表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/26

インドパシフィック合同軍編 第8章 実弾演習開始

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです

 自衛隊硫黄島統合基地での歓迎祭が終わり、菊水総隊海上自衛隊第1護衛隊群による実弾演習が実施される。


 大日本帝国海軍聯合艦隊第一艦隊は、聯合艦隊司令部要員と軍令部要員たちを、戦艦[長門]と戦艦[陸奥]に乗艦させた状態で、今回の演習を視察する。


 さらに戦艦[長門]と戦艦[陸奥]には、聯合艦隊麾下の艦隊の司令長官及び幕僚たちが乗艦している。


「艦隊陣形は、なかなかのものだな」


 戦艦[長門]の艦橋内の司令長官席に腰掛ける聯合艦隊司令長官である山本五十六大将は、双眼鏡で第1護衛隊群の艦影を確認する。


「しかし・・・あのような貧弱な艦が、戦艦に匹敵するというのは信じ難い」


 大艦巨砲主義者である参謀長の宇垣纏少将が、つぶやく。


「貧弱ではありません!」


 統合省防衛局統合幕僚本部海上自衛隊広報室の広報官である伊上朱規1等海尉が、強い口調で言った。


「石垣2尉からの資料に目を通されたと思いますが、護衛艦の主戦闘は、ミサイル・・・噴進弾に知能を持たせた装備で、航空機、水上艦、潜水艦に対する攻撃を行います。確かに、戦艦並みの防御能力は有していませんが、攻撃能力及び防御能力は、この時代の戦闘艦を上回ります」


「おや、いよいよ始まるようだ」


 山本が、つぶやく。


 第1護衛隊群の上空に、F-4EJとP-3Cが展開する。


 第1護衛隊群旗艦である回転翼機空母である[いずも]から、回転翼機が飛行甲板に姿を現した。


「SH-60Kです。まずは、対潜水艦戦闘が実施されます」


「空からの潜水艦捜索か・・・」


「はい、潜水艦の唯一の天敵が、対潜哨戒機です。水上艦では、自艦の推進器音や僚艦の推進器音等の音源で、捜索範囲が限定されますが、対潜哨戒機は、ほぼ無制限に対潜水艦哨戒が可能です」


 伊上が、解説する。


 回転翼機空母[いずも]から、対潜哨戒機である回転翼機が3機、発艦する。


「資料によれば、固定翼機及び回転翼機の対潜哨戒機は、対潜魚雷や対潜爆弾を搭載可能と書かれている。潜水艦に対する攻撃能力は高いが、潜水艦は群狼作戦を主作戦とする。あれだけの数で対潜哨戒機は足りるのか?」


 山本が、質問する。


「はい、十分に足ります。対潜哨戒機の潜水艦捜索能力は世界トップクラスです。何せ、自国の潜水艦の隠密性と静粛性が世界トップクラスで、海外で合同演習を行うと、あまりにも、それらの能力が高すぎて、遭難したと思われる程です」


「貴隊の潜水艦の隠密性と静粛性については、我々も把握している」


 聯合艦隊では、各艦隊麾下の水雷戦隊・駆逐隊に所属する駆逐艦を集めて、海上自衛隊の潜水艦と合同演習を行った。


 しかし、駆逐艦や海防艦では、海上自衛隊の潜水艦を発見する事は出来なかった。


 それどころか、本当に存在するのか、と疑われた程である。


 だが、潜水艦は潜んでいた。


 第1潜水隊群・直轄艦である潜水艦救難艦が、水中通信で、演習に参加している潜水艦に速力20ノットで航行するよう指示すると、駆逐艦及び海防艦の聴音手たちが発見する事が出来た。


 しかし、速力20ノットという高速航行状態にも関わらず、その推進器音は静かだったと聯合艦隊司令部と軍令部に報告された。


 固定翼機の対潜哨戒機が何かを投下した。


「あれはソノブイですね」





 菊水総隊海上自衛隊第1護衛隊群・直轄艦・ヘリコプター搭載護衛艦[いずも]。


 ヘリ搭載護衛艦[いずも]のCIC(戦闘指揮所)で、群司令の内村は、スクリーンを眺めていた。


「群司令。演習開始時刻です」


 首席幕僚の村主(すぐり)京子(きょうこ)1等海佐が、報告する。


「演習開始。各護衛隊、対潜戦闘用意」


 ヘリ搭載護衛艦[いずも]の通信士が、第1護衛隊と第5護衛隊に連絡する。


「対潜戦闘用意!」


 ヘリ搭載護衛艦[いずも]の艦長が、対潜戦闘配置の指示を出す。


 砲雷長が復唱し、対潜戦闘配置を知らせるブザー音が鳴り響く。


「SH-60Kを、緊急発進させます」


 副長兼飛行長の2等海佐が、告げる。


 スクリーンに格納庫と飛行甲板で、慌ただしく動き出す隊員たちの姿が映し出された。


「上空展開中のP-3Cに連絡。艦隊の前方に展開し、対潜捜索を行え!」


 内村が、指示を出す。


「SH-60K、3機。発艦準備完了しました」


 管制室から、連絡が入る。


「上空で対潜捜索を行っているP-3Cより、報告!潜水艦らしき艦影を探知!これより、精密に確認するそうです」


「うむ」


「SH-60K、3機。発艦しました!」


 副長が、報告する。


「P-3C、ソノブイを投下!」


「データを、こちらにも出せ」


 艦長が、指示を出す。


「P-3Cより、報告!潜水艦2隻を探知!距離、前方1万3000メートル、深度70!速力10ノット!」


「対空レーダー感あり!右舷前方2万メートル!潜水艦発射型対艦ミサイル可能性あり!」


 対空レーダー員が、報告する。


「敵潜水艦より、本艦に向けられて対艦ミサイル発射された模様!対空見張り厳とせよ!」


「第1護衛隊イージス艦[あかぎ]より、通信!目標、対艦ミサイル。間違い無し!」


「そのまま突っ込んで来る!」


「対空戦闘用意!」


 艦長が、号令を出す。


「SeaRAM、発射準備!」


「第1護衛隊イージス艦[あかぎ]及び第5護衛隊イージス艦[こんごう]より、SM-2の発射を確認!接近中の対艦ミサイルに向かっています!」


 ミサイル攻撃対して、護衛艦群は何重の防御処置を持っている。


 まずは、広域電波妨害を使って、対艦ミサイルの誘導装置を狂わせて、海上に着弾させる方法が行われる。


 これが駄目なら、イージス艦2隻による広域防空ミサイルによる迎撃を行う。


 これでも駄目なら、汎用護衛艦による防空ミサイルで迎撃する。


 これらの手段を用いても駄目だったら、個艦防衛が行われる。


「第1波のミサイルに、SM-2が重なります!」


 レーダー員が、報告する。


 レーダーを映し出しているスクリーン上では、敵ミサイルと味方ミサイルの光点が重なる。


「第1波!迎撃成功!」


 レーダー員が、報告する。


「艦橋、CICへ。距離7000で、爆発を確認!」


 実弾演習であるため、イージス艦[あかぎ]及びイージス艦[こんごう]から発射されるSM-2は、実弾である。


 発射された潜水艦発射型対艦ミサイルは実弾では無く、訓練支援艦から発射された無人標的機である。


「P-3Cが、敵潜水艦に対して対潜爆弾を投下!」


 敵潜水艦に認定されている潜水艇も、海上自衛隊が運用する無人標的潜水艇である。


「対潜爆弾の爆発を確認!敵潜水艦1隻!艦内に浸水が発生した模様!急速浮上中です!」


「SH-60K!もう1隻の潜水艦を探知!」


「SH-60Kが、97式短魚雷を投下!」


「海中で爆発を確認!」


「敵潜の撃沈を確認!」





 ヘリ搭載護衛艦[いずも]の視聴室に通された山口たちは、メインモニターを注視していた。


 サブモニターには、格納庫、飛行甲板等で駆け回る海上自衛官たちの姿が映し出されていた。


『対潜戦闘用意!』


 艦内放送が流れた後、ブザー音が鳴り響いた。


「海上自衛隊は、アメリカ海軍との共同部隊行動をする事を目的に、組織されています。主にアメリカ海軍インド太平洋艦隊第7艦隊の空母戦闘群を護衛し、対潜任務を主任務としています」


 ヘリ搭載護衛艦[いずも]の広報係士官の松荷3等海尉が、改めて説明する。


「近年では、自爆船による体当たり戦法が行われているため、海上自衛隊の任務の1つとして自爆船対処も、追加されました。攻撃ヘリコプターであるAH-1Z[ヴァイパー]を艦載し、自爆船対処の任務を遂行します。もちろん、対潜哨戒ヘリコプターであるSH-60Kも自爆船対処は可能ですが、攻撃ヘリコプター程ではありません」


「質問、いいかな?」


 山口が、手を挙げる。


「はい、何でしょう?」


 松荷が、眼鏡をかけ直す。


「対潜任務を引き受けている事はわかったが、艦隊防空を艦載の誘導噴進弾に頼り切っているのは、いささか危険な感じがする。確かに、貴国の海軍航空隊には噴進戦闘機が配備されているが、[いずも]に着艦出来ないのでは、常に艦隊防空が、出来ないのでは無いのか・・・?」


「さすがです!山口少将!」


 松荷が、笑みを浮かべる。


「ヘリ搭載護衛艦[いずも]は、ヘリコプターの運用能力だけがある訳ではありません。試験的に固定翼機の運用も可能なように1番艦[いずも]及び2番艦[かが]は改修されています。言わば軽空母とは言いませんが、それらに類する航空機搭載艦としての機能を持っています。現在、海上・航空自衛隊で運用されているF-35B[ライトニングⅡ]を艦載する事が出来ます」


「しかし、[いずも]も[かが]も、貴国海軍が運用する軽空母や正規空母とは異なり、常時搭載では無く、洋上の補給基地として機能している。常に搭載しているのでは無い」


 航空運用の専門家である海軍大佐が、指摘した。


「確かにその通りです。[いずも]及び[かが]は、固定翼機を常時搭載する軽空母ではありません。あくまでも洋上での補給基地として機能するための最低限の装備しかありません。ですが、[いずも]と[かが]の主任務は、対潜任務です。艦隊の防空任務は共同部隊行動を行うアメリカ海軍の空母打撃群が担当します」


「なるほど、それぞれの役割分担があるのだな」


 山口が頷いた。


「山本長官付の貴国海軍の中尉が提出した真珠湾奇襲攻撃及び上陸作戦案だが、艦隊防空は、現在、新設準備中の第一航空艦隊が担当するのか?」


「いえ、艦隊防空はインドパシフィック合同軍合同海軍アメリカ海軍第7艦隊空母打撃群と朱蒙軍海軍空母機動艦隊が担当します。帝国海軍の皆様は、安心して奇襲攻撃及びハワイ諸島への上陸作戦に専念出来ます」


「我々の出番のほとんどは、君たちに取られているような気がするが・・・まあ、いいだろう」


「それは気にしすぎです。皆様の活躍の場は、きちんと用意しています」


「そうかな・・・」


 山口が腕を組む。


「さあ、皆様。対潜任務の能力をご覧ください。常に質問には、対応しますので、ご安心ください」





 大日本帝国海軍聯合艦隊旗艦・戦艦[長門]の艦橋では、広報官の伊上の解説の下、菊水総隊海上自衛隊第1護衛隊群の実弾演習を視察していた。


「なるほど・・・」


 山本は、双眼鏡を覗きながら、つぶやいた。


「海空の通信態勢が万全であるから、連携した作戦行動を、遂行出来る・・・」


「そうです。海上自衛隊では、通信設備の充実と情報収集能力、情報分析能力が充実しているため海中、海上、航空との3次元での連携が万全です」


「海中・・・という事は、潜水艦もいるのか・・・?」


「はい、ネタバレになりますが第2潜水隊群第2潜水隊[うずしお]と、第1潜水隊群第5潜水隊[そうりゅう]が展開しています。第1護衛隊群と共に、対潜戦闘及び対水上戦闘を実施する予定です」


「潜水艦だと!?」


 宇垣が、叫んだ。


「まさかと思うが、聯合艦隊が柱島泊地を出航し、小笠原諸島沖に到着するまで、潜水艦が潜んでいまいな・・・?」


 宇垣の指摘に、伊上と石垣が顔を見合わせた。


「それが、ですね・・・」


 答えたのは、石垣だった。


「監視という訳では無いのですが・・・原潜の性能を把握するために、インドパシフィック合同軍合同海軍第7艦隊第74任務部隊第7潜水艦群に所属する[ロサンゼルス]級原子力潜水艦と、同合同軍合同海軍傘下のイギリス海軍の原潜、フランス海軍の原潜、連合支援軍海軍傘下の中国海軍の原潜。同ロシア海軍の原潜が、ひっそりと聯合艦隊の後をつけていました・・・」


「何だと!?」


「「第三水雷戦隊傘下の駆逐隊も、第十九駆逐隊に所属する駆逐艦からも、潜水艦の存在は確認されていないぞ!」」


 宇垣と、黒島が叫ぶ。


「第十八潜水隊に所属する潜水艦から、不明な音源の確認は?」


 山本が、通信参謀に聞く。


 その顔は、青くなっていた。


「いえ、何もありませんでした」


「何という事だ・・・原子力潜水艦は、通常動力型潜水艦と異なり、稼働音がうるさいと聞く、それでも我が海軍の駆逐艦及び潜水艦でも捕捉する事が出来ない・・・」


 山本が、つぶやいた。


「駆逐艦や潜水艦は、何をやっているのだ!空母艦載の迎撃戦闘機だけでは無く、彼らも弄ばれるとは・・・」


 宇垣が、力強く拳を作る。


「ここまで、我が海軍が無力だと言われると・・・あまり、いい気持ちはしないな・・・」


 山本が、立ち上がった。


「参謀長」


「はっ」


「このままでは、帝国臣民から何のための聯合艦隊か・・・と、失望される。これまでの情報を整理し、彼らとの協力体制を、より一層強化しろ」


「はっ!」


(何を、心配しているのだろう・・・?)


 山本の言葉に石垣は、まるで意味がわからなかった。


(協力体制って・・・インドパシフィック合同軍にしても、新世界(ニューワールド)連合軍、その他の連盟軍、連合軍等の独立軍は、大日本帝国の味方なのに・・・)


「君は、私の言った意味が理解出来ない顔だな・・・?」


 山本が、笑みを浮かべながら、石垣に問うた。


「も、申し訳ありません。イマイチ・・・意味がわかりませんでした」


「強者の余裕も結構だが、それでは人間との戦争には勝てんよ。石垣君、覚えておくといい。戦争に勝つのは、いつも人間だと言う事を」


「はぁ~・・・」


 石垣は、意味のわからない顔をした。


「こほん!」


 伊上が、咳払いをする。


「はっ!?」


 石垣が、はっとした。


「肝に命じておきます」


「うんうん」


 山本が、頷く。

 インドパシフィック合同軍編 第8章をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

 次回の投稿は7月12日を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
山本長官、未来人が何時までも味方とは限らないのを、肝に銘じる。 石垣君に、純粋な警告。 未来人は機械の戦争に慣れすぎた。 現代人の精神力を見誤るし、彼らは覚悟が決まれば、本土決戦すら辞さないのだよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ