地球に降らすこと
翌朝、何事もなかったかのように、俺、爺ちゃん、両親の四人で、朝食を食べているとつけっぱなしのテレビから
「突如、国連本部前に現れたニャンヒカルが先程、国際的な秩序紊乱容疑で国際警察に逮捕されました」
スーツの男女に取り囲まれて呆然とした顔をしているセーラー服姿のニャンヒカルが映し出される。爺ちゃんがホッとした顔で
「あとはあやつが、取り調べで色々吐いてくれるじゃろう。説明する手間がはぶける」
両親は黙って頷く。俺はニャンヒカルだから気にしないで良いかと、ごちそうさまを言ったあと、出かける準備をして高校へ向かう。
ファイ子は珍しく休みで、チリも首都圏の病院で完治した父親と会っているらしく休みだ。俺は部活に行かずに早めに帰宅した。自室に戻って課題や、筋トレなどしたあと、何となく夕方のテレビを眺めていると、地球の周辺を漂う虹色の龍について専門家が意見を述べていた。龍は基本的に太陽が当たらない方におり、地球への日照を邪魔していないということと、危険なケイオス粒子と呼ばれる物質に包まれているので調査隊が近づけないという解説をしていた。パーくんが次第に日常になってきてるのかな、パーくんって言ってるけど、話したことはないけどな。などと考えているといきなりナニコがテレビの前にワープしてきて、超速でゲーム機のセッティングして、大作RPGを始めた。そして悲しそうにこちらを向いて
「えいなりーラストセイントワーカー12難しいよー」
手招きされたので画面に近づいて
「ああ、ソードビートって要するに自動操作だよ」
「わかんないって……」
「えっと、回復のルーチンだけ俺が構築するから、あとは手動でやるってのは?」
「あっ、そうかーそしたらいつもと同じだねー」
ナニコは勇んでゲームを始めた。凄まじい反応速度でコマンドを入力してリアルタイムの戦闘シーンをこなし始める。横からそれを見ていると
「パーくんさー、ママを宇宙から探してるんだよー」
「……誰かが話してるの聞いたよ」
「でも、パーくんのママは気配だけで、身体は昨日なくなっちゃった」
「昨日?」
「そうだねーだからもう見つからないねー。パーくんの本当の役目はねー」
ナニコは画面内で猛烈な速度でモンスターを倒しながら
「グルグル周って虹色のアレを地球に降らすことだよー」
「ケイオス粒子?」
ナニコは頷いて
「それが増えるとねー願いとかが、叶いやすくなるんだよー」
「よくわからんけど、そうなんだ」
その後、俺が風呂に行って、夕飯食べて戻ってきてもナニコは意欲的にゲームをしていた。爺ちゃんも両親も居るのは気づいているようで、チラッと聞かれたがゲームしてると言うと、どこか安心した顔をしていたのは気のせいだろうか。俺は自室に戻って、ナニコにヘッドフォンをつけてもらい、照明を消して寝た。




