インドパシフィック合同軍編 序章 1 接待と言う名の探り合い 1
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
インドパシフィック合同委員会在日アメリカ局長官首席補佐官の、ツムギ・アビー・ミッチェルは、大日本帝国首都東京府のとある料亭で、もてなしを受けていた。
「富田長官。このような、おもてなしをいただき、ありがとうございます」
ミッチェルは、祖母から習った日本語で、近衛内閣官房長官である富田健治に応対した。
「日系アメリカ人にしては、日本語にアメリカ訛りがありますな・・・」
「私の生まれ育った場所は、アメリカ中南部の地域であり、日系人なんて1人もいません」
「ほぅ~・・・そうでしたら、子供の頃は、相当苦労したのではないですか・・・?」
「アメリカでは、当たり前の事です。私だけではありません」
「ふむ・・・」
ミッチェルは、出された寿司に口に入れる。
「貴女の事は、統合省外務局経由して、情報を頂いています」
「どのような情報でしょうか・・・?」
「おばあ様は、日系2世としてアメリカ西部地方で産まれ、大東亜戦争勃発時には、アメリカ政府の政策によって収容所に収容される・・・おばあ様の兄や弟はアメリカ陸軍に入隊し、兄は第422連隊戦闘団の歩兵部隊所属、弟は極東方面に派遣され、陸軍の情報分析官になる・・・」
「長官は、このまま行けば親族と戦う事になると、心配されているのですか?」
「そうです」
「その心配は必要ありません。私たちがタイムスリップした事により、歴史は大きく変わりました。新しい世界では、彼らは他人です。親族ではありません」
「なるほど、そういう考えですか・・・」
富田は、ページをめくる。
「お父上は、アメリカ合衆国副大統領経験者で、上院議員・・・現在は、ニューワールド連合議会上院議員であり、ニューワールド計画委員会副委員長を務めている・・・双子の兄はインドパシフィック合同軍在日米空軍所属で、嘉手納基地に配備されている戦闘機部隊の大尉・・・」
「そうです」
「貴女自身も、アメリカ陸軍士官学校を首席卒業し、その後、アメリカ私立大学の名門校に入学、政治学部を10位以内の成績で卒業・・・その後、政治の道に進む・・・」
「どうですか?私の経歴を見た感想は・・・?」
「最初の報告書を見た時、親の影響下で、出世した小娘と思っていましたが・・・」
「が・・・?」
「貴女は、親の力も最大限に利用し、自分の才能を生かす・・・使える物は、なんでも自分のために使う・・・まさに、政治家として模範にすべき存在です」
「ありがとうございます」
彼女自身、インドパシフィック合同委員会委員長から直々に、大日本帝国での交渉及び調整役に抜擢された。
富田自身、最初は30代そこそこの娘に、何故このような大役を任せるのか理解出来なかった。
直接、ミッチェルに会ってみて、納得出来た。
「貴女が我々に提出した・・・在日米軍及び在日米警察機構による、大日本帝国内での司法捜査活動ですが・・・あくまでも大日本帝国に在留する米英蘭国人及び敵性国家に属する外国人への捜査に関しては認めますが、こちらとしては陸軍憲兵隊及び管轄の警察官の監視下で捜査を行う事を認めます。大日本帝国人逮捕に関しては我々の管轄です・・・まあ、統合省保安局警察総監部下の警察組織は、大日本帝国人の逮捕・起訴する権利がありますが、貴方がたにまで、無条件に司法捜査権を与える訳にはいきません」
「承知しています」
まあ、富田の意見はもっともだろう。
インドパシフィック合同軍編 序章1をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。