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転生天使の異世界交流  作者: 水色みなも
第二章 交流準備
18/43

15 翻訳魔法?そこにないならないですね

短めです。


 「転移位置の精度は落ちた」という話をスルー出来ず、マーロィに確認すると


 「魔法具はあくまで補助、ティアラが自分で制御すれば問題ない」


 と返ってきた。

 いやまぁ、それはそうなんだけど…。


 「マーロィ、私が細かい魔法の制御が苦手なこと知ってますよね?」


 「知ってる。…けど、ティアラなら転移位置が少しずれても大丈夫。私が保障する」


 「えぇ……」


 なんだか嬉しくない信頼のされ方をしている気がする。

 旅の間を振り返ってみると、うん、そう思われても仕方ないエピソードが何個か思い当たる。

 墓穴になりそうなのでこれ以上つつくのはやめよう。


 まぁ好意で作って貰った魔法具だし、使ってみて本当にダメそうならその時にお願いすることにしよう。

 それに相談したいこともあるし、機嫌を損ねられると困る。


 「ところで、マーロィ」


 「ムリ」


 にこりと微笑みながら小首を傾げると、マーロィから即答された。


 「…まだ何も言ってないのですけど」


 「ティアラが改まっていう時は大抵面倒ごとだから」


 「そんなこと言わずに!」


 無表情のまま席を立とうとするマーロィに手を合わせる。

 ちらちらと様子を伺うとじっとりした目でこちらを見ていた。

 

 「…とりあえず話だけ聞く」


 「ありがとうございます!」


 渋々といった様子で椅子に座り直したマーロィに、私は地球の言語での会話を翻訳する魔法について相談した。




~~~




 「ムリ」


 話を聞き終えたマーロィは即答した。


 「そこを何とか!」


 「翻訳魔法なんておとぎ話の中の魔法。使えるとしてもよっぽどの”自由詩”の使い手くらい。少なくとも術式化なんて出来るタイプの魔法じゃないから”定型詩”の出番じゃない」


 「いやそうなんですけど、マーロィなら何とか出来るかなぁと思いまして」


 「”自由詩”の使い手のティアラに出来ないなら、私にはムリ。というかいつも魔力量でゴリ押しの魔法使うのに、出来ないの?」


 「あー、えっと……そのですね」


 確かに私は小さい頃から鍛えた魔力量のゴリ押しでたいていのイメージは魔法に出来る。

 だけど、前世の頃から外国語に苦手意識のあった私は、多言語を使いこなす自分がイメージできない。

 ”自由詩”の魔法はイメージの魔法。イメージ出来ないものは魔法でも実現出来ないんだよね…。


 「…ちなみに、もし翻訳魔法を”定型詩”で使おうとすると何が必要ですか?」


 「ん……ちょっと待って。考えてみる」


 ダメもとで話を振るとマーロィは思いの外真剣に考え始めた。

 片付けばかりの本棚から本を引っ張り出して、紙に何かを書いていく。


 少しすると、マーロィは「ん」と言って紙をこちらに手渡してきた。

 私は内容に目を通す。

 

 「まず言語のサンプルが必要。会話で使うなら音、読み書きで使うなら文字のサンプルが必要になる」


 「ふむふむ」


 「それから対応表。音や文字と意味の対応を紐づけたデータが必要、加えるなら翻訳先の言語との対応表も必要」


 「なるほど?」


 「つまり、翻訳魔法を作るには最低でも翻訳元と翻訳先の言語を使いこなせる人物が必要」


 確かにそれはそうだ。

 どんな言語だって、二か国語が理解できる人物がいて初めて翻訳できる。

 私は納得しながらも、薄々分かっている答えを見ないふりしてマーロィを見た。


 「…マーロィができたりは」


 「ムリ。エムニアの言語と地球の1言語を使えるティアラが一番条件に近い」


 「…つまり?」


 「素直に言語を覚えたほうがはやい」


 「……」


 ですよねー。

 術式化する”定型詩”だと、”自由詩”と違ってイメージで補うことが出来ないからそうなっちゃうのは分かるけど。分かるけど…!

 やるせない現実に私が打ちひしがれているとマーロィが肩を叩いて言った。


 「ちなみにエムニア語と日本語?の翻訳魔法ならたぶん作れるけど、どうする?」


 「いえ、いらないです……」


 私は机に突っ伏した。思わずへにゃりと垂れた翼をマーロィが邪魔そうに翼をどかすけど、動かす元気はない。


 諦めて外国語、勉強するしかないかぁ…。

 いやだなぁと思いつつも、今後の方針を考える。思考停止すると余計に気が重くなるからね。


 差し当たって、まずは英語を覚えようかな。

 義務教育で学んでる分だけ他の言語よりも覚えやすいはずだし。

 ”集中”とか補助や強化系の魔法でブーストすれば、ふつうに覚えるよりは何倍も効率的に覚えられるだろう。


 私はのっそりとした動きで身体を起こし、胸のペンダントから英語の参考書を取り出した。



 ……ま、まぁこれも異文化交流だよね!


Q:何で参考書があるの?

A:ティアラも薄々察していたので、お土産におねだりしていました。

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