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正座

「チリお前来れないんじゃ……」

「正座」

真顔のチリから畳に指をさされて俺はとりあえず正座する。

同じ格好のファイ子とチリは俺の前に並んで腕を組み

「この子とやろうとしてたよねっ」

ベッドから悪戯子っぽい笑みを浮かべたまま、青みがかって停止しているテルミを見る。

「はい……でも良いように遊ばれたこの子の復讐の手伝いでもあり、付き合うこと自体が正義の行為というか……」

小声で事情を説明したがチリは右腕を横に振り

「何言ってるか分りませんっ」

話をぶった切ってきた。

「困りますう。この世界のえいなりと重なっているとはいえーあなた自身の男性ホルモン値は上がるんですよー?」

「はい……すいません……」

何かすごく今、俺は理不尽な目にあっている気がする……。


「えいなりが動かないんだったら、無理やり動かしたら良いって私が提案したんだよっ」

「このパラレルワールドの3.5次元に強制転移させましたあ」

「ここなら私が来ても問題ないらしいからね」

俺は項垂れて二人の話を聞くしかない。

チリは腕を組んだまま

「で、誰なのこの子は」

と尋ねてきて、テルミと聞いて驚く。

ファイ子は全く動じずに

「私たちの世界でも、テルミさんはえいなりのこと好きですからねえ」

「現在進行形なのっ?」

驚くチリにファイ子は事もなげに

「はいー。私とチリさんがえいなりをガードし過ぎて、鬱になって中退した挙げ句に引きこもってますよー?毎日えいなりのことをベッドで思いながら自家発電していますねえ」

「なんでそこまで知ってんの……」

「まじか……」

なんてことだ。俺の世界にもテルミの愛はあったのだ。分かったからには行動あるのみ。

俺は立ち上がって

「帰ろう」

と真剣に二人に言って、また正座させられた。

「えいなりさー分かってるー?二人の女の愛があるんだよ?もう一人増やすの?」

チリとファイ子から見下されて、俺は俯くしかない。

「この格好だって、わざわざ時空間通るために特別な液体に浸ってきたんだよっ?」

「はい、すいません……」

困っていると

空間に空いた穴から同じく白い水着で濡れたエネが出てきて呆れた表情で

「滞在時間の限度ギリギリです。帰りますよ」

と言った。


俺はファイ子とチリとさらにエネにもに服を掴まれて、大穴に投げ込まれた。次の瞬間には、発光する緑色の液体に満ちた自宅の湯船に制服のまま浸かっていた。

呆然としていると、頭の上からチリ、ファイ子、エネが降ってきて溺れそうになる。

どうにか顔を出すと、 チリが抱きついてきてまた溺れそうになる。

エネはサッと湯船から出て、俺を眺めると

「存在は安定しました。お疲れ様です」

一礼して、シャワーを素早く全身に浴びると風呂場から出ていった。

「チリさあん、離れてくださあい」

ファイ子がいうと、チリは仕方なさそうな表情で離れた。そして湯船から出ると

「正座」

と風呂場のタイルを指さしてくる。

またかよ……ちょっと厳しすぎんかと思いながら、正座すると二人に服の上から思いっきりシャワーをかけられた。

そして制服のシャツとズボンを剥ぎ取られてると、もう一度シャワーを頭から浴びせられた。チリは満足した顔で

「出てよしっ」

と言ってくる。

「はい……」

と答え、いそいそと風呂場から立ち去った。

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