決まり手
俺は普通に体操服の上にまわしを締めているだけだが、裸の上半身にニップレスを貼って、股に直接まわしを絞めた真っ赤な顔のファイ子と土俵の様に地面に引かれた線の中で向かい合っている。体育教師のクラーゴンが行事の位置に移動し低く良い声で
「ハッケヨイ!」
と取組を開始させると、ファイ子が突っ込んできて俺と四つで組み合った。
柔らかいし、やっぱり女子の力だなという感触しかない。エロいとか、興奮するとか、そういう余裕はない。
「うーんうーん……負けませんー」
などと唸りながら必死に押してくるファイ子をどうしたら傷つかせないで済むのかしばらく考えた末、俺はジリジリと後退していき、少しだけ線の外に右足を出した。即座にクラーゴンが
「押し出しっ!勝者ファイ子!」
ファイ子は拍子抜けした表情で
「だっ……ダメですう……この後、汗だくで組み合って……もろ出しになってえ……恥をかかされた責任をえいなりにい……」
何か凄い怖い計画を言ってくる。チリが横からファイ子を押し出し
「次は私の番っ!」
真っ赤な顔でビシッと俺に指差してきた。
クラーゴンが
「ハッケヨイ!」
と取組開始を告げた瞬間、チリはニヤリと笑うと張り手を連打してきた。ペチペチと俺の腹に当たる張り手に首を傾げていると、いきなり右足をかけられて倒れそうになる。直後に背後にまわられ、一瞬体勢を崩されそうになり、俺の本気に火がついた。チリのプニプニの両脇腹のまわしを抱え上げ、そのままつり上げて土俵外へと出した。クラーゴンが
「吊り出し!勝者えいなり!」
すぐに裁定してくれ、俺はホッとする。何事もなく終わった。
そう思ったのが間違いだった。チリは顔を真っ赤にしながら
「……な、何か食い込んで……気持ちよかった」
そしてファイ子が早くも土俵内で準備を始めていて、顔を真っ赤にしたまま
「えいなりい……つ、吊り出しをお……」
などと要求してくる。うん……俺、この星で色々と人間として終わるかもね……二人ともド変態ぶりを少しは隠してほしい……。
結局、変な汗で……いや汗だと思う……とにかく俺たち3人が100回くらい取組をした土俵は、なんか濡れてて、線も消えかけていて、そしてファイ子とチリは、汗だくで土まみれで倒れている。吊り出し、内股、外掛け、後なんかよく分からんけど、知っている限りの相撲の決まり手は使ったと思う。ああ……1回ずつもろ出しも食らいました……。当然ファイ子とチリが負けたんですけどね……。なんか俺がダメージ受けてるのはなんなんでしょうか……。
とにかく、俺は体力的には余裕だが、体操着が汚れてしまった。ちなみに婆ちゃんとジョニーはまだ組み合っている。あの2人もなんかおかしいと思う。なんであんなに拮抗しているのか……。クラーゴンが笛を吹いて
「はーい!相撲は終わり!次の体育は水泳よー!」
分かってはいたけど、この学校完全におかしいよな……。相撲の後に水泳というのは完全にジョニーの趣味だが、やらされる方はたまったもんじゃないだろこれ。




