表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変な宇宙人から好かれすぎてて困ってるんですけど!(トーキング フォー ザ リンカーネーション後日談 エンディングルート1)  作者: 弐屋 中二


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/264

アイドル学えんワールド

待ち伏せをするために、こちらの移動速度より、かなりゆっくりな龍の移動パターンを見極めようと、七マスほど離れて追走していく。龍は約三十分ほどかけて、海図の中心付近の遮蔽物がない部分を進んでいき、一周した。同じパターンなら待ち伏せは簡単なので、上下の離れた部分が岩場になっている位置のど真ん中にファイ子はツンツクボールを移動させた。前回と同じ行動パターンなら5分後には遭遇するはずだ。


予測通り、一マス前に来た龍は、ツンツクボールの居るマスに重なって、画面の暗転とともに


ながいりゅうとせんとうに はいった


と表示されて3D画面に切り替わったときにはもう遅かった。大口を開けた虹色に光り輝く龍が瞬く間に画面に迫り


ツンツクボールは のみこまれた


という表示とともにドットの海図に戻った。はずだった。よく見ると全く違うマップになっている。そのドットで打たれたマップはまるでRPGのワールドマップのようだった。

東西と南に三つの大陸が存在していて、そこには森や山があり、街や村が点在している。ツンツクボールはそのマップのど真ん中の大洋に浮いているようだ。

三人で絶句してショラをみると

「いや、なんやろなこれ」

黒ずきんで覆った頭蓋骨を傾げた。

「飲み込まれたよねっ?」

チリの問いにショラは頷いて

「龍のパー君の体内に入ったはずやで?」

ファイ子が青い顔をして

「超高濃度ケイオスによる物理的変質……」

ショラが嬉しそうに

「あーそれや!それやわー!パー君ママに会いた過ぎて、とうとう自分の中に世界作ってしもたな!」

ファイ子がクラっと一瞬ふらついたので支えて、俺はもう何が何だか分からないが、チリにコントローラーを握ってもらい、近くの三マスほどの島に移動した。マップの右下にコマンドが出て


ちゃくりく しますか? 

はい いいえ


と出たので はい を選ぶと微かな振動を感じた。同時にマップに被さるように大文字で


がいかいに せいぞんじょうけんかくにん

エレベーターから でられます


と表示された。


4人で無言でエレベーターに乗りこむ。かなり長い時間下に降りたあとに、自動ドアが横滑りして開き、そして水の上を下っていくとてつもなく長い金属タラップの先には広い砂浜、そしてその先に広がる南国の森、緑に覆われた高い山々という景色に、圧倒されたまま、タラップを進むと、砂浜に刺さった看板があることに気付く。近づいて4人で見つめると


「ここはアイドル学えんワールドの なにもないむじんとーです! ナー ちがった ナニコ」


と書かれていた。他は古びているのに ちがった ナニコ の部分だけ真新しい。しばらく無言で看板を眺めた後に三人でショラを見る。

「……今までの断片的な情報から無理やりな推測をするとな?相当に無理やりやで?」

と彼は前置きして

「ナニコちゃんっていうスーパー人間が自分のケイオスを操る能力をフルに使って、龍のパーくんの体内に、恐らくは何年も前から自分の世界を作ってたんやないか?」

ファイ子が眉を潜めて

「ツンツクボールにマップがあったということは、少なくとも、お婆さんが生きていた2年以上前には存在していたということですねえ」

ショラ頷いて

「わしの体を前にパーくんが作ってくれたあとの創造物やな。こんなん知らんしなあ」

「……父さんいつになったら助けられるの……」

泣きそうなチリを励まそうと背後を始めてみて気付く。そこには天を突きそうな雲の上まである長大な深緑の岩の塊がそびえ立っていた。所々虹色や桃色に光り輝いている。やたら長いタラップが岩の根元に向けて伸びているので、あれは……。

「あんなの操縦してたのかよ……」

俺は初めてツンツクボールを見上げて、気絶しそうになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ