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第1話 新種の魔物が大都市を滅ぼした

 王都ゼロスリーから歩いて一日の距離にある大都市・ネーベンシュトランド。

 人口が多く、活気溢れるこの都市は……多数の強力な冒険者パーティーを擁し、鍛冶屋や戦闘用魔道具店も充実している武装都市としても有名だった。

 特にSランク冒険者の数においては、王都ゼロスリーをも凌駕するほどとのこと。



 しかし、そんな都市が――たった一匹のライオンによって、壊滅に追い込まれようとしていた。



 西側から街に向かってきたそのライオンは、はじめAランク冒険者によって発見され、そのパーティーにより討伐が試みられたが……逆にパーティー側が一人を除いて瞬殺され、残った一人も命からがら撤退した。


 生き残った一人は街に帰還次第、自分の身に起こったことを報告した。

 それを受け、「たかがライオンごときにAランクパーティーがやられた」という異常事態に危機感を抱いた冒険者ギルドは、Sランク及びSSランクパーティー数組を派遣することに決定。



 そして――その冒険者集団と件のライオンが、今まさに対峙するところだった。



「おいおい、何なんだあの全身の蒼い光は……」

「分かんねえ。とにかく、得体の知れない奴には最大限警戒しねえとな」


 全身から眩いほどの蒼いオーラを放つ、ライオンの異様な見た目に、冒険者たちは改めて気を引き締める。


「とにかく……遠慮はいらねえ!開幕最高火力で叩き込むぞ!」


 最初に攻撃を仕掛けることに決めたのは、SSランクパーティー「ドラゴンアビュース」の前衛だった。

 このパーティーはドラゴンの討伐を得意とし、もともとは「ドラゴンスレイヤーズ」と名乗っていたが、あまりにも強すぎてまるでドラゴンをいじめているようだとのことから、現在の名に改名したという逸話を持つパーティー。


 そんなパーティーのエースが、後衛から最大出力のバフを受け、十八番の奥義でライオンに斬りかかった。

 が――。


「ぐぉっ……!」


 ライオンは怠そうに彼を一瞥した後、目から光線を放ち、彼の心臓を貫いてしまった。


 そして続けざまに、ライオンは前足を上げ……軽く爪を一振りしただけで、無数の風の刃を伴う巨大竜巻を生み出した。


「「「ぎゃああああぁぁぁ!!」」」


 巨大竜巻に呑まれ、討伐隊は全員もれなく秒殺されてしまう。

 はっきり言って――その戦いは、戦闘になってもいなかった。



 その後も蒼いライオンは、冒険者の襲撃など意に介さなかったかのように移動を続け……ついにはネーベンシュトランドと目と鼻の先の距離までやって来てしまった。

 噂のライオンの襲来に、街周辺で活動中だった冒険者数人はライオンが目撃するや否や「大変だ! 討伐隊がやられた!」と急いで街に報告に戻ったが――時すでに遅し。


 ライオンは軽く地面をひと蹴りし、天高く跳び上がると――けたたましい咆哮と共に、ドラゴンでも吐けないような超強烈な熱線を街にお見舞いした。


 その瞬間――街全体が、焦土と化した。



 この日を境に、首都圏を中心として人々の間で新たな認識が一つ根付くこととなった。

 ――「蒼い魔物は、人類にとって絶望の象徴である」、と。


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