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作者: 琉諒

「うっ、ううん」

こすりながら目を開けると真っ白な天井に1個だけ淡いライトがついていた。

「こっ、ここどこ?」

と同時に両足に激痛と稲妻が走る!

恐る恐る

目を下に向けると俺はベッドの上で両足にギプスを巻いて固定されている。

「ど、どうゆう事!!」

何か何だか頭がパニックになってきた。

何で俺はベッドの上にいるんだ?何で両足ギプスやねん?

ぐしゃぐしゃ頭を掻ききながら時系列を頭の中でグルグル回す。

よく見ると右手に点滴、左手は包帯が巻かれている。

俺、、、もしかして、

「事故ったー?!!!」

思わず叫んでしまった。


「山城さーん!どうかされました?」

見た目30代前半の女性の看護師さんが駆け寄って来た。

「俺、事故りました・・・?」



少しうろたえながら看護師さんに尋ねると、

「はい。山城さん交通事故をおこしてね、両足骨折と右手に擦り傷負ってるんです。」

やっぱりか。何で?

「山城さん丸一日寝てましてん。」

悠長な関西弁で話してくる。

丸一日!!待て待てそもそも今日何月何日何曜日やねん?

「看護師さん、今日の日付って?」

「今日は8月2日土曜日です。もうちょっとしたら先生きますんでね。」

8月2日土曜?丸一日?てゆうことは事故ったのは7月31日?

31日俺何してたっけ?更に時系列をグルグル回す。

31日・・・・。


「シェフー!!ラストオーダーまだいけますー?」

「おー!!何ー?」

「カルボナーラとサルティンボッカっすー!!」

ウエイターの佐々木がすまなさそうな顔で見つめてくる。ラストオーダー21時半回ってからの

オーダーだからそんな顔してんのやろ。

「オッケー!!しゃあなしやでー!!」

フライパンを火にかけ、パスタをパスタボイラーの中にドボン。

その間にまな板で肉を処理する。まあ、いつもの事。また帰るの遅なるな。ま、えっか。

「お疲れ様でしたー!」

キッチンを片付け終わった俺は、いつものようにタイムカードを押して従業員口から出る。

煙草に火をつけながら駐車場の方へ歩いてゆく。

今日は月が綺麗だなーとオッサンくさいセリフを思いながら歩く。

駐車場に着くと俺の愛車ベスパが待っていた。イタリアのオートバイメーカーの1992年型だ。

「おまた。」

煙草を咥えながらエンジンをかける。駐車場を出てウィンカーを右に出す。しばらく真っ直ぐ直進。

間もなく大きな十字路に差し掛かり信号を待つ。

「お腹空いたー、あ、煙草もねえわ。」

と、思いながら信号が青に変わり右折しようとしたその時!!

眩しくライトが俺を照らした。

「キーーー!!!ガッ、グシャーーーン!!!」

鈍く激しい破壊音と衝撃が俺の全身を駆け巡った。


はっ、思い出した。俺事故ったんやー。

ほんでこのザマかい。笑いしか出てこない。

「山城さーん、体の具合どうですかー?」

多分俺の担当医らしき人がさっきの看護師さんを引き連れて来た。眼鏡をかけた女性だ。

「山城さん痛くないですかー?自分の名前言えますー?」

「あー、、はい。」

俺の名前は 山城賢心 41歳 バツイチ。関西の某レストランでシェフをしている。

まあまあ大きな企業で全国各地に店舗展開している。俺は南の島出身で調理師免許を取得し

一流のシェフになりたいと一念勃起し同棲していた彼女(元嫁)と10年前に関西にやって来た。

子供は男の子が2人いる。いた?どっちでもええか。

「山城さん、オートバイで事故してねー、両足骨折してるんやわー。」

「あのー、大体全治何カ月ぐらいですか?」

「うーん、ギプス取れるまで2ヶ月、リハビリ1ヶ月ぐらいやなー。」

「はあぁ。」

3ヶ月もあるのかよ。先の見えない絶望感で頭クラクラしてきた。

「山城さん、頭打ってるかもやから明日レントゲンとCT検査しますねー。」

頭に入ってこない。ボーっと天井をみつめる。

「私担当医師の辻本ね。こっちは看護師の井森さんね。」

「山城さん、井森です。よろしくお願いしますねー。もうちょっとしたら昼食お持ちしますねー。

後、おしっこ行きたくなったらナースコール鳴らしてくださいねー。」

・・・・・・えっ、もしかして俺この歳で看護師さんに下の世話されるん?!!!

屈辱の何ものでもあらへん!!・・・ちょっと涙が出てきた。

2日後ぶつけてきた相手が和菓子持って見舞い来たみたいやけど、ちょっと腹立ってるし

顔も見たくなかったし、帰ってもらった。

 

それから1週間がたった。固定された足は外されて少しは体が自由になった。

病室に井森さんが入ってきた。

「山城さーん、具合どうですかー?固定取れたし今日から相部屋移りますねー。」

「あっ、はい。」

相部屋かー、ダルッ。どんな人おるんやろ?ま、えっか。

「あとー、今日から車椅子使えるし、コンビニやらコミュニティールームとか行くんやったら

利用して下さいねー。」

車椅子に乗せられて相部屋に移動していく。

相部屋は4人一部屋。部屋の前でこれからの同居人の名札をチラッと伺う。

俺以外まあまあの爺様達やな。まーあんま気にしいひんけど。

ガラガラと病室のドアを開けて俺のベッドに向かっていく。すると向かいの爺様がこっちを見ている。

「あ、山城ですー。今日からお世話になりますー。」

ガン無視。でしょうねぇ。気にしいひんけど。

ベッドに乗せてもらいホット一息。携帯電話をいらう。お、美幸から着信入っとるやん。

美幸は嫁と別れてから付き合い出した女や。

「山城さーん、何かあったらナースコールよろしくお願いしますねー。」

「あっ、はい。あのートイレは車椅子で行っていいんですかー?」

少し恥ずかしめに苦笑いした。

「しんどくない?大丈夫?うーん、ちょっと辻本先生聞いときますねー。」

とスタスタ歩いて行った。あなた方看護師に下の世話されるのが一番しんどいわ!!

はー、とりあえず一休み。すると左隣の部屋から爺様の歓喜溢れる声が聞こえてきた。

「おーしゃー!!阪神逆転やっ!!」

さすが関西。根強いファンが多いなぁ。野球はあんまり興味ないけど。

あー煙草吸いてー。あ、そういえば美幸から着信あったなぁ。電話してこっ。

さー!最初の難関、ベッドから車椅子までどう移動するか。ベッドサイドのレールに手を伸ばす。

松葉杖を両脇に挟む。腕を踏ん張り床に軽く両足をつける。

「おいすー!!!」

体を半回転させ車椅子に飛び乗った。

「ふー、しんどっ。」

しばらくこのルーティーンやな。と思いつつ車椅子を転がしていく。

今日から俺の愛車やな。ベスパは店長の島田から電話かかってきて廃車になったらしいけど。

そりゃそうやわな。俺がこんなんやし。アハハ。

しかしまあまあ車椅子というのは腕筋つかうなー。キツッ。と、いう間にコミュニティールームに。

ポツポツと人がいて話したり飲み物飲んだり電話したり。まあ皆さんリラックスしてますわ。

さっ、俺も美幸に電話しよ。携帯を取り出し画面をたたく。耳に当てコール音が3回ほど。

「もしもし、おー俺や。元気しとるか?そっちどんな感じ?」

「はーー?!アンタ、馬鹿じゃないの!!何で店長とは電話できて私には電話できひんわけ??」

うわー!案の定激怒ってるやん!!

「ゴメン、ちょっと落ち着いてから連絡しようと思って。店長とは看護師さんに無理言って電話

できてん。ホンマやったら病室アカンからさ。今日から車椅子で電話できるとこから今かけてんねん。

ホンマ、ゴメンなー。ほんで着信なんやった?」

「アンタ、ホンマアホやな。心配してに決まってるやろっ!!2週間やでっ!!」

少し間が空き電話の向こうから鼻をすする音が聞こえる。そりゃ泣くわな。

「マジ、ゴメンやって。とりあえずあと2ヶ月半ぐらいかかるらしいわ。足以外は元気やわ。」

「ふんっ!知らんけど。ほんで、面会はもうできんの?この前行ったら門前払いやし。何か服とか

いるもんないの?」

「うーん、Tシャツとパンツと半ズボン3枚ずつぐらい。あと、塩、醬油、ふりかけ、海苔。ふりかけは

ゆかりちゃんと青海苔な。ここの飯マジで不味いねん。とりあえずこんなもんかな。あと俺のパソコン店に置いてあるから持って来て欲しい。こっちWi-Fi飛んでるし。事務仕事とか溜まってるし。・・・あと煙草2箱」

「はーー?アンタ、病人なんですけど。わかってる?・・・まあ考えとくわ。」

後は20分ほどお互いの近況報告をして電話を切った。

美幸は36歳バツイチ。そこそこ気の強い女。子供は1人いるけど元旦那のとこに行ったらしい。俺の働いてるレストランでパートとして入ってきた。2年ぐらいしてお互い意識し始めて俺から告った。まだ別々のアパート暮らしでお互いのアパートを行ったり来たり。そろそろ一緒に暮らそうかって話し始めた矢先の事故やった。はー、最悪。なにやってんだろ。トボトボ病室に戻る。

病室に戻ると何か匂う。見ると俺の左斜めの爺様が看護師さんに下の世話されとる。大やな。

まあ俺も個室の時世話になってたし何も言えへんけど。看護師さん頑張って!!

しばらく携帯いらいながらテレビを見ている。芸能人の不倫報道、政治家の不祥事、まあまあ

ありきたりのニュースやな。

向かいの爺様がナースコール押しまくってる。何かあったんかな?すると、

「大森さーん。どうされましたー?」

「しょんべーん」

は、しょんべんかいな。エグいな。これ一日何回あんねん。

ベッドに横たわって天井をみつめた。はー、俺って人生いい事無いなー。いつからやろ。

離婚した時期ぐらいかなー。


俺とエリカ(元嫁)は近畿郊外の大手電機メーカーの工場で派遣社員として働いていた。

工場の仲間に飲み会に誘われてその時初めて出会ったエリカは関西出身で関西弁バリバリ。

第一印象は気の強そうな女の子。何か気の強い子好きやなーってつくづく今になって思う。

そこで意気投合して2週間後には付き合っていた。そこから2年ほどたった時親父から電話があり、

「お前、そこでいつまでロボットみたいな仕事しとるか?戻って手に職つけろ!」

あー、ごもっともと思った。その言葉はスーッと頭に入ってきた。エリカと相談して一緒に

俺の地元で同棲する事になった。工場の上長に退職の胸を伝えると、

「賢ちゃん、考え直してよ。3ヶ月後には社員の試験あるし、賢ちゃんワシ推薦しとくで。

給料ええし福利厚生バッチリやしボーナス年2回やで。」

それでも俺はエリカと工場を辞めた。3ヶ月後待っていたのはあの【派遣切り】だった。

工場の派遣仲間もみんな切られた。何か俺持ってんなーと思った。


地元に戻ってすぐに調理師学校に通い1年で免許を取った。

そしてすぐにエリカの地元関西で修行を始めた。

最初に働いたのは町屋の高級イタリアンレストランやった。

ひたすらに走り回ってがむしゃらに働いた。ヘマするとシェフの恫喝を浴びる。そんな日が

毎日続いた。ある日まあまあ高い食材を真ん中から「ポキッッ」と折ってしまった。

「おい!!お前何さらしとんじゃ!!ボケェ!!!」

ランチどピークにやらかした。フライパンが飛んでくる。思わずビクッとする俺。近づいてくるシェフ。

ソースの入った鍋を俺の

頭上にかざす。次の瞬間頭にあったかいものを感じた。ソースで視界が見えない。手で拭う。

「おい!!帰ってええぞ。」

「いえ、帰りません。」

「イヤ、帰れ。顔見たないわ。」

周りを見渡すと、みんな顔を下に向けてる。店長はカウンター越しに苦い顔をしてもう今日は

帰りな的なジェスチャーを手でしている。

「すみません、帰ります。」

小さい声でその場を立ち去った。更衣室で涙をこらえて素早く着替えて店を出た。

駅までの道を歩いていると、誰かから電話が。エリカか?携帯を覗くと親父だった。

えっ、親父?なんやろ。電話を取ると親父の声が聞こえる。

「おー、どうねー内地の生活は?もう慣れたか?」

「うん、、まーぼちぼち。」

「あんまり無理するなよー、体が資本だから。ご飯ちゃんと食べてるか?何かおくるねー?」

「うーん、大丈夫。ちゃんと食べてるよ。大丈夫、大丈夫」

「キツかったらいつでも帰って来なさい。あんたの帰る家はここだよー。」

と同時にダムが崩壊したように涙が出てきた。止まらない。親父は厳格だった。昭和のザ・親父

という感じで分かりやすく言えばちゃぶ台ひっくり返すタイプだ。そんな親父が・・。

火傷だらけの手で顔を拭い駅まで歩いた。

それから2年が経ち俺とエリカは結婚し男の子を授かった。名前は裕太。

仕事は順調で違う店舗に移動になり、中堅クラスにまで上りつめた。イイ感じだ。

「賢ちゃーん!オムツ取って!」

「ハーイ、どこどこ?」

子育て初心者の俺とエリカはアタフタしながらも子供の成長を喜んだ。多分。

そしてさらに2年が経ち2人目の涼真が生まれた。

俺は仕事に没頭していた。今思えば育児をエリカに押しつけて逃げてただけかもしれない。

俺はシェフと店長に気に入られ付き合いで飲みに行く機会が増えていった。

「ゴメーン、今日帰れへん。」

「またー??、アンタ家族のこと考えてる??」

「仕事の付き合いやししゃーないやろ。漫喫で寝るわ。」

そういう会話が月に5,6回続いた。

シェフから呼び出しがあり、何かなぁと思いつつシェフのデスクに向かう。着くと早々に

「賢坊、今度新店舗オープンするからお前立ち上げしてそのままシェフやれ。」

キターーーー!!俺の時代!!心臓がとびでそうだった。2つ返事でOKした。

帰り道缶ビールを片手にエリカの喜ぶ顔を浮かべながら駅までずっとニヤニヤしていた。

「ただいまー。」

チョイ酔ってたかな。エリカは涼真を抱えてリビングのソファーで俯いてる。

「ただいま。何かあったん?涼真寝つき悪かったん?」

するとエリカが鬼の形相でこっちを睨んでくる。あれっ?俺何かなしたかな。

「アンタ、、何で普通に酔って帰って来るわけ!!涼真高熱出して今病院から帰ってきたとこやで!!

裕太お母さんに見てもらってるし!!アンタメールも見てへんやろ?!終わってんで!!」

えっ?マジ??しもうた。浮かれすぎてエリカのメールスルーしとったわ。最悪。

「ゴメン、仕事の関係でちょっと飲んでて。いいこともあったしちょっと浮かれとった。」

エリカが瞬きさせぬほどの間で返す。

「そんなん知らんし!!アンタいっつもそうやんけ!何かあれば会社の付き合い、会社の付き合い、

週に2,3回家空ける旦那が何処におんねん!!休みは休みでずーっと家でゴロゴロして子供の相手

もしてくれへん。アンタ、公園とか遊園地とか1回でも連れて行った事あるか?!!」

・・・・何も言えへん。2分ほど沈黙が続いた。エリカがトドメの一撃!!

「もう、終わりや。アンタとはやっていけへん。無理。明日子供たち連れて実家帰るし。アンタは

好きにしてええわ。」大粒の涙を流していた。

あっけない夫婦生活やった。翌日エリカは子供たちを連れて出ていった。一人ぼっちのアパートに

虚しさだけが残った。しばらくして離婚届が送られてきた。


美幸が色々持って見舞いに来てくれた。久し振りだからか。若干瘦せて見えた。

「おーどない?元気?」

美幸は部屋を見渡し、俺に荷物を投げてきた。

「色々入ってるし、生きてたんや。」

少し笑みを浮かべていた。怒ってないようだ。久しぶりに会って嬉しいんやろうか?

「足以外健康やって言うたやろ。ありがとな。煙草は?」

美幸は少し俺を睨み付け、

「そこ入ってるわ。アンタ、病人やぞ。アホ。」

笑いながら俺をこずいてきた。

「ゴメン、マジありがとう。助かるわ。ちょっと散歩しようぜ。吸いたいし。」

美幸に車椅子を押してもらい病院の外に出た。

いい天気だ。メチャクチャ光合成!!病院の端のベンチのあるところで美幸を座らせる。

ポケットからラッキーストライクを取り出し口に咥え火をつける。一気に吸い込んで吐く。

うめーーーー!! うっ、立ちくらみヤバーー。でも最強!!

「アンタ、大丈夫なん?病院敷地内禁煙やろ?バレたらどーするん??」

「大丈夫、バレへんバレへん。みんな隠れて吸ってるし。」

吹かしながら辺りを見渡す。ロッドマンみたいにピンクの頭した若者がチャリで通り過ぎていく。

「今あんなん頭流行ってるん?」

「あー、市内行ったらあんなんザラやで。赤とか青とか緑とか。」

ゴレンジャーか!!心の中でツッコんだ。右に目をやると牛丼屋があった。あー、マジ食いてー!

しばらく美幸とダラダラ喋ってると見たことない中年オヤジ(俺も)が近寄って来た。

工務店の上着に赤いネクタイ、ズボンはスーッと折り目バッチシのスラックス、靴はピカピカの

革靴。頭だけハゲ散らかしてる。眼鏡をかけている。なんやコイツ?

「あのー山城賢心様ですか?看護師さんに聞いたら散歩中やと聞いたので、、」

「アンタ、誰?」

オッサンは額をハンカチで拭いながら、

「私、この辺で工務店を経営している村田彰と申しますが。」

と言って名刺

を差し出してきた。村田工務店代表取締役社長 村田彰と書いてある。

「はぁ、で何すか??何の用?」美幸と一瞬目を合わせてそいつを見た。

「先日、山城さんのオートバイと私の車が事故を起こして山城さんにこのような大怪我をを負わせてしまい、お詫びとお見舞いにお伺いいたしました。」

あーーー、コイツか。体がプルプル震える。武者震い?美幸の視線を背中に感じる。

「おい!コラッ!!オッサンハゲッ!!お前どの面下げて俺の前に現れとんねん!!!アンタ、アホか?

その神経逆に凄いわ!はい、拍手ー!!」

美幸の方を振り向き俺は手を叩いた。美幸が困った顔をしている。

「本当に申し訳ございません。私の不注意で山城様をこのようなお姿にしてしまって。」

「不注意?!!ふざけんなよ!!アンタ、思いっきり信号無視やんけ!!どうせ携帯でもいらってたんやろ?!ちゃうかー?!」

村田の体が一瞬ビクッとした。はー、図星やな。

「アンタのおかげで俺の人生半分以上狂ったわ。ありがとうございますー!後は保険屋に任せるから

二度と現れんな!!腹立つわ!バイクはしっかり元に戻してもらうからな!!早よ帰れ!!」

村田が高そうな菓子折を差し出してきた。

「本当に申し訳ございません。これ、つまらないものですが、、、」

「つまらんもんなら持ってくんなや!!ボケ!!早よ帰れや!!美幸!行くぞ!」

美幸はすまなさそうに村田に会釈して俺の車椅子を押していく。村田はずっと頭を下げていた。










                                                                          






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