忘れていた
翌朝起きると、ナニコはまだヘッドフォンを付けてゲームをしていた。俺はしばらく丸まった背中を見て、それからベッドから起き上がり、そして一階に朝食を食べに行った。
それから夏休みに入るまでは特に問題なく日々は過ぎた。チリはお父さんが治ったと喜んでいて、ファイ子はニャンヒカルの逮捕はエリンガ人全体がやっと最強硬派が消えたと喜びつつも、余計なこと喋らないといいなと心配していると言っていた。当のニャンヒカルは黙秘を続けているらしい。ニュースにもならなくなった。爺ちゃんは、脱がなくなったエネと農業を続けていて、婆ちゃんはまたエネにポルターガイストとして出て来ているが、相変わらず気にされていない。セインは仕事の片手間に、ショラと芸能事務所設立の準備をずっとしているようだ。うちの両親は兼業農家として頑張っている。パーくんは相変わらず地球の日陰側を周っている。何度か虹色の粒を噴出しながら飛ぶ、くねった線のようなパーくんを夜空に見かけたが、そのうち飽きて誰も見なくなった。国連も特に害がないので観察しつつ放置ということに方針がまとまったらしく、未だにパーくんに対してとやかく言っているのはオカルト系の人や、インターネットの一部の陰謀論者だけになったとファイ子は言っていたが、俺は携帯でネットを見ないので分からないし、パソコンもそんなにはやらない。ああ、ナニコは暇らしく、俺の部屋で1日中ラストセイントワーカー12をやり続けている。
「ヘラナちゃんってどこ行ったの?」
チリが夏休み1週間目の補習終わりの部活で言った一言で俺は、ヘラナを完全に忘れていた事を気付いた。
「元気にしてるんじゃない?」
元々イボボボンガツーなので、学校に通わないといけないわけではない。チリが気になるというので、二人で部活後にうちの家で、爺ちゃんに聞いてみることにした。
食卓でテレビを見ながら爺ちゃんは苦笑いで
「いやー申し訳ないが、婆ちゃんが第三の身体として、ヘラナさんに目をつけとってなあ。安全な場所に隔離しとるよ」
「どこに居るのっ?」
「3.5次元じゃ」
俺たちはその場で見に行きたいと行った。




