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変な宇宙人から好かれすぎてて困ってるんですけど!(トーキング フォー ザ リンカーネーション後日談 エンディングルート1)  作者: 弐屋 中二


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恋、ニンジャ道

「に、に、ニンジャ、に、ニンジャ」

ステージ裏から女子たちのユニゾンが聞こえてきて

「ふおふお!」

ファイ子の必死な甲高い合いの手が入る。スキンマッチョはいつの間にかいなくなっている。

「に、に、ニンジャ、に、ニンジャ」

「ふおふお!」

いつの間にかファイ子はちんどん屋が使うようなラッパやドラムやギターがくっついた楽器を背負っていて、一人でふおふお言いながら、足元で変拍子のタップダンスを踊りながら、ギターを弾き、そのギターを上下させてドラムを叩いていた。完全に一人でBGMを奏でている。

「いやすっげえ……」

もはや名人芸の域だ。ショラが優雅にワインに口をつけながら

「チリちゃんの無茶振りが才能開花させてしもたな」

ファイ子の超絶ちんどん屋の演奏に乗せて、黒頭巾にラメのハイレグレオタード姿の5人の女性たちが

「に、に、ニンジャ、に、ニンジャ」

とユニゾンで歌いながらリズムに乗って出てきた。中心に顔を真っ赤にしたチリも居る。十代のチリ、二十代の女性二人、たぶん四十超えてるベテラン風の女性、そして九十近そうなお婆さんも居る。

「アイドル忍者ぐんだーん!」

「いよっ!待ってましたああああ!」

前説と打って変わって聴衆は熱狂的に迎え入れた。


チリが顔を真っ赤にしながら

「今週のアイドル忍者活動を報告します!」

と叫んで、ファイ子のBGMが軽快なジャズのようなものに変わる。

「暗黒洞窟から姫を救出しました!」

とチリが叫ぶのと同時に、俺の隣のショラが立ち上がり、群衆に手を振る。大歓声が街を包み、そしてそれが収まるとチリが

「新曲の 恋、ニンジャ道 を練習しました!」

とまた叫び、地鳴りのような大歓声が鳴り響いた。いつのまにかハモニカを咥えていたファイ子が爽やかなメロディを吹き始め、それに合わせてメンバーのお婆さんが

「あー夏がくるくる♪闇がくるー」

と演歌のようなループメロディを歌い出し、二十代の女性忍者たちが

「闇討ちー暗殺♪悲しみの道ー」

と半音下げた同じ起伏のメロディで歌い出した。そこでファイ子のギターとドラムが軽快に入って、しかもちんどん屋楽器を装備したまま背後で踊りだした。

そしてチリが前に進み出ると

「でも、忍者だけど恋もするわ」

と両手をスイングさせながら語りを入れると、そんな受けるわけねえだろ!?というくらい大歓声が街中を包んだ。俺は黙って横に座り直したショラを見る。

「いや、このクダリは書いてないで?わしが二人のフォローで看板に書いたのは、チリちゃんとファイ子ちゃんが大きな怪我と病気なく過ごしました。ってくらいやな」

「つまりケイオスが勝手にあんなステージを……」

ショラは首を横に振り

「多分、この世界を創造したナニコちゃんのイメージの影響が大きいんやないかな」

ステージ上では背後でファイ子が舞い踊りながらギターをかき鳴らしドラムロールを叩きはじめた。チリが顔を真っ赤にしたまま

「忍者の愛は、英語のアイ♪つまり自分とは何かーという哲学的な問いー♪」

さらに他の忍者たちが

「アイは瞳でもあるーがんきゅうー♪」

と歌うといきなり曲のテンポが横乗りに変わって

「眼、それは大事イエア、眼、たまに休息必要アハン」

とチリがラップもどきをし始めた。

ちなみに気付いたがメンバーの四十代っぽい女性は最初から棒立ちである。何もしていない。

「棒立ち子ちゃーん!最高!」

という熱狂的な声援が時折飛ぶので、ああ棒立ち子っていう芸名と芸風なのね……と俺は理解する。


そのまま曲は十分ほど続き、テンポもジャンルも何度も変えて最後はバラードっぽくなり棒立ち子以外の四人の

「に、に、ニンジャ、に、ニンジャ」

の美しいハーモニーで終焉した。同時にファイ子が背後で倒れ、ステージ袖から出てきたスキンマッチョに引きずられて退場していった。ファイ子も心配だが、異様なステージと異様な曲に俺は空いた口が塞がらない。アイドル忍者たちは棒立ち子以外一礼すると、全員で退場していった。隣のショラは頷いて

「よいステージやったな」

と呟いた。

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