テルミ
テルミと並んで校門から出る。
いつもチリにするように歩幅を合わせているとテルミは不思議そうに
「ねえ、今日優しいね。どうしたの?」
「いつも俺、優しくない?」
「……いつもみたいに意地悪言わないし」
軽くため息をつきながら
「例えばどんな?言ってくれたら直すけど」
テルミは嬉しそうに
「二十メートルは離れて歩けとか、ノーメイクで整形無しでもっと美人になれとか、もっとエロい体型を目指せとか、下着は白以外着るなとか、あと他の男の子とも絶対仲良くしてないよ?」
一瞬立ち止まって、右手で額を覆ってしまう。この世界の俺は本気で酷いやつらしい。
「すまん」
謝るとテルミは本気で驚いた顔で
「頭打った?大丈夫?」
「いや……ひどいことしてたんだなと」
「いいよ。謝らないで。好きなのは私だし。えいなりから気に入ってもらえるようにもっと頑張るし」
この世界の俺はアホなのか?こんな美少女が本気でお前のこと全力で好きなんだぞ?もうやることは一つだろ?
「ちゃんと付き合わない?」
夕焼けに照らされたテルミは口を両手で覆うと、泣きながら抱きついてきた。
「夢みたい……」
「今までごめんな」
何か恋愛漫画の主役になった気分で俺はテルミと抱き合った。一瞬ファイ子の襲撃があるかと辺りをうかがったがどうやらなさそうで心底ホッとする。チリには悪いが 、俺はもうこっちでテルミと生きていく方が良いかもしれない。
その日の夜には、俺はテルミを家に上げていた。テルミは携帯電話で女友達の家に泊まるから帰らないと家に連絡を入れると、俺の部屋を見回す。
「……一緒に住みたいなあ」
「住んじゃう?」
俺の世界ではないのでノリで無責任なことを言うと、テルミは口を両手で覆って嬉しそうにしたあとに
「うそうそ。でもいつかはね」
二人でテレビを見ながら、お互いの趣味について話すと意外なほど一致した。なんでと尋ねると俺の情報を聞き回って勉強したらしい。そういうとこはストーカーっぽいが、もはやそれすら可愛く感じる。そうか、これが愛か、これこそが恋愛か……とドキドキしていると
テルミは制服の上着を脱ぎ、黙ってベッドに入って、布団にくるまり
「あーやっぱり、えいなりの匂いだなー」
とこちらをチラチラ見てくる。この光景の中、多幸感に満ち溢れながら思う。
俺は今!変な異星人から完全に解放されて全力で青春をしている!もうここで、童貞捨てるしかないだろ!
俺も上着を脱いで、電気を消そうとした瞬間だった。全身がグニャッと歪んだ感覚に包まれると、辺りがいきなり青みがかった白黒になり、テルミやテレビ画面などの全ての動きが止まり音も消えた。そして近くの畳の上の空間がピリピリとスパークしつつ、いきなり縦に一メートル半ほど割れ、縦穴状に広がると、そこから
「ふー。間にあいましたねえー」
「ほらね、絶対にエッチなことしてると思ってた」
全身が濡れている白いスクール水着姿のチリとファイ子が出てくる。