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42 残念令嬢女モテ期を知る。

 まだまだ朝の早い時間に教会に着くと、子供達やシスターと一緒に準備を始める二人。



「あ、王子様~。今日はお姫様だぁ」


「ホントだぁ。お姫様可愛い! 今日は王子様はお休みなんだね」



 目ざとく女の子達がリリーが朝の挨拶をすると同時に声を掛けて来る。



「ありがとう。今日は王子様はお休みなのよ。今日は宜しくね」


「「「はーい」」」



 マドレーヌや刺繍の入ったハンカチやレース編みのショール等を机の上に皆で並べていると、次々に同派閥の貴族子女の乗った馬車が到着する。


 彼女達も自分で作った作品をバザーで売り、教会に寄付をする為参加するのだ。皆、ある程度着飾ってはいるが、普段よりかなり控えめである。


 まずは筆頭公爵家のリリーの所に挨拶に来る予定だが、全員がリリーを見てポカンとした顔をする・・・



「皆様、今日はご苦労様です。バザーは昼からですのでゆっくりと準備して頂いて結構ですよ?」



 リリーの呼びかけでハッと気が付き、挨拶をする少女達。



「リリー様、ですよね?」



 勇気を出したのか、伯爵家の令嬢が手をグッと握ったまま声をかけてきた。



「はい。そうですわ。今日は宜しく」



 リリーがニッコリと微笑むと、顔が真っ赤になって



「は、はいっ!! 頑張りますッ」



 何故か前のめりで返事をするご令嬢。リリーは驚いたがソレは顔に出さずに



「お互いに普段とは違う事をしますから、緊張しないように楽しみましょうね」



 そう言って輝くような笑顔を見せるリリー。


 それには答えず、ブンブンと縦に首を振るご令嬢達。


 どうしたのかなとリリーが首を傾げると溜息が聞こえ、



『素敵』『尊い』『お姉様って言いたい』『麗しいですよね』『美しいわ~』



 と男装の時に聞き慣れてしまった囁きが聞こえて来て、ん? となったが笑顔で



「さあ、皆様一緒に頑張りましょうね」



 と言うと



「「「「「「はいッ♡」」」」」」



 という元気な返事が返って来て、全員が振り返ってはキャーキャー言いながら割り当ての机に去っていく・・・



「ねぇ、フィリア(アルフィー)。何だか男装の時と同じなんだけど・・・」


「ま、ここまで素直に反応されると戸惑うだろうけど、人間キレイなものが好きってことよ」



 肩を竦めるアルフィーに苦笑いを返すリリーである。




 ×××




 その後は穏やかにバザーの開催時間が訪れ、近くの住人や馬車でやってくる貴族達の対応に追われる事になった。


 リリーは自分の作品は派閥の女の子達に任せて教会のマドレーヌの売り子を手伝っている。


 かなりの数を揃えているはずなのだが次々と売れてしまい、子供達もリリーも大わらわである。


 あまりの売れ行きにアルフィーはとうとう教会の奥からマドレーヌの入った木箱を全部抱えて表へと引っ張り出してきた。



「な、何でこんなに売れるの?」



 目が回るような売れ行きに対応するのに精一杯。子供たちも手提げの紙袋に売れたお菓子の袋を必死で入れる。


 偶に何故か握手を求められる為、余計にリリーは忙しい。


 それを見てアルフィーがちょっとだけ口を尖らしていたのにリリーは気が付かなかった・・・




 ×××




 バザーのマドレーヌがもはや売り切れ寸前の時にソレは起こった。



「なー、姉ちゃんそんなガキンチョなんかじゃなくて俺等と付き合えや」



 バザーなんぞに興味無いだろ? と言いたくなるような風貌の若い男達が3人。


 着崩したシャツに汚れたトラウザーズ、無造作に括った髪の毛、無精髭は労働階級というより、もはや見た目が山賊である・・・



「いえ、お手伝いですのでここを離れるわけには参りません」



 ニコリと笑顔で首を傾げて、売り子の子供達を自分の後ろに隠すリリー。



「子供なんざどーでもいいんよ、俺たちゃあアンタに用があるからなぁ~」



 そう言うと、一人の男が机の向こう側に立っているリリーの腕を木の机ごと引っ張った。



『ガシャーンッ!!』


「キャアッ」



 机の倒れる音。


 そしてリリーの驚いた声がした。




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