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同級生

長い朝の通学路を歩いていく。

田畑高校。でんばた高校と読む。

クソ田舎の県立高校だ。偏差値は高くない。

近いから地元民が受験して大体受かる。

左右に田畑を眺めながら、通学路を十分ほど歩くと背後と左右を山に囲まれた古びた木造校舎が見えてくる。


「えいなりーおはよっ」

丸眼鏡に黒髪お下げのぽっちゃり小女のチリが声をかけてきた。この女友達は小学校から同級生のヲタクだ。

高校から帰宅部になろうとしていた俺を漫画研究会に強引に入れたのはこいつ。

「忍者愛家族の昨日の見た?」

そのマニアックな深夜アニメ見てない。勉強してゲームして寝てた。と答える前に見てる前提で

「ラン様、超かっこよくなかった?もおおお   私興奮しちゃって!」

そうですか。と答える前に弾丸トークは続く。

「ラン球に助けられたモン君の破れた装束と潤んだ瞳!もおおおおおおっ私!描くならこれよね!?私の初作品!?」

どうぞそのカップリングで同人誌をお描きくださいと、やる気なく心の中で答えて、俺はチリと次第に人けの増えていく通学路を歩いていくと、背後に視線を感じて立ち止まった。


「出たなっ!妖怪!」

一緒に振り向いたチリが俺を守るように、前に出た。その先で揺らめいた人影は

静かに近づいてきて

「あーよくありませねえ……運動系部活をしていないのに、まだ筋肉がおちませんかあ。成長途上のにじみ出る男性ホルモンが鼻に痛いですよお」

朝っぱらから、いつもの変態言葉を恥ずかしげもなく、さらに流暢かつ嫌味っぽく浴びせてくる。

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