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50 残念令嬢沙汰を言い渡す。




 「まあ、其れは日を改めて各貴族家の代表者を集めその場で申告してもらうとするか」



 ――やるんかいッ!?



 この王様思ってた以上に鬼畜だよ、と思った貴族家当主は何人いたのかは謎である。


 舐めていた自分達が悪いのだが。



「さあ、リリー。


 婚約破棄も認めたし、他にも何か望みがあるなら言いなさい。


 10年以上我慢して、王国に巣食っていた不健全な不穏分子を炙り出したご褒美だ。


 私にできる事なら幾つでも叶えてあげよう」



 ――うわあ、このおっさん鬼畜どころか極悪だよ・・・ 姪を使って不穏分子の炙り出し?



 頭を垂れる貴族達の胃が痛い・・・



「わかりました伯父様、それではまず」



 ――ひえええ・・・



「ルパート・セイブリアン侯爵子息とルミア・フォルセット公爵令嬢の婚姻を必ずさせてください。


 離縁は認めません。


 あ、爵位はそのままで。


 今回不貞行為以外はセイブリアン家は関わっていない事は調査で分かっていますので」



 ――へ?



「ルミア様にとっては真実の愛らしいですから。


 セイブリアン侯爵夫妻も快く受け入れてくれるでしょう」



『バターンッ!』



 ――誰かが倒れたようだ。



「こ、侯爵家が潰れる・・・」



 どうやら侯爵夫人が倒れ侯爵閣下が呟いたようである。


 ルパートも唖然とした顔をしているが、まあ奴は文句は言えない立場だ。


 しかも彼は優秀かと言われれば、ごく普通であり唯の女好き。


 ルミアと婚姻してしまえば魅力は株価最安値となる為、社交で利を得られるかは努力次第だろう。



 そしてリリーが爵位をそのままというのは緩いと思われそうだが完全に報復行為だ。



 高い爵位を有するものはそれに見合った領地経営を行い、ものすんごい高い税金を納める義務が発生する。


 そのために行うのが社交であり、他家との関わりによって領地経営も、商社を持っていれば会社経営も有利にしていかなければならないのだ。


 しかし花弁で頭が詰まっているらしいルミアは理解ができていないようで喜んでいる。



「真実の愛が実ったのよ」



 とか言っちゃってる。



 ご存知のように、異性にはウケるが同性からはやっかまれるという彼女の特性が社交の邪魔をするだろうな、と遠い目をする貴族は実際何人もいる。


 これからセイブリアン侯爵家は、大きなお荷物(子供のルミア)を抱えて社交も領地経営も熟さなければならなくなった。



 公爵夫妻も真っ青だ。



 愛娘といえどもオツムの出来が・・・ゲホゲホ・・・



 実は今回の不始末を無かったことにしようと、夫妻と彼女の兄はルミアを修道院に入れる事を密かに決めていた。


 このまま彼女が卒業して社交界を渡り歩くには余りにも醜聞が付き纏うだろうし、嫁いだ所で婚家から突き返されるのが目に見えている。


 そんな目に合わせるくらいならと、修道院に打診したが何故か色好(いろよ)い返事は貰えず、金を積んで無理に送り付けても返却されそうで悩んでいたのである―― 当然王家とアガスティヤが裏から手を回したに決まっているが。



 嫁ぎ先のセイブリアン侯爵家が潰れぬ様に、娘を無下(むげ)にされないように。


 その為の資金援助が下手をすれば一生続き下手をすれば公爵家の財政が焦げ付きかねない結果となってしまった。


 しかも今日の騒ぎで彼らの派閥は風向きが悪すぎる・・・・



 派閥の筆頭として下の者たちを(ぎょ)す事が出来なかった事への沙汰として粛々と受け入れるしかないため、公爵達が肩を落としたのは言うまでもない。



「リリー、他には?」


「あと、もう一つあります。


 私が爵位の低い者に嫁ぐことをお許しください」



 眉をピクリと動かす国王陛下。



「ほほう? どういうことだ?」


「王位継承権を持つ者としては、相手の爵位が余りにも低いと許されない事が多々あります」


「そうだな。確かに」


「ですが、私がお慕いしている方の爵位が低いため、今までの慣例や仕来りが崩れるのは良くないのでは? と愚考いたしました」



 陛下はニヤッと人の悪そうな笑顔を浮かべ



「構わんよ。


 お前の相手は伯爵位を既に受け取っているからな。


 そう問題にはならないと思うぞ?」


「え。まだ来年だと聞いたのですが」



 リリーは驚いて目を瞬かせる。



「経済効果が思った以上に大きくてなぁ、爵位が高い方が納める税金も多くて王国も潤うからな。


 特例でサッサと爵位を受け取らせておいた」



 ニヤニヤ笑う人の悪い伯父である・・・



「じゃあ・・・」


「心配せずにプロポーズしてこい。


 お前の母もそうだった様に、お前も唯一を捕まえてこい。


 中庭だ」



 大広間の出口を指差して笑う国王に



「ハイッ! その他は伯父様に任せますッ」



 リリーは返事をすると同時に走り出した。




 ×××




 彼女が去って行った後、国王夫妻の玉座の後ろに現れたのはアガスティヤ公爵夫妻。



「ウフフ。


 ご機嫌よう皆様」



 別名、鬼姫将軍と呼ばれるオフィーリア・アガスティヤ公爵夫人の本性を知っている古くからの重鎮達と王家一家はそっと顔を背け、貴族達は頭を垂れたまま不穏な空気を感じ取り、背中に冷汗が流れたらしいというのはリリーが後から知ったお話である・・・






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 作劇上の都合とはいえ、流石に10年状況を放置するのは鬼畜過ぎる。 色々あぶり出すにしたって長すぎるし、たまたま主人公のメンタルが持っただけに思えます。
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