インドパシフィック合同軍編 序章 3 接待と言う名の探り合い 3
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
インドパシフィック合同軍合同海軍司令官兼在台湾アメリカ軍司令官のカメロン・ジェシ・ウォトソン大将は、在台湾日本国自衛隊司令官の望月圭吾海将と共に、台湾総督の長谷川清海軍大将の接待を受けていた。
在台湾アメリカ軍は、1950年から1979年までアメリカ合衆国と中華民国との間の相互防衛条約によって、アメリカ軍部隊を駐留させていたが、アメリカ合衆国と中華民国との国交が断絶した事により、台湾から部隊を撤退させた。
しかし、2000年代に入って、中華人民共和国が軍拡を表明し、台湾への軍事的圧力を強めた。
そのため2000年代後半に再び、アメリカ陸海空軍海兵隊、沿岸警備隊が台湾に駐留する事になった。
在台湾日本国自衛隊は、中華人民共和国による台湾への圧力及び軍事的威嚇が頻繁化したため、2010年代にアメリカ合衆国から提案によって締結された日本と中華民国とアメリカ合衆国共同での中華民国防衛のための条約によって、陸海空自衛隊の部隊を台湾に駐留させているのだ。
どちらの司令官も海上が主戦場になると予想し、アメリカ海軍軍人と海上自衛官が統合司令官職に付いている。
因みに日本警察も、別の条約下で警察官を台湾に派遣している。
「閣下は日露戦争の日本海海戦で、戦艦[三笠]に乗艦していたと聞いています」
「はっはっはっ、懐かしい話です」
長谷川が、日本酒の入ったお猪口に口をつける。
「東郷平八郎元帥には、冷や汗を流しました・・・バルチック艦隊との距離が縮んで行く中、元帥はなかなか砲撃命令を出さなかった」
「敵前回頭というのは、現代戦術でも異例の行動です。当時の者たちにとっては、もっとも長い時間だったでしょう」
望月が、日本酒の入ったお猪口をグイっと飲む。
「私としては、貴方がたの兵器に関して、冷や汗を流しますね」
「ほぅ、どのように?」
ウォトソンが、日本酒の入ったお猪口を飲み干す。
「装甲で受け止めるでは無く、飛んでいる砲弾に対して、砲弾をぶつけるという奇想天外な方法で艦を守る・・・」
「我々の時代では当たり前の事ですから、あまり違和感が沸きません」
望月が、天麩羅の海老天を口に運ぶ。
「うむ。この河豚の刺身はなかなかの絶品だ。河豚には毒があると聞くから、少々躊躇ったが、これはなかなかいける」
ウォトソンが河豚の刺身を食べて感想をつぶやく。
「例え、毒があっても正しい調理をすれば、河豚でも美味しく頂く事が出来る」
長谷川が、河豚の刺身に刺身醤油をつける。
「天麩羅も、なかなかいけますよ」
「そうか」
ウォトソンが魚の天麩羅を口に運ぶ。
「台湾は南方攻略のための拠点だ。君たちの資料で検証した結果・・・フィリピン攻略には十分すぎる戦力だ」
「ですが、史実とは異なる状況です。事前の宣戦布告と連合国及び枢軸国にアメリカと全面戦争を仕掛けるという姿勢を見せますから、フィリピン、ハワイ、ミッドウェー島の防衛態勢が強化されるでしょう」
望月が告げる。
「山本長官のお気に入りである君たちの下級士官は、未来兵器を持ってすればどのような陣地を構築しようとも、突破出来ると発言したが・・・?」
「彼は、現場を知りません。人間の底力については未知数です。どのような行動をするかわかりません」
「うむ」
長谷川は、日本酒の入ったお猪口を飲み干す。
インドパシフィック合同軍編 序章3をお読みいただきありがとうございます。
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