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変な宇宙人から好かれすぎてて困ってるんですけど!(トーキング フォー ザ リンカーネーション後日談 エンディングルート1)  作者: 弐屋 中二


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休憩

ツンツクボールの こうげき


という派手な書体の文字が出て、クラーケンの後頭部が歪む。同時にピイイイイという耳鳴りと共に、俺たちの周囲が揺れて天井からまたパラパラと細い破片が落ちてきた。婆ちゃんの多重コーラスはフルオーケストラに乗せて

「ゆうしゃよーゆうしょうよーゆうしゅうよー」と繰り返しだした。さらに異様に下手なギター・ソロが「ピッピカ!ミュイイイン!ミョオオオ!ボベッビバババ!ブボボボボ……」どう弾いたらそんなひどい音が出るんだよ!という演奏で、ギリギリ音を外さない感じでBGMに被さってくる。


じゃくてんを ついた 


という派手な文字が、ど真ん中にまた表示されてクラーケンは背中を見せたまま遠ざかっていく。下手なギターソロが止まり、コントローラーをもったチリと唖然として眺めていると、海水の青しか表示されていない3D画面に


おそうじスコア 67てん ゆうしゅう

のこり ろくたい


と表示されると、BGMの婆ちゃんの多重コーラスが

「ゆうしゅうよーゆうしゅうよーゆうしゅうよー」としばらくループした後に何ごともなかったかのようにドット画面に戻った。BGMもチープな電子音に戻っている。がっくりうなだれたチリが

「これ、とんでもなく疲れるねっ……」

「そうだな……休憩しよう。残り六体とか書いてたしな」

「あんなのがっ……あと六回も……」

そう言いあっていると、またスーツケースが動き出して遠くのかなり太い柱へとひとりでに滑っていった。

俺達も歩いてそちらへと行くと柱にスイッチを発見して、チリが迷わずに押す。

柱の表面の一部が横滑りして、エレベーターが出現した。スーツケースが入っていったので俺たちも入ると、扉が勝手に閉まって、エレベーターは下降していく。


扉が開くとそこは薄暗いバーが広がっていた。チリが両目を輝かせて

「母さんのお店よりずっと広いっ!」

と言いながらカウンター裏に駆けて行って、壁に並ぶ飲み物のボトルを物色し始めた。スーツケースはカウンター席横に移動して止まった。俺がその席に座るとチリがニコニコしてオレンジジュースをトンッと置いて出してくる。

「お客様っ。お酒はまだ早いですからねっ」

「ありがとう」

口をつけると美味かった。チリも自分のオレンジジュースを注いで二人で飲んでいるとスーツケースがバーの端の席に移動した。俺がそちらに近づくと古びたラジオが置いてある。ラジオを手に取り、カウンター席に戻ると、チリが興味を示したので渡した。


オレンジジュースを飲みながらラジオをイジるチリを眺めていると

「だっ、駄目です!ニャンヒカル司令!」

「くっ!ここまで来て!」

などとやたらクリアな男とニャンヒカルの会話がラジオから流れてきた。

「飲み込まれます!」

「回避しろ!ワープ準備!」

「駄目です!ケイオス指数が異常値です!」

「くそおおおお!私はあきらめんぞおお!」

ニャンヒカルの叫び声と共に会話は終わり、ラジオはサーという静かなノイズだけを発しだした。泣きそうな心配顔のチリに、俺は脱力しながら

「何で会話が聞こえたのか分からんけど、あいつは大丈夫だろ……またしょうもないこと企んで失敗したんだと思う……」

「そっ……そうかなっ……」

「それ言ったら、ファイ子も探さないと」

「たっ、確かに。でもファイ子ちゃんは無事な気がするっ」

「だろ?ニャンヒカルも多分何とかなってると思う。とにかく休憩を十分にとって、また謎のゲームを再開しないとな」

俺達は頷きあってオレンジジュースを飲む。

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