾やレオタードにも果物がねじ込まれていた。取ろうとするとゴリラ共が怒るのでそのまま出場することにする。


「みんなー2回戦だよー!トップバッターはアイドル忍者軍団です!対戦するのはー?」

動かない棒立ち子を横にして、皆でスタジアムど真ん中まで背負ってきた俺たちの目の前には、5人の白短パンと白シャツを着たイケメン軍団が列んでいた。金髪ロン毛から無造作ヘヤーから角刈り、ソフトモヒカンに坊主頭まで髪型は別々だが全員完璧に似合っている。ナニコのアナウンスが

「イボボボンガツーたちが頑張ってアイドルに!アイドル集団、角刈りアンドその他だよー!」

「あっ……」

俺は気づいてしまう。早くも病気と対戦することになったんじゃないか?確か、肛門内の寄生生物とか……。口に出そうとすると、いきなりナニコのアナウンスが

「ちょっとーえいなりー?イボボボンガツーたちは生き物だよー?病気じゃないからねー?このスタジアムの観客もこの世界のほとんどの住人もイボボボンガツーだよー?」

と大音量で言われて、スタジアム中がブーイングの嵐に包まれる。いや、ナニコおばさん……俺、口に出して無いのに超能力で感じとって怒るのやめてもらっていいですか……固まっていると、ショラが笑いながら前に出て

「すまんかった!最高のダンスを見せるから許してや!」

両手を掲げてそう言うと、対戦相手の角刈りアンドその他が拍手をしてくれて、そのままスタジアム中が拍手に包まれる。俺はとりあえずホッとしたが、そういえばダンスの練習何もしてないな……と思い出す。


ショラは、大きく息を吸い込むと、サッと棒立ち子の頭巾にねじ込まれた赤いパイナップルのような果物を取って

「フルーツ音頭や!」

と言って、背後の俺を振り返ってきた。あーこれはまた負ける気満々だなと、俺が一回戦でも披露した盆踊りの動きをそのまま始めると満面の笑みのショラが大声で

「また同じだと思っとるやろー?今度はー……に、ば、い、そ、くやで!」

と無茶振りしてくるが、ギリギリいけそうなので2倍速で盆踊りを続行すると、何とゴリラ二体が俺に向けて果物を投げつけてきた。踊りながら避けると、また投げつけられ避ける。というのを2分ほど繰り返して、いや……食べ物粗末にするんじゃねえええ!と怒ろうと周囲を見ると、果物の皮だらけで、腹がポッコリとなったゴリラ二体が横になって寝ていた。棒立ち子に差し込まれていた果物も残らずなくなっている。どうやら片方のゴリラが投げたものを反対のゴリラがキャッチして、即座に皮を剝いて食べる。というのを高速で繰り返したらしい。踊りに集中していて気づかなかった。ま、まあ無作法だけど、ゴリラだし食べたなら良いかと、一応納得していると、スタジアムが大歓声に包まれた。ショラは両手を掲げ

「以上や、角刈りアンドその他さんたちどぅぞ!」

と自信満々に言う。あ、これはもう負けを確信してるなと俺はその後ろ姿で思う。相手が普通にやれば、今度こそ負けるはずだ。


「チャラスチェーンチャラーン」

四人が軽快にステップを踏んで、謎のリズムを口にしながら

「右から左、上からした」

金髪ロン毛が爽やかに歌い

「気圧の違いが耳を駆け抜ける」

他の三人がユニゾンする。そこからは同じような繰り返しで

「チャラスッテンチャララー」

「前から後ろ斜めから斜め」

「気圧の違いが臓器の隙間に」

「チャラスチェーンチャララチャラー」

「年を取ると筋肉がーゆるんでー」

「臓器に隙間ができてーそれが気圧でー」

「チャラスチャラスチャラスチェーン」

「痛みや倦怠感を引き起こすー」

「チャラスチェーンチャララチャララ」

「気圧とメンタルも関係してるかもー」

「チャラスチャラスチェーンチャララ」

「気圧ーすごいやつー気圧ー気をつけろー」

「以上。気圧でした」

全ての部分が完全アカペラのそんなに上手くない歌が終わり、真ん中の金髪ロン毛が恭しく頭を下げる。他の3人も下げると、その背後でずっと寝ていた角刈りがスッと起きて、最前列に出てきて

「いや、この世界、気圧安定しとるから関係ないやないかーい!」

身体を斜めにして、正面を向いた顔は白目を剥きながら、右手をスイングさせるという全力面白ポーズで、何と今までの歌にツッコミを入れた。一瞬の空白の後に、ドッとスタジアムは湧き、俺とショラはホッとする。ちょっと危うかったが、負けられそうだ。

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