お守り
俺の自室の丸机を3人で囲む。
爺ちゃんは禿げ上がって日焼けした頭を触りながら
「エネさんと言うたかね。えいなりの話していた恐らくファイ子さんの従者の人」
俺が頷くと
「その人を呼び出すんが上策やな」
「中策はっ?」
チリが尋ねると爺ちゃんは実に楽しげに
「幽霊屋敷に不法侵入して探索じゃ」
俺が困った顔で爺ちゃんを見ると
「下策は、デパートの上階からヘンな世界に侵入して奴らの拠点を目指すことじゃなあ」
何でとチリと顔を向けると爺ちゃんは笑いながら
「異星人たちのルールに加えて、その異界のルールもあるなら相当に厄介じゃろ?大体、拠点の位置もわかっておらんしなあ」
余裕あるその感じに、俺は驚いている。
チリは真剣な眼差しで
「昔、軍隊にいたんですかっ?」
爺ちゃんは微笑んで
「三十で婆さんとこっち来てから、ずっと農家じゃよ。昔から想像力だけは無駄にあるんじゃ」
そう言うと、仏壇の中から何かを取り出して俺に渡してきた。
それは恐らく、西洋の剣のグリップ部分だった。使い込まれてツルツルで、鍔も刀身もない。
「お守りじゃよ。困ったら振ってみるといい」
爺ちゃんはそう言ってまた笑った。
明日は月曜なので、とりあえず高校に行ってエネを呼び出す方法を探そうということになった。
チリは爺ちゃんが家まで送っていくということで、俺は自室で一息つく。
というか、ちょっと休まないともたない。
ベッドで寝転がり漫画を読んでいると、チリの残り香がシーツに残っていて、何かムラムラしてきた。立ち上がり、勉強机の中に隠していたエロ本を取り出した瞬間に
「むぐうううううう!」
とファイ子の声が響いてくる。
ですよねー……と元の場所に戻し、しばらく悶々としていた。




